11.「2箇所目」絶対に負けたくない少女と3杯目
この作品はフィクションです。
「……………。」
「あは〜。これは豪華豪華。」
白熱した戦いであった。
絶対に私に負けたくない少女は、私の注文を上回ろうと必死であった。必死に私の注文に喰らいついてきた。その気合と精神、見事である。
結果、
私の目の前には、具材全部乗せうどん(大盛り)が。
少女の目の前には、具材全部乗せうどん(大盛り)が、3杯、並べられていた。
………何で2杯を飛ばして3杯も注文したんだ。
「……………。」
注文したはいいけど、これどうしよう。こんなに食べられないんだけど。
少女の表情は、明らかにそう言っていた。
「じゃあ、いただきま~す。」
「…!」
そんな少女を無視するフリをして、てんこ盛りに乗せられた具材に箸を伸ばす。
「………ん〜♪。」
いきなり海老の天ぷらから食べ始めるという贅沢。
うどんのスープの味を吸い込んだ衣の下部と、カリッとした食感を残した上部。そして、その衣に包まれた海老の風味。
それぞれ違った食感と味が同時に舌の上で弾け、素晴らしい一体感となる。
要は、美味しい、ってことなんだけど。
「………ちっ、」
こちらが食べ始めたからか、
舌打ち一つ。少女もうどんを食べ始めた。
味自体に間違いはない。最初の一杯は、彼女も問題なく食べられるはずだ。
大変なのは、二杯目から。
食事は、空腹の時に採るからこそ美味しい。空腹は最高の調味料、とは、どこの誰が言った言葉だったか。
とにかく、満腹になった状態では、どんな美味しい料理も進んで食べたいとは思えないし、食べようと思っても箸が進まない。
しかし、注文したからには完食するのが、料理人に対する礼儀であり、マナー。
果たして、彼女はどうするのか。
「ごちそうさま〜。」
「……………。」
頑張った。
彼女は頑張った。
私が一杯完食する間に、彼女は二杯を食べ切っていた。
美味しさを感じられていたかどうかはわからない。きっと彼女は、私に負けたくない一心。それだけで食べていたのだろう。
そして、今。
「……………。」
完全燃焼。
それが、今の彼女にぴったりの状況だった。
「……………。」
……………。
「食べないなら、もらってもい〜い?」
……………ばしっ
器を持とうとしたら、手を払い除けられた。
ほんっと、負けず嫌いだ。
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
本年もマイペースに創作してまいります。よろしくお願いいたします。




