19.「3箇所目」上から目線と上から目線と間の弱者
この作品はフィクションです。
…。
………どうかな?
………大丈夫かな?
………もう、いなくなったかな?
ごそごそ……………
「…もう出てきても平気だ。」
アルジさんの言葉が聞こえたので、恐る恐る地面から顔を出す。
見渡しても、そこにはアルジさんと屋台だけ。硬そうで怖い奴や、人間の怖い奴は、もうそこにはいなかった。
「あいつらはもう帰ったからな。」
その言葉に安堵して、体をぐいっと地面から引っこ抜く。
アルジさんは、大きな鍋の中身をぐるぐるとかき混ぜていた。
ごそごそ
もぞもぞ
ごそごそ
安全だということが伝わって、仲間たちも顔を出し始める。
あいつらは、怖い。硬そうな奴も、人間の奴も。
僕たちなんて、きっと、ひと踏みで殺されてしまう。
だから、本当は地面の上には出ない方が安全なんだ。
だけど、
アルジさんのスープは飲みたい。僕たちみんな飲みたい。
美味しいとかいい匂いとか、そういうのはわからないけど、アルジさんのスープを取り込むと、全身に活力がみなぎる気がするから。
わくわく
わくわく
わくわく
仲間たちが、地面の上に集まった。31人の草花人。
今日も、昨日と変わらない人数。よかった。
「ほら、おまちどおさま。」
アルジさんが、大きな木の器に、たっぷりとスープを入れて持ってきてくれた。
地面に置かれた器に、仲間たちが集まる。冷たすぎず、熱すぎもしない、水よりも色が濃く、土よりも色は薄い。どうやって作っているのかはわからない。けど、凄くいいものだってことは、わかる。なんとなく。
ちゃぷ
仲間の一人が、スープの中に根っこを入れる。
スープを飲む順番は気にしない。誰が最初で誰が最後でも、僕たちは気にならない。
大地は、みんなに平等。優しさも、厳しさも。
地上の怖い奴らは、多分、それをわかってない。だから、ぎゃあぎゃあやってるんだ。
〜〜〜♪。
スープを根っこから取り入れた仲間の体が、心なしかつやつやしている。そうやって、次の仲間、次の仲間、と、スープを飲んでいく。
最後は、僕。
根っこをスープに入れると、なんだか、温くて柔らかな感じ。これだけで、こんな近くに幸せがあるんだ、って、思う。
そこから、スープをゆっくり吸い上げていく。
〜〜〜♪。
体中に、優しくて柔らかい感じが染み込んでいく。
幸せに包まれる、って、こんな感じなんだって、思う。
みんなが味わえる幸せ。大事。




