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孤島漂流記 無人島だと思ったら人がいた  作者: レモンティー


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第七話:ここで終わらせる

暗闇の中、下降が止まった。

ガコン――。

重い音とともに、床の振動が消える。

次の瞬間、頭上に白い光が弾けるように灯った。

「……ここは……」

ダイゴは目を細めた。

そこは、これまでの施設とは明らかに異質だった。

広い。異様なほどに。

そして――静かすぎる。

音が、ない。

生き物の気配も、機械の唸りも。

ただ、そこにあるのは無機質な空間だけだった。

足元は金属。

壁は黒く、光を吸い込むような質感。

中央には、一本の通路。

その先に――巨大な扉。

まるで、すべての終わりを告げる“門”のように。

「……来いってことか」

キイチが低く呟く。

誰も反対しなかった。

ここまで来て、引き返す理由はない。

三人は歩き出す。

コツ……コツ……と、足音だけが空間に響く。

やがて、扉の前に辿り着く。

今まで見てきたどの扉よりも重く、巨大で、圧倒的だった。

そして、その横には端末。

表示された文字を見た瞬間――

三人の思考が、同時に止まる。

【最終試験】

「……ここが、終わりか」

ミナが小さく笑う。

キイチは何も言わず、手をかざした。

ピッ。

【被験体No.31 認証】

続けて――

【被験体No.52 認証】

そして――

【被験体No.07 認証】

数字が並ぶ。

ここまで生き残った証。

ガコン。

扉が、ゆっくりと開いた。

溢れる光。

強すぎる白に、思わず目を細める。

そして――

「……嘘だろ……」

そこにあったのは、“空”だった。

青い空。

風の匂い。

光。

そして――ヘリコプター。

「外……なのか……?」

無人島じゃない。

そこは巨大な施設の屋上だった。

遠くには、都市の影。

世界は、すぐそこにあった。

「ようこそ、最終地点へ」

上空から、あの男の声が降ってくる。

ヘリの扉が開く。

そこに立っていたのは――すべての元凶。

「おめでとう」

男は笑う。

「君たちは“選ばれた”」

「……ふざけるな」

キイチの声が低く響く。

「これで終わりか?」

男は肩をすくめた。

「終わり? いや――始まりだよ」

その一言で、全てが歪む。

「この実験は成功だ」

淡々と語られる狂気。

「極限環境での適応、生存、協力、裏切り……すべて記録できた」

「だから何だってんだ!」

ダイゴが叫ぶ。

「俺たちを帰せ!」

男は少しだけ考える仕草をして――言った。

「帰る場所が、まだあるのか?」

言葉が、刺さる。

日常。

家族。

過去。

すべてが、遠すぎた。

「君たちはもう“普通”じゃない」

男は静かに告げる。

「だから、選べ」

指が一本、立つ。

「一つ。元の世界へ戻る。ただし――記憶は消す」

もう一本。

「二つ。このまま進む。より過酷な場所で、さらに上へ」

「……狂ってる……」

ミナが呟く。

キイチが問う。

「三つ目は?」

男が笑った。

「いい質問だ」

その声が、低く落ちる。

「三つ目――」

一瞬の静寂。

「ここで、俺を殺す」

空気が凍る。

距離はある。

だが――不可能じゃない。

ダイゴは拳を握る。

ここまで来た。

生き延びた。

仲間ができた。

そして――真実を知った。

「……どうする」

問いかける。

キイチとミナを見る。

答えは、一瞬だった。

キイチが前へ出る。

ミナが横へ走る。

そして――

ダイゴが地面を蹴った。

「終わらせる!!」

銃声が響く。

プロペラが唸る。

風が暴れる。

砂が舞う。

すべてが混ざり合う中で――

三人は、選んだ。

戦うことを。

正しいかどうかなんて、分からない。

だが――

自分で選んだ道だった。

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