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93話 オカマ店長の試練? 1

 昨日の疲れがとれていないのに今日の放課後も僕は動きまくっていた。今日は雪菜さんが付き添いをしてくれているが……少しだけ距離が遠いような気がする。まぁここ最近は一緒にいなかったわけだし緊張でもしているんだろうな。


「ここって高い所だよね?」

「まぁ高いかな。ジジィ持ちだし別に気にしたことなかったなぁ」

「それはいいの?」

「いいよ。ちゃんとお礼で言うことは聞いているしね」


 まぁある程度はだけどな。そんなことよりも僕らが来た場所はあのオカマ店長が経営している”サブマッリン“で夜夢とたぬさんの勝負で使うキッチンを借りれないかを聞きに来た。普通に断られるだろうと思っているからダメ元って感じだ。


 ここにはお世話になっているし、もしものことがあったら守ってくれると思っているから信用してここに来たんだよな。ここの従業員は普通に強いから手出しはしない方がいい。一般人もいるけど、訓練しているからやり合ったら負ける。


「こんな服装で大丈夫なのかな」

「いけるよ。入ろうか」


 雪菜さんの手を取り店に入るといつも利用している時のお姉さん店員が笑顔で出迎えてくれた。何やら一番の人気だという情報を輪花からもらった。微塵もいらない情報だったのでゴミ箱に直行だったけどね。いつでもニコニコと対応してくれるから人気になるだろうけど、みんなそうじゃない?


「咲人様ではないですか」

「店員さんどうも。店長殿はいますか?」

「あの人なら仕込み中です。お部屋に案内しますね」

「大した用事ではないのでいいです」

「・・・彼女様に何か奢ってあげては?」

「あぁ~案内お願いします」

「はい、お任せください」


 僕らは部屋に案内された。僕は席に着くと小さくため息を吐き、あの店員さんにしてやられたことを少しだけ悔しがる。あのお姉さん、やり手過ぎるだろ。僕が雪菜さんに気があることをすぐに見抜いてあえて、”彼女様”って言いやがった。


 そんなことを言われたら断られないってのをよく知っている。だからあまり雪菜さんを連れてきたくなかったんだよな。はぁ……誰だよ。あの人を一番人気とか言った奴は、ソイツに今度会ったら何か奢らせてやる。


「雪菜さん」

「ひゃい」

「何か頼みましょう」

「そうでふね」


 顔が赤くなっているし噛んじゃっているじゃん。ここはリラックスできるようなモノを……いや雪菜さんに選んでもらう方がいいか。案外品数はあるわけだし、それに気にせず楽しんでほしいってのもあるからね。・・・これが俗に言う放課後デートでは?


 そんなわけないと思うから気にするだけ意味はないんだろうけど。佐藤は毎回しているってことになるわけだしね。アイツは赤城に気があるくせに何故あそこまで女子を侍らせるのか分からないってものあるが、しっかりと一線は引いているから好感は持てるんだよな。


「雪菜さん、どれ注文する?」

「お水だけで……」

「ここは水の方が高いんだよ。厳選されているからね」

「じゃあコレでお願いします」


 アメリカン【ブラックのみ】でいいのかな? いやここは素人でも楽しめるってことで評判だけど……まぁいいか。僕がカフェオレを頼んでおけば問題はないだろうし、ケーキもあるわけだからなんとでもなるでしょう。


 ブラックのみじゃなくてもあるんだけど緊張でしっかりと読んでいないみたいだし今回ばかりはいいか。可愛いからそのままで居てもらって反応だけ楽しもうっと。苦いのがいけるのかは知らないからラッキーってことで。


「今日のおすすめのケーキあるけど、注文するね」

「サキくん……ありがとう」

「いいよ。ジジィのカードだし」

「それでもありがとう」


 真面目にバイト探そうかな? ジジィの所でバイトするのもいいんだけど、もう母さんにバレていい時給のを回してきてもらえなくなったなぁ。それに将来をどうするかも決めておいた方がいいわけだし、どうしたものかな。


 雪菜さんの将来を聞いてもいいけど、切り出し方が分からないからなぁ。雪菜さんはお世辞にも天才とは言えないしあの学校に通えるほどの学力があるかといえば、ギリギリのラインだ。家庭環境はいいから通えているんだろうな。普通なら反対されているだろうし。


「お待たせしたわね。咲人ちゃん」

「待ってませんよ。雪菜さんこちらは」

「店長の佐波マリンよ。姐さんって呼んでね」

「えっと、私は桜木雪菜って言います。よろしくお願いします」

「えぇよろしくね? 注文は済ませてる?」

「いやまだですね。決まってはいますが」


 店長殿が呼び鈴を鳴らし僕らは注文した。雪菜さんは初対面のオカマに少し緊張しているみたいだけど普通に会話出来ている。だが店長殿は雪菜さんを見る目はいまだに品定めをしている。何を探っているのかは分からない。


 人を見る目は確かなタイプだからな間違っても何かを言ってこないだろう。あの家とは長い付き合いだが贔屓(ひいき)しているようなことはしていなかったしな。だから僕は安心してここに雪菜さんを連れて来れる訳だしね。


「咲人ちゃん」

「どうしました?」

「この子とは付き合わない方がいいわよ」

「どうしてですか?」

「釣り合ってないじゃないのよ」

「・・・はぁ、お前もそっち側か」

「夜夢ちゃんの方が釣り合っているもの」


 このオカマ、わざと言ってるな。ふざけやがってと言いたいところだけど、言うのは違うわな。だから僕はあえてため口でそう言ったのだが、オカマ的には正解だったみたいだな。雪菜さんを試すついでに僕のことを試してきやがった。普通は分からないぞ。


「注文が届いたみたいだし食べながらお話しましょう」

「その前にお手洗いに行ってくる」


 アイコンタクトで二人っきりにしてじゃねぇよ。仕方ないからのってやるけどな。雪菜さん、頑張れって心の中でしか言えないけどね。まぁ簡単な試練みたいなモノらしいけど、僕は受けているのかは分からないんだよな。

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