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99話 死神と守友家1

 鎖を千切って地下室を抜けたのはいいがまさか、子供に慕われている奴だったとは。それでも犯罪は犯罪だからここで裁きを受けてもらわないといけないんだよ。足が痛むけど明日があるからさっさとここから抜けていきたい。


「私をどうするつもりだ」

「裁きを受けてもらわないと」

「・・・分かったが、一つ頼みたいことがある」


 僕は彼の頼みを聞いた。彼の頼みを聞くとは言ったが叶える気など、なかった。頼みの内容を聞いて気が変わった。孤児院を守ってほしいという内容だったし、自首したから僕は頼みを叶えることにした。はぁ、孤児たちのことを思えるなら犯罪なんてしないでほしかった。



「久しぶりだな」

「サイコさん少しだけお話が」

「分かった。あっちに行こう」


 数分でパトカーが2,3台来て彼を乗せた。警官の中にサイコさんがいたので僕は早速彼の頼みを聞いてやることにした。とりあえずは僕が誘拐された時のことを話して、それから本題に入った。サイコさんは嫌そうな顔をしたが一旦飲み込んでくれた。


 そりゃそうだろうな。僕を誘拐した奴を守ってほしいって言ったのだから。サイコさんはおそらくはジジィから直接、捜索するように言われている筈だしな。こうなるとすごく面倒だろうが僕は、彼を許そうかと思っている。


「お前さんなぁ。あの守友家次期当主って立場だろ?」

「仮だから何も心配はないです」

「仮でもだ。普通にニュースもんだぞ」

「立場的に無理を承知です」

「・・・はぁやれるだけやってみる。期待はするな」


 期待はしていないさ、あのジジィの所にも乗り込んで言うからな。孤児たちのことを僕に任せられるのはごめんだから彼本人にやってもらわないとね。ここにいる大人たちが全員、今回の件に加担していたとしても僕は見逃す。


 それをジジィにも伝える。ただし僕の件は……だ。他にも何か犯罪をしているのであれば僕は何も知らない。彼は、彼たちは罪を償っていくしか出来ないのだから。まぁ外で何か騒いでいる奴らの声を聴く限りではしてなさそうだがな。


「家まで送ってやるから乗れ」

「守友家までお願いします」

「当主とヤル気か」

「えぇ……最悪脅します」

「警察の前でそんなことを言わないでほしいな」


 僕はサイコさんのパトカーに乗ってジジィの所まで行く。今回の件は相当怒っているらしいから何を交渉材料にすべきかをつくまでに考えておかないとな。



◇◇◇

[守友朝晴視点]


 誘拐された孫息子が何やらウチに来るそうなので使用人へ急ぎ準備するように言ったが儂の所よりも行く場所があるだろうに、面倒なことを言いに来そうだと思う。着いたらすぐにこちらへ通すように言ったから何も問題はないだろう。


 アレは儂よりも頭が回り普通にこちらの作戦を潰すことも簡単にやってのける。儂らが育てた兵士すら役に立たない。アレは儂の息子ですら歯が立たなかった存在じゃからその気になれば……国くらいは支配できると儂が勝手に思っている。まぁ時代が違えばって話じゃがな。


「当主様、咲人様が来られました」

「入らせろ」

「失礼します。ご当主様」

「それで何用じゃ。小僧」


 儂は入って来た孫に対して全力で威圧しながら要件を問う。アレが儂に礼儀を持って接しているということは誰かを本気で助けようとしている時だけだと分かっておる。夜夢の時も竜二の時もそうじゃったから分かる。


 自分の才能でいくらでも人を助けれる奴が自分自身では助けようとはしない。目の前にいる孫は今も尚あの時の後悔から抜け出せていない。だからこそ今回の件に関しては絶対に儂は許さん。あの男の双子で弟が誘拐したのだから。


 何を言われても絶対に許さんし、助けてもやらん。いくら可愛い孫でも儂は今回は本当に譲らん。絶対にじゃ。


「当主の座から降りでください」

「はい?」

「降りてくださるんですね。ありがとうございます」

「待て待て、疑問形じゃ」

「ちっ……そうでしたか」


 いきなり儂を椅子から降ろす気だったとは流石に驚いてしまったわ。もしかして、やっと咲人も当主になる気になってくれたのか。うれしく思うのぉ。儂も引退を考えてはいるが流石に学生にさせる気はないからなぁ。


 しかし咲人がどうしてもって言うなら考えてやっ__【ガッチャ】__ん? 今何か音が聞こえたのは気のせいだな。咲人の方から不穏な音が聞こえてきたのは儂が年だからじゃろ。儂は恐る恐る咲人の手元を確認すると拳銃があった。


「気が付いたか、ジジィ」

「待て早まるでない」

「早まってなんてねぇよ。オレ(・・)の頼み事を叶えるか、死ぬか選べ」

「脅しではないか!!」

「どうする?」


 儂は叶えることを選んだ。アレの目は本気で殺しに来ていたのだ。流石に儂とて孫に殺されたくはないから叶えてやるが……アヤツらに今回以外の罪がなければ釈放して、さらに孤児院へ支援しろじゃと。あの男と血が繋がっている弟じゃぞ。


 ロクなことはしていないだろうから儂は嬉々として承諾した。警察から連絡があるのが楽しみじゃなぁ。咲人にも何か仕返しを考えておかないとな。おもちゃで儂を騙してくれおって。


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