12.「2箇所目」強制帰宅とアルジの思惑
この作品はフィクションです。
「もう食べらんないでしょ?無理しちゃだめよ。」
「………うるさい…っ。」
「だってもう食べられないでしょ?」
「これは……っぷ、」
「ほら。もう限界じゃないの。」
「私が、注文したもんだ…!てめぇには、渡さねぇから!」
「なんだよぉ、折角心配してるのにさぁ。」
「んなこと、頼んでねぇんだよ!!」
満腹でもう一口も食べられないくせに。食べきれない量を注文して残すのは、店に迷惑かけてるんだぞ、と。
「はいはい。そんな聞き分けのない子は、もうお家に帰りましょうね。やれやれ。」
「は…!?何言って」
ぱちん。
彼女の問いには答えずに指を鳴らす。
あっという間に、彼女の姿は、この空間から消失した。
「…いつも通りだな。」
「まぁ、毎度毎度だよね。」
「で、それも、いつも通りに、か?」
「うん。いつも通りに、いただきまーす。」
程度の差こそあれ、大抵彼女は過剰に注文してしまい、毎回完食出来ない。その残った分は、毎回私が頂いている。
幸い、私の食欲は無尽蔵なので。
「………あの子がいなくなったら、ここから居なくなるのか?」
「ふぇ?」
こちらが具材全部乗せの大盛うどんを食べ終えたタイミングで、アルジが不意にそんな事を言った。
「おやおやどうしたどうした?急にそんな事聞くなんて。いきなり寂しさが襲って来ちゃった感じ?感じ??」
「違う。」
「わーお、ばっさり。」
「………。」
「そうねぇ…。ま、そうかもね。」
「そうか。」
「あの子をからかって遊ぶのが面白いからここに留まってる、ってのは、まぁ、その通りだし。他に私を楽しませてくれる相手がいればいいんだけど。」
「なかなかいないだろうな。」
「そーなのよねぇー。なかなか見つからないのよ。あれだけムキになって全力で突っかかってきてくれる相手。」
「あの子は貴重だな。」
「本当そうよ。本当。」
「あの子がいることで、あの子の村は平和を維持できているようなものだからな。」
「…おやおや。」
そう来るとは思わなかった。
「随分と他人に気をかける発言をするではないですか。私の見たところ、アルジは他人が生きていようが死んでいようが我関せず、ってタイプに見えたけど?」
「俺の知らないところで、俺の知らない奴らが、生きていようが死んでいようが関係ない、っていう意味では、その通りだ。」
「ほほぉ?」
つまり、自分の知ってる奴が死ぬのは許せない、ってことかね。
そういう意味では、あの子と、あの子の村が無事でいることは、アルジにとっては重要なことなんだろう。
しっかり食べて、健康気をつけていきましょう。ただし、食べ過ぎ注意。




