87話 彼女の独白? 1
両親が来て家まで運んでもらったのはいいけど、説教された。いや、これに関しては僕は何も悪くないと言いたいけど急に気を失ったって聞いたらそりゃ動揺するし、怒るわな。はぁ……これじゃあ毎日送り迎えコースになりそうだからどうにかしないと。父さんはまだ買しゅ__説得したらなんとかなりそうだなぁ。
「最近は色々とありすぎて疲れはするけど、まだ動かないといけないことが多いな」
輪花から色々と連絡が入っていて分かったが守友家も何やら動いているみたいだしなぁ。アイツらに関しては後で輪花に探りでもいれさせるとしても何故、雪菜さんと接触したのかを知りたい。外の人間だとしても今ここで何かをする必要性はないだろうからな。ただ僕も無関係ではいれないだろう。
あのジジィが僕を当主にしたいのを諦めない限りはあの家のことに巻き込まれるな。全部叩き潰すとしてもこれ以上、周りの人達に被害がいくのであればさっさと当主になることを受け入れて、即他のやつに投げ捨てることを考えておかないとな。
「考えても仕方がないか。寝よ」
◇◇◇
[守友夜夢視点]
厄介なことになりましたね。兄さんがお母様に疑われている状況下で行動などはしないと思いますがそれはお母様からすれば関係はないのですね。お兄様に何かアドバイスをいただけば良かったのかもしれないです。巻き込みたくはありませんがお母様と兄さんを上回るのであれば協力していただかないと私に勝ち目などはありません。
お兄様に協力してもらうには雪菜さんが必要かと思いましたがおそらくは逆効果でしょう。お母様は私に監視役をつけることでしょうから迂闊には行動はできませんね。そういえば兄さんの婚約者を探るように言っていた者が帰ってこないですね。殺されは……していないと思いたいですが可能性はなくはないですね。
「夜夢様、お時間よろしいでしょうか?」
「えぇ入りなさい」
「これが松川理留様の調査報告書になります」
「ありがとう。確認させてもらうわ」
松川理留は……非の打ち所がないですか。懐柔されている可能性を考慮してもこの報告書は何もおかしくないでしょう。まぁ兄さんを任せるのであればこのくらいの報告書は欲しいですね。お母様に対抗出来るカードかは分かりませんが、学力や体力、健康面でも何も問題はないです。
「月美、貴女に命令があります」
「なんなりとお申し付けください」
「いざとなれば兄さんを義姉となる方に預けなさい」
「・・・夜夢様は?」
「何も問題はありません。輪花を護衛につけます」
輪花はお兄様の護衛ではある方ですが、最優先事項は兄さんを守ることになるでしょうから私はその次です。彼女は一度は拒否するでしょうが私には秘密兵器があるので大丈夫だと踏んではいますがどうなることやら。
私の計画は兄さんを逃した後、お母様に改めて当主を目指す事を伝えた上でお父様とは関わらないようにさせる。もちろん、うまくいくなんて微塵も思っていないし行ったところでお兄様が介入してきたら詰む。一番の障壁はお父様でもお母様でもなく、お兄様ただ一人だけ。お兄様の前では、誰も彼もがただの凡人で才能のない人なのですから。
「月美には迷惑をかけるけど、兄さんをよろしくね」
「承知しました。咲人様はどうされるおつもりですか?」
「お兄様は……今は放置。関わられたら独壇場になってしまうから」
「それはその通りでございますね」
私と月美の共通認識ではお兄様は敵でも味方でもないが一番警戒をしないといけない人物なのです。あのお爺様の包囲網を簡単に突破し、挑発しておりましたからね。あの子に関しては予想範囲内ではありますが監視を付けておいても良いかもしれません。
お兄様を唯一と言っても良いほどに制御ができる人ですから。お父様にも狙われる可能性を踏まえてから行動しないといけません。どれも犯罪にだけならないようにしないといけないのは相当しんどいですね。私には守らないといけない存在がいるので頑張らないといけませんから頑張りましょう。
「月美、私が動かせる人員を教えて」
「二十人程度は動かせますがそれ以上となると……」
「お爺様かお母様じゃないといけないのね」
「はい。竜樹様の場合は五人しか動かせません」
「兄さんはあまり尊敬されるような行動をとらないから」
「・・・ノーコメントでお願いいたします」
私は二十人を動かせれるけど信用できる人物がその中に何人入っているかは分かりません。実際、良くしてくれていた方がお兄様によって潰されてしまって私を利用しようとして近づいて来たことが分かりましたし、慎重に見定めないといけないです。月美は信用しておかないと疑心暗鬼になってしまいます。
それに今、彼女に離れられると私はどうも出来ないのでそれだけは避けなくてもなりません。兄さんの件もありますから……もし彼女に利用されていたとしても安全圏まで連れて行かなければ、私は後悔してしまいます。
「夜夢様、私はどうすればよろしいですか?」
「一旦は下がって。また何かあれば相談するから」
「承知いたしました。お一人で抱え込み過ぎないようにお願いします」
「月美には甘えるわ」
「失礼いたします」
はぁ……私はお兄様みたいには出来ませんね。此処に無理やり連れてこられて知らなくてもいい事を教えられて、それを簡単に受け入れて神童などと周囲から呼ばれるようになったにも関わらず、どうして自身を持っていられるのかすら分かりません。
私は押し潰されそうになりながらでも前を向いているフリをしているのに“どうして”そこまでブレないのですか? お父様やお母様からの期待もお爺様からの信用も兄さんからの敵意も私は一人では受け止めきれていませんのに。羨まし過ぎます。
「ですが本当に羨ましく思うのは雪菜さんですね」
彼女は持っている側の人間ではないのに、お兄様は夢中になっています。雪菜さんは確かに不思議で目で追ってしまうことはありますが、それ以外なんて一切ないのに。私のお兄様から好意を寄せられているなんて
「ほんっと……妬いちゃいますよ」




