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孤島漂流記 無人島だと思ったら人がいた  作者: レモンティー


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第十話:従わない者たち

街の雑踏。

人の声。

車の音。

すべてが、以前と同じはずなのに――どこか遠い。

「……落ち着かねえな」

キイチが小さく吐き捨てる。

駅前のベンチに座りながら、周囲を睨むように見渡している。

「分かる」

ミナも同じように、視線を巡らせる。

「静かすぎるんだよね……人の“中身”が」

ダイゴは黙っていた。

ただ、通り過ぎる人々を見ている。

笑っている。

スマホを見ている。

急いでいる。

どれも“普通”だ。

だが――

(本当に、普通か?)

「ニュースの件……どう思う」

ミナが口を開く。

「研究施設」

「ああ」

キイチが頷く。

「間違いなく“あっち側”だな」

ダイゴがゆっくり言う。

「……確かめる」

「行くの?」

ミナが聞く。

ダイゴは頷いた。

「終わらせるって決めたからな」

三人の目が合う。

言葉はいらない。

もう、同じものを見ている。


その夜。

三人は動いた。

ニュースで報じられていた施設。

郊外にある巨大な建造物。

高いフェンス。

監視カメラ。

厳重な警備。

だが――

「甘いな」

キイチが呟く。

「中は、もっと厄介だろうけどな」

ミナが端末を操作する。

「外のセキュリティは突破できる」

カチカチとキーを叩く音。

数秒後――

「開いた」

フェンスの一部が、静かにロック解除される。

「行くぞ」

三人は影のように滑り込んだ。

施設内部。

白い廊下。

無機質な空気。

そして――

既視感。

「……同じだ」

ダイゴが呟く。

あの島の地下施設と。

構造も、匂いも、空気も。

突然。

スピーカーが鳴った。

「侵入者を確認」

無機質な声。

「排除プロトコル、起動」

「来るぞ」

キイチが構える。

次の瞬間――

壁が開いた。

中から現れる影。

人型。

だが――人ではない。

あの“異形”に似ている。

だが、より洗練されていた。

無駄がない。

戦うためだけに作られた存在。

「進化してやがる……!」

キイチが舌打ちする。

戦闘が始まった。

狭い通路。

逃げ場はない。

ダイゴが一体に突っ込む。

拳を叩き込む。

だが――

「硬い……!」

以前よりも、明らかに強い。

ミナが背後からナイフを突き立てる。

関節部分。

「ここはまだ弱い!」

キイチが槍で足を払う。

連携。

島で培った戦い方。

数分後。

静寂。

倒れた異形たち。

「……やれるな」

キイチが息を整える。

「でも数が増えたらキツい」

ミナが言う。

ダイゴが前を見据える。

「急ぐぞ」

施設の奥へ。

進むごとに、警備は厳しくなる。

そして――

辿り着いた。

中央制御室。

巨大なスクリーン。

無数のモニター。

そして――

そこに立つ人物。

「待っていたよ」

穏やかな声。

だが――

ダイゴの目が見開かれる。

「……お前……」

そこにいたのは――

あの男ではなかった。

「彼は優秀だったが、少し感情に寄りすぎた」

新たな男が言う。

白衣。

整った表情。

そして――

冷たい目。

「私は、もっと効率的にやる」

ミナが低く言う。

「……黒幕ってわけ?」

男は微笑んだ。

「そう呼びたければ、どうぞ」

ダイゴが前に出る。

「全部、止める」

その声に、迷いはない。

男は、ゆっくりと手を叩いた。

パチ、パチ。

「素晴らしい」

「まさに理想的な被験体だ」

その瞬間――

床が、光った。

「なっ……!?」

三人の足元に、光の輪。

動けない。

体が、固まる。

「ナノ制御フィールドだ」

男が説明する。

「君たちの動きは、完全に封じられている」

「くそっ……!」

キイチが力を込める。

だが、動かない。

男がゆっくり近づく。

ダイゴの目の前まで。

「安心してほしい」

「君たちは処分しない」

「……は?」

ミナが眉をひそめる。

男は、静かに言った。

「次の段階に進んでもらう」

背後の壁が開く。

そこにあったのは――

培養カプセル。

無数に並ぶ。

中には――

人間。

眠っている。

だが――

どこか“変化”している。

「人間は、まだ進化できる」

男が言う。

「君たちは、その“鍵”だ」

ダイゴの中で、何かが切れた。

「……ふざけるな」

低く、重い声。

その瞬間。

ピキッ――

何かが、ひび割れる音。

「……?」

男が目を細める。

ダイゴの足元の光が――揺らぐ。

「制御が……?」

次の瞬間――

バンッ!!

光が弾け飛んだ。

「なっ!?」

男が初めて驚愕の表情を見せる。

ダイゴが、一歩踏み出す。

自由になった。

「俺たちは――」

拳を握る。

「お前の実験材料じゃない」

その言葉とともに――

三人の反撃が、始まった。

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