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本練習の幕開け

練習には少し慣れてきた。

仮入部期間は2ヶ月。2ヶ月終えたころに本入部するか決める。今は仮入部してから1ヶ月と1週間経過していた。


ジョギングからの腹筋、腕立て伏せは、入部当初はプルプル震えていたが、震えずにできるようになってきた。

だが、フォームはまだ格好が悪いため、フォームを意識して取り組む必要がある。筋肉もほんの少しついてきた。

その後の長距離ランニングは、一週間に5分ずつ増やし今では60分走れるようになった。入部当初は長野と一周差だったが今では半周差位に縮まった。


60分ランニングを一週間続けたところで

佐藤先生から「よし!お前ら今日からペース走に混ぜてもらうんや」と指示を受けた。


俺はようやくペース走ができると喜び過ぎてしまい

「はい!」と校舎にまで響きそうな声で返事をした。しかし、長野は小声でボソボソと返事をしていた。


いよいよ待ちに待ったペース走である。一二周で追い付けなくなるのではないかという不安と裏腹に今の実力がどの程度なのか気になっている。もちろんついていくのはBチームのペース走。そこには坂口もいる。先輩部員が「じゃあ、始めるね。」と話した瞬間、一斉に他の部員は腕時計のストップウォッチを起動した。


初めは300メートル78秒と差程ジョギングと変わらないペースであった。そのため、そこまで早く感じなかった。以前であればすぐにくたばっていたかもしれない。

5周走ると3秒短くなり75秒になった。他の部員は軽々スピードを上げているが俺は物凄く必死である。気を抜くと今にも足が止まってしまいそうだったが必死に食らいついた。7周目、坂口は余裕そうだが俺と長野は次第にフォームを崩している。肩で息をしてしまっているため、体力の消耗がより激しくなる。他の部員はフォームを綺麗に保てている。

「はぁはぁはぁ。」

呼吸のしすぎだからか喉奥が乾燥し少し血と唾液が混ざった味がする。

「はぁはぁはぁはぁ」

俺も長野も次第に息が荒くなっていった。

長野は次第にペースを保てなくなりトラック半周いったところでBチームの集団と徐々に差ができてきた。その差は次第に大きくなり、長野はちょうど7周でリタイアをした。

俺は呼吸も足も限界だったが、身体の内側から何かが燃え必死に食らいつく。

「はぁはぁはぁはぁ」

息が止まらない。次第に唾液よりも血の量が上回りそうで口の中が気持ち悪くなる。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

9周目に入って200メートル到達したところで徐々に差がついてきた。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

必死に食らいつき、集団との差は一定になった。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

10周目に突入し、少しずつスピードが上がった。そのスピードに耐えきれず10周目の100メートル行ったところで俺は力尽きた。


スタート地点に戻ると、佐藤先生は

「初めてにしてはよう頑張ったなぁ。正直長野よりも走れるなんて驚いたでぇ。その調子で食らいついていけば近いうちに完走できるようと思うわぁ。その調子で頑張るんや。」と褒めていただいた。俺は少し嬉しかった。サッカー部の時は少しも褒められたことがなかったので新鮮である。必死ながらも食らいついた甲斐があったなと思った。

蛇口をひねり汗ばんだ顔を洗い、血でいっぱいになりそうな口の中を3回ゆすいだ。急に止まると苦しかったため、水道の蛇口の周りを下を向きながら「はぁはぁ」といいながら歩いた。数分後、ようやく顔をあげれるようになったため、Bチームの様子をうかがった。見ると14周終わりかけであった。坂口を見るといまだにBチームの集団に残っていた。しかも、俺と違ってフォームを崩さず、一定のスピードで走っていた。

15周目に入ると先輩部員を初めペースを上げ始めた。それでも、坂口は集団の真ん中にいた。先輩部員がスピードをあげきれずにいたが、坂口は14周目よりも早く走っていた。そして、15周完走した。顔をしたに向け「はぁはぁ」と肩で呼吸する部員が多い中、坂口はどこか涼しげな顔をしていた。息は少し上がって入るものの、大人がタバコをふかしているようにゆっくりと細く息をしていた。また、肩は上がっておらず脱力感があった。やはり坂口は強敵である。それを見て、今年中には坂口と並べるように実力をつけたいと思った。


俺はダウンジョグを始めた。今回のような激しい練習の後は必ずダウンジョグを行う。ダウンジョグとは、早く走った後に急に止まると足への負担が大きいため、歩いているのと同じくらい遅く走り、足への負担を軽減する役割があるらしい。

俺は今日あった出来事をぼーっと振り返りながらダウンジョグを終えると、長野は既にストレッチをしていた。挨拶しないのも悪い印象を与えると感じた俺は、軽く「お疲れ様。」と話した。

すると長野は、

「今回先にリタイアしたのは、急に横っ腹が痛くなっただけであって、本来だったらお前なんかよりも長く早く走れるし。」と顔を真っ赤にし、早口で悔しそうに話してきた。

俺は長野を煽りに来たわけではなかったので凄く気分が悪かった。長野の発言から考えるに初めから下に見られていたようでより不快だった。ほんの少し前、演劇部の後藤を少し下に見ていた自分自身を鏡で写された気分だった。俺は長野と異なり、後藤に言い訳なんかしていないが、謙遜していた後藤を何故か少し下に見ていたのは事実だ。その過去の自分とも重なりより一層長野の発言が不愉快だった。


部員全員がストレッチを終え、一年生に向け佐藤先生からお知らせがあった。

「二週間後にハトムギ総合運動公園で記録会を行おうと思う。外来組はこの2ヶ月、内来組と坂口は3ヶ月よう走ってきた。だからこそ、今回の記録会はきっといいタイムが出るはずなんやぁ。今の実力を知るためにも、物凄くいい機会や。だからこそ残りの期間も頑張るんやぁ。本入部前最後やからそれまで必死に努力するんやぁ。」と話した。

俺はまた力み大きな声で「はい!」と返事した。


いよいよ記録会。俺は坂口と現時点でどのくらい差があるのか気になるところである。

嫌みを言ってきた長野にはもちろん圧勝してやるぞと一人メラメラと燃えていた。







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