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孤島漂流記 無人島だと思ったら人がいた  作者: レモンティー


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3/12

第三話:共闘

地面を蹴る音と同時に、空気が裂けた。

最初に動いたのは――相手の男の一人だった。

「っ!」

一直線にキイチへ突っ込む。

手には粗雑なナイフ。

だが――

「遅ぇ」

キイチの声が、冷たく落ちた。

次の瞬間。

キイチの槍が、横薙ぎに振り抜かれる。

ガキィン!

金属と木がぶつかる鈍い音。

相手は咄嗟にナイフで受けたが、勢いを殺しきれずに体勢を崩した。

「――!」

そこへ、間髪入れずに突き。

槍の先端が、相手の肩をかすめた。

血が飛ぶ。

「ぐあっ!」

男が後退する。

その一瞬の隙。

残りの二人が動いた。

「囲め!」

女の声。

短く、的確な指示。

左右から同時に詰めてくる。

キイチの動きが止まる――

そう思った瞬間。

「ダイゴ!」

名前を呼ばれた。

「右を潰せ!」

「っ……!」

反射で動いていた。

怖い。

足が震える。

それでも――逃げるわけにはいかない。

ダイゴは拾っていた槍もどきを構え、右側の男へ突っ込んだ。

「素人が!」

相手が笑う。

振り下ろされる刃。

避けきれない――

その瞬間。

思い出した。

キイチの言葉。

『正面で受けるな。ずらせ』

歯を食いしばり、体をひねる。

ギリギリで軌道を外す。

頬に浅い傷が走った。

だが――生きてる。

「うおおおっ!」

勢いのまま、突き出す。

当たるとは思っていなかった。

だが――

「っ!」

相手が避けきれず、脇腹に刺さった。

浅い。

それでも、確実にダメージは入った。

男の動きが鈍る。

「くそっ……!」

その瞬間――

「下がれ!」

キイチの声。

同時に、背後で何かが弾けた。

振り向くと――

キイチがもう一人を地面に叩き伏せていた。

槍の柄で首元を押さえつけている。

完全に制圧していた。

残るは、女一人。

彼女は動かなかった。

仲間がやられたというのに。

ただ、冷静に状況を見ている。

「……やるじゃん」

ぽつりと呟いた。

その目は、むしろ興味深そうだった。

「ねぇ、提案があるんだけど」

キイチは槍を向けたまま動かない。

「断る」

即答。

だが女は笑う。

「聞くだけ聞きなよ。損はない」

沈黙。

風が吹く。

木々がざわめく。

やがて――

キイチが、わずかに顎を引いた。

「……言え」

「この島、思ってるよりデカいよ」

女はゆっくりと言った。

「で、水場は限られてる。でも――まだ“見つかってない場所”がある」

「……何が言いたい」

「情報、持ってる」

その一言で、空気が変わった。

「その代わり――」

女の視線が、真っ直ぐにこちらを射抜く。

「私を仲間に入れて」

「ふざけるな」

キイチの声が低くなる。

「さっきまで襲ってきた奴を信用できるか」

「じゃあ、このまま消耗戦する?」

女は肩をすくめる。

「この島で一番怖いのはね、“戦い続けること”だよ」

言葉に、妙な説得力があった。

「いずれどっちも削れて――最後は別の連中に食われる」

沈黙が落ちる。

確かに、その通りかもしれない。

キイチは考えている。

ダイゴも――迷っていた。

「……名前は?」

ダイゴは思わず聞いていた。

女が少し驚いた顔をする。

そして――

「ミナ」

短く名乗った。

「……俺はダイゴ」

「知ってる。さっき呼ばれてたし」

軽く笑う。

その余裕が、逆に怖い。

キイチがゆっくりと槍を下ろした。

だが、警戒は解いていない。

「条件がある」

「いいよ、聞く」

「嘘をついたら、その場で殺す」

ミナは一瞬だけ目を細め――

すぐに笑った。

「フェアだね」

こうして――

ダイゴたちは三人になった。

敵だったはずの相手と、手を組む。

それが正解かどうかは分からない。

だが一つだけ、確かなことがある。

この島は――

一人では、生き残れない。

そして。

人を信じることは――

生きることと同じくらい、危険だ。

その夜。

ミナがぽつりと言った。

「……この島、“出口”あるよ」

「……は?」

ダイゴは思わず聞き返す。

キイチも、初めて明らかに動揺した顔を見せた。

「見たことがあるの。ここじゃない、別の場所で」

焚き火の火が揺れる。

「でも――」

ミナの表情が、ほんの少しだけ曇る。

「そこに行った人、誰も戻ってない」

静寂。

波の音だけが、遠くから響く。

希望か。

それとも――

絶望か。

ダイゴたちの次の目標は、決まった。

その“出口”を探すこと。

そして――

そこに何があるのかを、確かめること。

無人島での生存は、次の段階へ進む。

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