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72 私刑

「それではこのまま決闘となります。ギルドの訓練所へどうぞ」


 受付のお姉さんの案内でギルドの訓練所へと案内された。


「お姉さん。武器の貸し借りはあり?あと武器の制限は?」


 一応、念のため聞いておこう。私の刀と剣はマジックバッグに入ってる。キョーコも各種装備はインベントリにいれているはずだ。キョーコも頷いている。相手も完全武装してるけど、武器はこちらが上だな。防具に関しては、向こうは一応金属が主体の鎧を全員着ている。


「何でもありあり、どちらかが死ぬか再起不能になるまでのデスマッチとなります。く、こんなときばかり全員で来るなんて…」


「ただ、決闘と口上での決定は絶対なんだ。そこは変えてはならない。なるべく再起不能になった時点で俺が間に入って止めるから…何とか生き延びてくれ」


 ギルドマスターが恐らくできる範囲のギリギリのラインをやったくれようとしてくれている。 これは向こう側が有利だ。人数とか。装備とか。パッとみると装備はね?胴は革の装備だけど。他はミスリルなのよ。ふふふ。汚しが入ってるから私たちの装備ってミスリルに見えないんだよ。教えんけど。


「向こうの人達を殺しても大丈夫なんですね?むごたらしくミンチになっても衛兵さんにつかまらないんですよね?」


「股間蹴り上げても大丈夫ですよね?二つとも潰しても、女性も蹴り上げても大丈夫ですよね?あのデカパイもげても、衛兵さんにつかまらないよね?人権団体とか来ないですよね?」


 キョーコも私も捕まりたくないから、衛兵さんに聞いてみた。


「決闘であれば何があろうと、捕まることも、捕まえることはありません。く、なんとしてでもポーション投げますから?」


 ヒール飛ばす技術は確立されていないんだよね。やはり回復にはポーション投擲。今の戦術は蓋を外してから投げてぶつける、投げられたポーション瓶を射手が患者の真上で射抜く、もしくは固そうな鎧部分に投げつける、だそうだ。戦の時よりさらに高度な技術が必要だ。


「キョーコは武器なに使うの?」


「うーん、メイスかな?これならあいつらの鎧も関係ないよね?」


「そうだね。メイスならあのプレートメイルもひしゃげるね?あれ鉄だからさ?キョーコ。剣借りてもいい?」


「いいよ?はい」


 キョーコからミスリルの剣を借りた。汚し加工でミスリルの輝きはない。パッと見れば鉄の剣だね。凄い技術だな。この汚し加工。


 ギルドの訓練所に到着。ギルドの建物のうらてにあった。青空訓練所。ここなら断末魔の悲鳴が街に響くことなく消えていくだろう。


「では、私、衛兵のメイビスが立会人となります。死んでも恨みっこなしの真剣勝負。無様な命乞いには制裁がありますので、正々堂々戦い抜いてください。私の合図で開始となります」


「あの二人をやったら、マークは解放しろよ?」


「私たちが勝ったら?何かいいことあるのかしら?」


 キョーコが聞き返していた。そうだよね?向こうは解放しろってご褒美あるのに私たちにはないってひどいよね。


「そんなのは万にひとつもないから気にするな」


「えー?じゃあ解放はなしでしょ?利き腕を切断だよ?じゃあ私たちが勝ったら、マークは拷問ね?そのあとに利き腕を切断だよ?」


 とりあえず私がねじ込んでおいた。くくく。メアリーにも楽しみ与えないとね。ズルいって言われちゃう。


「勝ったほうには、負けた人の持ち物、お金、装備などが与えられます。借金がある場合は、借金は勝者にはつきません。安心してください。えーと、世界の果てはチームの財産ごとですね?過半数越えるので。キョーコさんとマチルダさんは個人分になります」


 受付のお姉さんが付け加えてくれた。やる気出るね。負けたとしても失うものはなにもないかな?私の鍛造の剣とお爺さんから貰ったミスリルの防具かな。それは負けられないな。


「それでは位置についてください」


 相手との距離はおおよそ7メートルほど。相手の武器には飛び道具はない。魔法使いはいるかもだけど、全員剣を持っていた。


「キョーコ、作戦はこうだよ?ゴニョゴニョ」


「うん。わかった。やってみるね?」


 私たちは横に並ぶ、向こうは前三人、後ろ三人だ。前列中央がギオルだ。男女で区別はないようで前衛に女性もいた。


「では…………はじめ!」


 私は両手の投げナイフをキョーコは軽い方のメイスと槍を投げた。投擲のモーションは見えないほどだった。


「え!?あれ?死んだ?」


 メイスが前衛の男の右胸から肩を抉ってコースが変わり、後衛の女の頭を粉砕し大木にぶつかり大木が倒れていた。槍はギオルの右肩を掠めて、そのまま後衛の男の胸を貫通し後ろの塀を破壊した。見ていた衛兵さんが現実に追い付けていない。口開けてるよ。


 私のナイフは前衛の女に二つとも深く刺さった。両目か。声もなく倒れたけど、後衛の女も狙ったのよ?前衛が変な動き方した。仕方ないから動くか。狙いはあいつだ!!もげてしまえ!!


「……な!?くそっ!?その攻撃なら防いでみせっがぶっ!?」


 メイスを持ったキョーコがそのまま前衛中央のギオルに攻撃しようとメイスを振るう。当てようとしてゆっくりだな。盾でメイスをガード。そこからフルスイングされたメイスによって、左手が肩から引きちぎれ盾と一緒に吹き飛ぶ。


「何が起きた…?」


 ギルドマスターが驚きの声をあげた。私は後衛の女に走りより、剣を抜き打ち、逆袈裟懸けで鎧ごと叩き切った。崩れ落ちた上半身。下半身はまだ大地にたっていた。


「う!?…おえっ…」


 受付のお姉さんが吐きそう。ごめんよ?


「鎧着た冒険者が…普通あんな風に斬れるか?それとあの大きさのメイスを、あのスリムな体形で…あんなに振ることできるか?俺でも無理だな…おえっぷっ…。あの抉られた死体と破裂した頭…なに投げればあんな風になるんだよ?」


 ギルドマスターが説明してくれた。女性衛兵さんが向こうで吐瀉してた。


 決闘開始から一分もたっていない。ギオルのうめき声だけが響く訓練所には血と臓物が溢れていた。


「じゃあな?」


 メイスを振り上げたキョーコを見たギオルはそのまま気絶した。



 静かになった訓練所に女性衛兵さんがそこまでの声をかけた。

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