↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラスボスと空想好きのユア 2 Precious Bonds  作者: レセラン
第1章 新たな脅威

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/158

第14話「三人衆」

 夜のフィーヴェ。

 フィトラグス、ティミレッジ、オプダットの三人は、無差別襲撃事件の犯人であるディファートに襲われ、大きなダメージを受けていた。


「よっわ。大したことなくて、だる……」


 黒マスクの青年は、気だるく皮肉を言った。


「これがディンフルや超龍からフィーヴェを救った勇者か。聞いて呆れるぜ」


 尖った耳の青年はパーティを侮辱すると、フィトラグスの後ろ髪を引っ張った。


「ぐっ……」


「お前、正義の国の王子らしいな? その割に、ディファートは救えてねぇじゃねーか!」


 尖った耳の青年が文句を垂れると、今度はオレンジ髪の子供が楽しそうに言いながら近づいて来た。


「そんな人に、正義の味方は名乗らないで欲しいよね~」


「そういうの、“偽善”って言うんだよ」


 最後に、黒マスクの青年がため息まじりに茶化した。


「ディファートは保護することになった……。今は理解者が少ないが、君たちも、必ず助けるから……」


「ウソつくな!!」


 痛みを堪えながらフィトラグスが説明するも、尖った耳の青年は信じなかった。


「本当だよ……。今フィーヴェは人間とディファート、仲良くする世界になってんだ……」


「そんなの夢物語だね」


 倒れた体を起こしながらオプダットも説得を始めるが、黒マスクの青年は吐き捨てるように言った。


「辛い目に遭って来たんだろうけど……、こんなことしたら、逆効果だよ。そうでなくても……」


「弱いくせにうるさいよ!」


 続けてティミレッジも諭(さと)そうとするが、少年がさえぎった。

 三人の説得は、ディファートたちには届かなかった。


 尖った耳の青年は持っていた剣の刃を、フィトラグスの首に当て始めた。


「フィット?!」


 オプダットとティミレッジが立とうとすると、あとの二人がその前に立ちふさがった。

 剣を向けた青年は、楽しそうな表情を浮かべていた。


「フィーヴェ代表国の王子を殺せば、世界はどう思うかなぁ?」


「ダメだ! 人間との争いが始まったのは、大昔にディファートが人間の王子を殺したからだ! 同じことをしたら、なおさら両者の溝が深まる!」


 ティミレッジは体を起こせず、声だけを張り上げた。

 それでも敵は、剣を下ろそうとしなかった。


「溝なんて今さら埋められねぇだろ。それもこれもみんな、てめぇら人間のせいじゃねぇかよ!!」



「やめて下さいっ!!」



 尖った耳の青年が怒鳴ると、同じ声量でユアが叫んだ。

 彼女は全員の注目を浴びながら、フィトラグスたちの近くまで来た。


「ユアちゃん、帰ってなかったの……?」


「早く帰れ! ここは危ないぞ!」


 ティミレッジとオプダットの制止も聞かず、ユアはおそるおそる、尖った耳の青年を見つめた。

 青年は、凝視して来る彼女を訝(いぶか)しげに睨みつけた。


「何だよ……?」


「あ、あなたたち……クルエグム、レジメルス、アジュシーラだよね?!」


 ユアが敵の三人へ大声で尋ねると、彼らは驚いた目をした。


「な、何で、オイラたちの名前、知ってるの……?」


「その攻略本に書いてあるから!」


 オレンジ色の天然パーマの少年・アジュシーラが目を丸くすると、ユアは彼が持つ攻略本を指さした。

 久しぶりにイマストV(ファイブ)で新たに出会うキャラ相手に興奮していた。緊迫していた空気も読まないで……。


「コーリャクボン……?」


「“攻略”は“敵陣を攻め落とす”って意味だよ。それが本になってるって、どういうこと……?」


 アジュシーラが疑問を持つと、黒マスクの青年・レジメルスが言葉の意味を説明した。

 だが、彼らは「攻略本」が何なのかはわからなかった。


「あなたたち、イマストV(ファイブ)のボツキャラでしょ?」


 地面に伏せているティミレッジとオプダットが「ボツキャラ……?」と声をそろえて聞いた。


「“ボツキャラ”って言うのは、作られたけど本編には登場出来なかったキャラだよ。本来ならこの三人はイマストV(ファイブ)に出る予定だったけど、中止になったんだ。でも攻略本には一人ずつの情報も載ってるし、何ならゲームカードの中にもデータは残ってるんだよ。だから、よっぽどのイマストV(ファイブ)ファンにはとっくに知られてるんだよね。私ももう三人の名前を覚えたし、どれが誰なのかも見てすぐに……」



 ドォン!!



 ユアが思わず早口で解説していると、さえぎるように彼女の横の地面が爆発を起こした。


「ゴチャゴチャうるせぇんだよ」


 尖った耳の青年・クルエグムが爆発が起きた方へ向かって手を伸ばしていた。魔法を使ったようだ。

 彼は静かに言った後、フィトラグスを乱暴に離すと、ユアの真ん前に瞬間移動した。


 ユアは後ずさりをするが、クルエグムがすぐに距離を詰め、彼女の胸ぐらを掴んだ。


「ユア!!」

「ユアちゃん!」


 立ち上がろうとするティミレッジとオプダットを、アジュシーラが魔法を掛けて動きを封じた。

 フィトラグスも体を起こそうとするが、レジメルスに足で背中を押さえつけられてしまった。


 クルエグムはユアの胸ぐらを掴んだまま、彼女の後ろにあった木に押しつけた。


「俺らのこと知れてそんなに嬉しいか? 楽しいのか?! 一人で騒がしくして耳障りだし迷惑なんだよ! 情報手に入れて弱点探って、しまいには傷つけようとか思ってんだろ?! どこの誰かは知らねぇが、てめぇから殺してやるよ!」


 ユアは興奮がすっかり冷め、目の前のボツキャラに怯え始めた。


 これまで空想の世界ではこのような悪役に近づくことはなかった。

 むしろ、その作品のキャラたちが率先して守ってくれていた。


 しかし今、仲間たちは動きを封じられ、自身が未だかつてない危機にさらされていた。

 こんなことは初めてだった。

 ユアは今度こそ死を悟り、ガタガタと震え始めた。


「今さら命乞いしたって無駄だ。俺を怒らせたてめぇが悪いんだからよ!」


 クルエグムはユアを掴む力を強めると、もう片方の手から青紫色の球体を出した。

 ユアはさらに背筋が凍った。


「それは、やり過ぎじゃない?」


 そこへ、フィトラグスを押さえつけていたレジメルスが淡々と言った。

 だが、怒りで我を忘れているクルエグムはやめる気はなかった。


「こんなうるせぇ奴に、やり過ぎも何もねぇよ! 会う前から俺らのこと知ってるとか、何か企んでるに決まってるだろ!」


「こいつらと違って、戦う力を持ってない女の子だよ。そこまで警戒しなくていいと思う」


「うるせぇ!! お前は黙って、偽善の王子を止めてりゃいいんだ!」


 クルエグムが怒鳴りつけると、「だる……」とレジメルスはため息まじりに言いながら、フィトラグスをさらに強く押さえつけた。


 再び、クルエグムがユアを睨みつけた。


「やめろぉーーーーー!!」


 フィトラグスの叫びが野原に響きわたる。



 その時、フィトラグスを押さえていたレジメルスと、ティミレッジとオプダットに魔法を掛けていたアジュシーラの力が抜け、ドサッと倒れてしまった。


「どうした?!」


 突然の事態に、クルエグムはユアを掴んだまま振り返った。

 すると今度は、出していた魔法の球体が勝手に弾けてしまった。


 それに気を取られていると、今度は彼に紫色の光が直撃した。


「ぐはっ……!」


 クルエグムがその場で膝をつくと、ユアはようやく自由になれた。


 彼女だけでなく、フィトラグスらが安堵の表情を浮かべた。何故なら……。


「久方ぶりだな」


 紫色の長い髪に黒いマントを夜風になびかせながら、ディンフルが姿を現したからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
やっぱり最後に頼りになるのはディン様! 敵はDLC追加コンテンツかイマスト5外伝でも開発スタートしたのかな? と思ってたけど没キャラかあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。