さつき、落ち込む
さつきは、ぐるぐる考え込みました。
あまりにもぐるぐる考え込みすぎたので、さつきのまわりにはブラックホールが出来て、そこらへんの小さな灯りのようになっている星は全部飲み込まれて、さつき自身も自分のつくりだしたブラックホールから一人で抜け出せなくなるほど、空間と時間も重たくなってしまいました。
いろいろ思い出して
「知恵のアプリ」なんていうキーワードが頭に思い浮かぶだけで死んでしまいたくなります。
あの時は、ほんとうに、ほんとうに・・・なんて思っていたか分からないけれども、「行ける」ってさ、思ってた気がする。
でも、「ダメ」だった。
容赦なく、完全に「ダメ」だったんだ。
いったい、さつきは、こんな「ダメ」をどれくらい毎日、毎時間、息をしているたんびにやらかしてしまっていることでしょう。
すべてのことが、おかしくて、正しいことなんか一つもなくて、
おかしなことは、都合として正しくて、
結局のところ、いろんなおかしいことをみんな持っていて、そのおかしさを底の底から絶望的になるまで見抜いた上で、ちきゅうじんというものは根っこから、それこそ種からそういう種類の、そういう性質の生命体なのだと、うけいれて、うまいこと「いいこと」のようにお互いを見せかけることが生きていくということそのものだとしたら・・・
悲しいことです。
悲しいけれど、気にせず、うまくやっていかなきゃいけないのです。
そうやって生きているたびに、さつきは、このことが永遠に続く刑罰のように思われます。
たとえ、こうしてどこにいったって。空間時間を超えたところで、のんびりしていたって。
どんなに自由を与えられたとしても。
友達・・・どこ行っちゃったんだろう。
寂しい。
さみしい。
さみしい。
さみしいさみしいさみしい。
ごめんなさい。
そんなことをひとりで考え込んでいると、さつきは、かなしくなって、いたたまれなくなって、
しくしく泣き始めました。
「さみしいーーー!
さみしいーーーー!
ごめんなさーーーーい!」
大粒の涙が、ぽたぽたと垂れて、海をつくります。
だけど、もうそこには誰もおらず、誰も気が付いてくれる人はいません。
あまりにも寂しいことです。
みんなみんな星々も存在しているものもさつきから離れて行ってしまいました。
いえ、たくさんのものはあり、無限の自由と、望むものはなんでも手に入るのですが、
ただ、さつき自身のつくりだしたブラックホールはどうにもなりません。
抱きしめてくれる人は誰もいません。
愛してくれた人や愛した人のことを思い出すたび、胸が痛み、できれば、もう思い出したくないとさえ思うのです。
さつきは、自分がつまんない人間で、
ダメ人間で、役立たずで、どうしようもない人間で、
結局何もできなくて、迷惑をかける以外のなにものでもない。
そう思わずにはいられないのです。
どうしようもない。
どうしようもないのです。
二度と戻らない、大切なものを、さつきはこれまでの人生で何度自分の手でダメにしてきたことでしょうか。
そして、こうしたことが無限に繰り返され、無限に与えられ続けるのでしょうか。
もう終わりにしたいと思っても、それは決して終わらないものなのでしょうか。
でも、なにかが終わるとしたら・・・すべてのものには必ず終わりが来るとしたら、それってなんて寂しくてむなしいことなのでしょう。
なぜ、こんなふうになっているのでしょう。
なぜ、こんなふうになっちゃったのでしょう。
うわーん
うわーん
と大声になってきました。
なみだはいよいよ、星々になって、そして、それらの星の粒は、天の川のようになっていきました。
それは、はるかはるか遠い星からでも見ることができるものでしたが、
助けに来てくれる人は誰もいません。
すべてが凍り付いた星が通り過ぎていきます。
あまりにも大きな巨大な惑星が、ぶつかるも、ガスでできているので通り抜けていきます。
灼熱の硫黄と硫酸の海で出来た星がさつきの喉をやけどさせていきます。
「はじめからそうかもしれないと思っていたのだけれども、
わたしって、頭がおかしいんだわ。」
そうさつきは思いました。
「そして、そもそも、そんなことだから、なにをいくらどれだけ頑張ってやったところで、すべてが・・・絶望的なほどにすべてが空を切るんだわ。」
さつき自身どうしていいか分からない、分からないのです。
「さみしい」
「かなしい」
「もう疲れちゃったよ」
暗闇がずっと待っているように、片ときも離れることなくそこにたたずんでいます。




