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89話 学校新聞 2

 そもそも何故、今朝のことがもう学校新聞に載っているかは普通にこの学校の新聞部が優秀だからとしか言えない。しかも顧問もノリノリで作って学校にばら撒くものだから困っているらしい。


「私の雪ちゃんが……」

「君のではないだろ。ってツッコミはいらないからな」

「それでアンタはどうするの?」

「放置」

「色々とやっておいた方がいいんじゃない?」


 たぬさんは知らないかもしれないけど、根回しする方が面倒なんだよ。だから一旦は放置で被害が出そうになったら潰すってのが楽。意味が分からないくらいに僕の敵が多いんだから……それくらいは楽をしたい。


 敵からは雪菜さん家や家族は無条件で守るけど、その他は自分でなんとかしてほしいって思っているからなぁ。僕が原因なら動くけど違うのであれば何もせずに傍観しておきたい。


「・・・一旦は協力関係だけど、後はどうするの?」

「誰のことかはわからないけど無視かな」

「私は敵対関係にいたって覚えてないでしょ」

「いや覚えているよ」

「絶対に嘘ね」


 はい、嘘ですよ。すっかり忘れていたよ。だって雪菜さんと仲良くなってからものすごく僕への当たりが優しくなったと言うか……なんて言うか。それに色々と協力してくれるみたいだし、料理は下手くそだけど。


「下手くそで悪かったわね」

「およ? 声に出てた?」

「顔に書いてあった」


 えぇ〜顔になって書いてないだろ。表情から読み取るとかその筋のプロかよ。一応は女優? だったか。まぁ子役をやっていたってことくらいしか知らないから何が出来るとかは知らないけど。


「で上手くなったの?」

「なるわけ無いじゃない」

「母さんから必勝法でも聞いた方が早いか」

「あるの!?」

「それはな……」

「それは」

「練習」


 僕が言い終わると膝から崩れ落ちた。本当に面白くなったな。そんな膝から崩れ落ちるような感じの絶望感はなかったような気がするのは僕だけなのか?


 まぁいいや。学校新聞よりも大事なことを聞きたいしこのまま絶望しておいてもらった方がゲロってからそうだ。


「料理の事よりも聞きたいことがあるんだけど?」

「何よ」

「竜二が何を企んでいるかを」

「・・・知らないけど、おそらくは私たちは利用されていると思うわ」


 まぁそうだろうな。アイツの動きがまるで読めないから困っているんだよ。せめて何が目的かさえ分かれば対策は出来るんだがな。僕や雪菜さんをわざと巻き込むような形にしている気がする。


 ただそれなら回りくどくせずに直接操った方が早いって分かっている筈。僕が考えているようなことが目的じゃない場合はその時点でアイツに負けるってことになるな。


「あの先輩はどうした?」

「先輩? あの人ね。佐藤裕太と一緒に訓練しているわ」

「一人でどこかに出かけたりは?」

「知るわけ無いでしょ」

「だよな」


 探ってもらわないといけないことが増えたな。竜二のところには元々行ってもらおうと思っていたが、危険な所だろうから控えていたけど……流石に情報が無さすぎる。


 向こうはおそらく僕らの情報を持っている。しかもつい最近のまでも。だとしたらどうすべきかは簡単だ。アイツが動く前に釘を刺して動けないようにしながら、他の問題を解決する。


「近々でいいから先輩の親と会ってくれ」

「はぁ!? リスクが高過ぎるわよ」

「佐藤と君と先輩で僕が指定した場所で会ってくれ」

「いやいや無理無理」


 そうだろうな。せっかく佐藤や君が頑張って準備しているのに無理やりそれを変更するからね。神月が一体何を教えているのかは僕には知らされていないがおそらくは……考えるのはやめとこ。


「私も学校新聞で……雪ちゃんと……」

「おい、何を考えてるんだよ」

「・・・何も考えてない」

「いや考えてるだろ」

「うっさい」


 こいつが何を考えているかはさておき、学校新聞で炙り出すのはいいかもしれないな。もしかしたら仕組まれている可能性があるからな。振り返ってみるとあまりにも出来すぎている。


 (くに)先輩のことも先輩Aのこと、守友家とその配下達のことも。簡単に解決出来すぎている。もしもそれらが種まきだったら? 芽が出るまでは大人しくしている可能性が高いだろう。


 あの男の手のひらだったら僕じゃどうしようもないからな。だから先手を打つ必要があるんだよね。それにこの学校に竜二の息のかかった奴がまだいるだろう。さながらスパイって訳。


「悪い顔しているわよ」

「悪い顔とは心外だ。学校新聞で竜二の部下を炙り出そうと思っているだけ」

「……そういうことね。いいと思うわ」


 一応カマをかけてみたが、たぬさんの反応を見るに普通にいるな。僕の平穏な学校生活に紛れ込んでいる奴が。そしてたぬさんは普通にソイツと接触しているか。聞き出すのが手っ取り早いけど、答えてくれはしないだろうな。


 学校新聞でスパイを誘き寄せつつ竜二の部下を捕まえることを考えるか。そうしないとマジで彼女らの計画が台無しになってしまうからね。新聞部にどんなことを新聞記事にしてもらおうかね。


 一番食いつきそうなのは……夜夢のことくらいかな?


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