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孤島漂流記 無人島だと思ったら人がいた  作者: レモンティー


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9/12

第九話:帰還

崩壊の中を、三人は走り続けた。

背後では爆発音が連鎖し、施設が音を立てて沈んでいく。

「こっちだ!!」

キイチが叫ぶ。

崩れかけた通路を抜け、外へ――と思った瞬間、足元が抜けた。

「うわっ!?」

三人はそのまま下層へと叩き落とされる。

激しい衝撃。

視界が白く弾ける。

――だが。

「……生きてるか」

キイチの声。

「……なんとか……」

ダイゴは体を起こした。

ミナも無事だった。

そこは、まだ崩壊を免れている区画だった。

静かすぎる空間。

まるで、ここだけ時間が止まっているかのように。

「……まだ施設の中だな」

ダイゴが周囲を見渡す。

壊れかけた扉。

倒れた機材。

だが――

「電源……生きてる?」

ミナが指差す。

奥に、小さな部屋。

わずかに光が漏れている。

三人は警戒しながら近づいた。

扉を開ける。

そこは――通信室だった。

「……マジかよ……」

ダイゴが息を呑む。

卓上には、古いが動いている無線機。

ノイズ混じりに、かすかな電波が生きている。

「使えるかもしれない」

ミナがすぐに操作に入る。

「周波数……これで……」

ザザッ……ザ……ッ……

ノイズ。

だが――

「……誰か、聞こえますか」

ミナの声が、空間に響く。

返事はない。

もう一度。

「こちら……遭難者……位置不明……救助を――」

ザザッ……。

数秒の沈黙。

そして――

『……こちら、沿岸警備隊。応答を確認した』

三人の動きが止まる。

「……!」

『繰り返す。こちら沿岸警備隊。現在位置を送れるか』

「つながった……!」

ダイゴが思わず声を上げる。

ミナの手が震える。

「送る……送るから……!」

必死に座標を入力する。

古い端末が、ゆっくりと信号を送信する。

その間も、遠くで崩壊の音が響いていた。

時間がない。

「頼む……」

キイチが低く呟く。

やがて――

『座標を確認。救助隊を向かわせる』

その一言で。

三人は、その場に崩れ落ちた。

助かる。

本当に――終わる。

――そして。

数時間後。

ヘリの音が、現実として空に響いた。

光。

風。

差し出される手。

「大丈夫か!?」

「……ああ……」

ダイゴは、その手を掴んだ。

現実へと、引き上げられる。


――

数日後。

三人は救助された。

外の世界へ――帰還した。

だが。

「……なんか変じゃない?」

ミナが呟く。

街。

人。

空気。

すべてが、どこか“違う”。

「……ああ」

ダイゴも感じていた。

視線。

ざわめき。

ニュースが流れる。

画面の中。

見覚えのある構造物。

「新型環境適応研究施設、稼働開始」

ダイゴが、ゆっくりと画面を見つめる。

そのロゴ。

あの男がいた施設と――同じだった。

キイチが、低く言う。

「……終わってねえな」

ダイゴは、拳を握る。

もう一度、選ぶ時が来る。

逃げるか。

戦うか。

そして――

三人は、同時に歩き出した。

無人島は終わった。

だが――

“実験”は、まだ終わっていない。

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