13.「2箇所目」留まる理由とその結果
この作品はフィクションです。
ほぼすべての生物がそうであるように、魔物にも強弱の序列は存在する。
強者と弱者の関係性がどのようなものになるのかは、強者の考え方によって異なる。が、
「強者の縄張りの中では、弱者は強者のルールに従う。」
このルールだけは、暗黙の了解として存在する。
これを破った者は、ほぼ例外なく制裁を受ける。殆どの場合は、命を失う制裁。
ただ、魔物の縄張り、というものは、人間社会の国家のように明確に決まっているわけではない。各々が勝手に主張しているだけだ。
現に私も、この迷宮を中心とした一帯を、自分の縄張りだ、と、勝手に主張し、その中で勝手気ままに過ごしている。
そしてその縄張りの中に、例の少女が暮らす村も含まれていた。もっともそれは意図されたものではなく、ただの偶然だったのだが。
「偶然の出会いが、こんなに面白いことになるなんてね。いやはや、長生きはするもんですわ。」
一緒にいて面白いと思える相手に出会えるのは、どんな出会いよりも得難く、そして、幸運なこと。
それを手放すことなど有り得ないし、ましてや、奪われることなど絶対に許されない。
だから、
あの村の近くにあった魔物の巣や山賊のアジトは、片っ端から破壊した。
抵抗してきた相手は、残らず始末した。
「大事なものに危害を及ぼす可能性があるものは、根こそぎ刈っておかないとね〜。」
「…その刈る対象の中に、俺の知り合いがいないことを祈ってるよ。」
「そうありたいね〜。保証は出来ないけど。」
「さてっと。ごちそーさま。今日も美味かったよ。」
アルジに、自分の分と少女の分の代金を、まとめて支払う。
「はい、毎度。」
「よし。お腹も膨れたことだし、定刻のパトロール行ってくっか。じゃ、またねアルジ。」
「あぁ、またな。」
にっこり笑って挨拶。
そして次の瞬間には、私の姿は外へ。
「………。」
深い深い夜の闇の中、鬱蒼と生い茂る枝葉。視線を上げれば、静かに佇む月の光。
「いい夜だねぇ。」
ステキな夜の空気感。
舌も美味しいもので満たされている。
あの子ともたっぷり遊べた。
「いいパトロールが出来そうだねぇ。」
だから今、すこぶる機嫌がいい。
これは、とっても捗りそうだ。
「………で、殺した魔物やら野盗やらを、なんで、村人の目につくところに捨てておいたんだ。」
「だってぇ…、褒めてほしかったんだもん〜。」
「事情知らないのに褒めてもらえるわけないだろ。」
2箇所目終了。
勇者も魔王も出て来てませんが、まだまだ続く予定です。




