88話 学校新聞 1
うわぁ学校に行きたくねぇ。夜夢に会うのが嫌だあ。行かないと流石に授業についてはいけるけど変に目立つことだけは避けないと。進学にしろ就職にしろ。しっかりとしないと二人に迷惑をかけてしまうからちゃんとしないと。
黒井先輩も竜樹とその婚約者も夜夢もジジィにしても僕の平穏を邪魔する連中を纏めて消す手はあるけど、なんせ時間がかかるし被害が大きくなる。そんなのに時間をかけるくらいならそのままにしておいた方がいいだろうな。さっさと準備していきますか。
行きたくないと思いながらも学校に着きクラスへ入って自分の席に着くと
「よっ、サキ」
「佐藤……」
「大丈夫だったか?」
「大丈夫だ」
佐藤は一体何を心配しているのかは分からない。ここ最近は色々とあったので変に心配しているだけだとは思うけど、一応大丈夫だとは言った。あぁ〜そういえばあの先輩Aについて何も聞いてなかったな。
「なぁ……あの人とはどういった関係なんだ?」
「あの人……先輩のことか。困っているところを助けてから仲良くなったかな」
「何か変なことがあったりしたか?」
「いや特に。ただ雰囲気が変わる瞬間はある」
意図的に切り替わっているのかなと思ってはいたが……やっぱり西さんの方が主人格の可能性が高いな。まぁなるようになるだろうとしか言いようがないからなぁ。どうすればいいとかは分からない。
ただ心配なのが竜二との接触だな。守友家の方が何やら起きそうな感じらしいから油断は出来ないけどこの脚じゃなあ。別に僕を巻き込んでこなければいいだけの話なのだけど、そんなことをしないように釘を刺しに行くってのも手か。
「なぁサキは先輩のことを信用出来るか?」
「出来ないな」
「・・・俺なら……出来るか?」
「物語の主人公だとしたらな」
コイツは物語の主人公だとしたら信用出来るが……もう友としては出来ないだろうな。僕は悪いがあの男を信用してしまった。まぁ僕はモブとして生きれればいいしね。
「物語の主人公か。サキからすればそう見えるのか」
「実際そうだろ? 僕はただモブでいいんだよ」
(雪菜……いや桜木さん関係か……だから)
何かボヤいているけど聞こえないから無視でいいか。それにしても朝だからといって教室があまり騒がしくないな。もう全員が登校してきている時間帯な筈だしもう少し騒がしい筈なのに。
誰かに何かあった……って考えるのが自然なことだけど全員いるからそれはないな。というか僕の周りだけ距離を置かれているような気がするのは何故? 目立つようなことは最近はしていない筈だから気のせいってやつだな。
「・・・雪菜さんとは関係はどうだ?」
「どうも何もないけど」
「先輩や原さん、夜夢さんについての関係は?」
「その三人はただ面倒な連中かな」
「恋人って訳では?」
「ないけど。一体なんの質問なんだよ」
佐藤が答える前に教室中が一気に騒がしくなった。雪菜さんはポカーンとしているし、赤城は気まずそうに目を逸らしている。宇恵野はメモを取っているし坂内に関しては佐藤と肩を組んでいるからマジで何があったのかが分からない。
数名が教室から出て行ったけど何が何やら。まぁ僕が気にするだけ無駄って言いたいところだけど……おそらくはこの騒ぎの中心にいることだろうから。ここは僕は何かをしないと落ち着かないだろうからとりあえずはこのばか二人から聞いてやるか。
「答えろ。なんだこれは?」
「藤咲っちが桜木さんのことを大事してないんじゃないかって話が出てきたの」
「はぁ? そんなことでここまで騒いでんのかよ」
「仕方ねぇじゃんか」
「サキは他人に対して冷たすぎるからな」
誰かに対して冷たくしたつもりは一切ないがまぁ……そう思われるのも仕方がないか。いやだからって僕が雪菜さんを大事にしないって話にはならないだろう。・・・ん? いや待てよ。1つだけ心当たりが
あるな。
西さんに押し倒されていたのを誰かに見られていたとしたら、大事にしていないって思われても仕方がないのか? いやここで僕が雪菜さんを大事にしているってことを証明できればいいわけだから簡単なことではあるのか。
「佐藤、坂内。僕は雪菜さんを大事にしているさ」
「根拠がねぇだろ?」
「軽い男は嫌われるぜ~」
「雪菜さんに何があっても僕が守る。大切な人はそうだろ?」
「サササササキキキキキキキキキ__サキくん!?」
そういえばここ教室で普通に雪菜さんがいたこと忘れていたわ。特に問題とかはないだろうから無視でもいいんだろうけど……周りが騒がしいな。壊れたロボットみたいになっているから直さないといけないだろうけど。
「藤咲くん、雪菜ちゃんのこと止めなくていいの?」
「大丈夫だと思う。気になるなら赤城が止めればいい」
「流石にアレを止めに行く勇気はないかな」
「壊れたロボット状態だな」
「うん。ものすごく怖い」
顔を真っ赤にしながら小刻みに震えている雪菜さんを見て赤城が心配したのか僕に近寄って来たが、単に自分が止めるのが怖かっただけ。僕もこれが雪菜さんじゃなかったら近付きたくもない。流石に母さんや父さんでも嫌かな。
まぁ何はともあれ誤解は解けただろうから安心して今日って日を過ごせる訳だ。多少は目立ってしまってはいるが、モブとしては確実に演じていれているだろう。
「アンタ、これは何? 私の雪ちゃんと恋人関係ですって?」
「学校新聞? ゴシップネタだろ」
「堂々の宣言って書いてあるわよ?」
昼休みに作戦会議として誰も居ない旧校舎の屋上でたぬさんと集まったのはいいのだが、詰め寄られていた。今朝のことを新聞に書かれていたらしい。仕事がお早いことで。
「それを僕に言うんじゃなくてそれを作った奴に言ってくれ」
「はぁ!? それもそうね」
たまにチョロくなるのはなんなの? ギャップ萌えでも狙ってんのかい。




