98話 教団と死神2
ボーっとしていたが今は何も問題ないな。ここがどこかが分からないのはどうにかならないものか。見た感じは地下室だとは思う。身動きが出来ないように鎖で拘束してパイプに括りつけているのか。面倒なことをしてくれるな。
「坊主、飯を持ってきたぞ」
「拘束を解いてくれないのか?」
「解くわけないだろ」
このおっさんは僕を付けてきた奴だな。仮面をしているが声で分かる。あの男と瓜二つの奴は今の所見えないな。アイツをどうにかしないとここから出られそうにないからなぁ。服も着替えさせられているみたいだし、助けを呼ぶことなんて出来ないな。
「まぁ坊主」
「んだよ。こっちはどうここから出ようか考えているのに」
「・・・死神って言われている理由ってなんだ?」
「知らん。出口はあそこだけ?」
「なら仕方ないか。じゃまた来るからな」
あの野郎、普通にスルーして行きやがった。まぁ期待していなかったから別にいいんだがここはどうゆう所なのかだけでも知りたい。・・・どうやって飯を食えと言っているんだ? 拘束されているのにこのままじゃ飢え死にするかもしれないな
それが目的ならいいんだが、そうゆうわけじゃなさそうだな。僕を生かしておけば身代金が手に入るって訳なのかそれなら色々とすでに行動している筈なのに何故僕をこのままにしておくんだよ。流石に鉄の鎖を引きちぎれるほどの力は……コレ違うな。
鉄っぽいだけでプラスチックだな。本気で何が目的なのかを調べたいが今は拘束を引きちぎってここから抜けないとな。
「ハロー死神さん」
「てめぇか。ここから出せ」
「それは無理な相談だね。私の占いで君は教団に厄災を招く」
「厄災だぁ。そんなものを招いたつもりはない」
「君は多く者に影響をもたらしすぎだ」
だから何だよ。生きていれば影響することなんて普通にあるだろ。僕だけじゃなくてお前もある筈なのに何故、そんなことを言われないといけないんだよ。ってか僕は人よりも何かを出来るってだけだし、死神じゃないわ。
それにしても教団ねぇ。どんなのかは分からないが良くはないかもしれないな。僕を誘拐している時点で黒は確定しているんだからな。誰かの救いになっている可能性もあるけど、一線を越えてはダメだ。ある意味、コイツが言っていることは正しいのかもな。
「君に問おう。何者だ」
「ただのモブになりたい。天才だ」
「そうか……天災か。なら尚更ここから出すわけにはいかない」
「へぇ~いいのか? アンタの占い通りになるぜ」
「・・・させないさ」
それだけ言うと出て行った。肝が据わっている奴だな。おそらくは教祖だろうからアイツを人質にすればいいかもしれないな。ちょっと待てよ、先のセリフは悪役が言うよな奴ではなかったか? 僕は悪役ではないからな。
少し脅したら出してくれるかなって期待しただけだからな。本気でやろうなんて考えていなかったよ。
◇◇◇
[教祖視点]
つい先ほど、拘束している藤咲咲人とちゃんと会話した。今日は睡眠薬が完全に抜けきっている奴を目の前にしてちびるかと思ったがなんとか耐えた。最後の脅しに屈しそうになったがなんとか持ちこたえた。危なかった。
それにしてもモブになりたい天災ってどんな奴だよ。私は神になりたくて教祖として君臨したが、こんな訳の分からないことを言う奴には初めて会った。兄さんは仕事をクビになって精神が病んだのかと思っていたが、もしかすると奴が原因かもしれない。
出来ることならもう会いたくはないのだが私の未来の為には会わないといけないな。この教団を失ってしまったら私の神になるという計画はどうなるのだ。神にならないと私はいけないのだからなるのだ。
「教祖様、お久しぶりです」
「大きくなりましたね」
「はい教祖様のおかげです」
「そうですか。新しい家はどうです?」
私が面倒を見ていた孤児が久しぶりここまで来た。彼は3年前に里親が見つかった。孤児は他にもいるが私はその子らをしっかりと教育して里親に送り出していますがソレはお金に困るからです。決してこの子らの為ではないです。
「いい所です。みんな優しくて……けど寂しいんです」
「・・・いつでも戻って来てもいいですよ」
「ほ、ホントですか」
「えぇここもアナタの家です」
正確には家ではなく教会ですがまぁ別にいいでしょう。彼は知らなくていいことですから。それにしても寂しいですか。私も寂しく感じますね。私ですらそう感じてしまうことがあるのですから彼はもっと寂しく感じていることでしょう。
戻ってくること自体悪いわけではないですから1日くらい泊まって、また帰ればいいのです。帰れる所がないのは辛いですから。私は悪ですが孤児たちは悪にもなってないのですよ。少しでもいい暮らしをしてほしいものですね。
「絶対に戻ってきます」
「えぇ私も楽しみにしていますよ」
「はい!! ではまた」
「はいまた」
今日が最後の日にならなくて良かったです。私が神になるその日までここを終わらせることはない。だからあの天災にやりあうしかない。私は恐怖に絶対に勝ってやる。たかだか高校生のガキに私やこの教団をつぶすことなんて出来ない。
「へぇ~アンタ慕われてるんだな」
「ぎゃー」
「ちょ、何腰抜かしているんだよ」
「し、失礼した。どうやって抜け出せたのだね」
死神が急に後ろに居たら誰だって腰を抜かしてしまうよ。本気で誰かに助けを求めたいと思うことは許してほしい。




