100話 IFの世界1
朝アラームで目が覚める。スマホで時間を確認すると五時だった。今日は入学式だから早めにアラームをセットしたけど、もう少し後でもよかったか。まぁ父さんや母さんの方が早く起きていることだろうし、新品の制服を着てリビングに行くか。
姿見で制服に変なところがないかを確認した後、部屋を出た。僕の両親は駆け落ちしたらしいが何やら伯父さんに見つかってこの街に戻って来たらしい。二人の家族には会ったことがないので どうゆう人たちなのかは僕には分からない。
なんて考えながらリビングに入る。リビングに入ると長机を囲んでいる三人がいた。決して4人家族ではないってことだけは言っておく。
「おっ、似合ってるな」
「サキも高校生ね。雪菜ちゃんもそうよねぇ」
「・・・」
「はぁ……母さん、父さん何時から起きているのさ」
「「三時!!」」
「入学式で寝ないでね」
父の藤咲将狼、母の藤咲花蓮……愉快で僕の両親だ。僕は咲人と名付けられていて愛称はサキだ。親しい人にはそう呼んでもらっている。でさっき名前が出てきた雪菜ちゃんとは隣に住んでいる桜木家の娘さん。僕と同い年で幼馴染だ。もう一人いるけど。
よくも人の家で堂々と飯を食っている奴こそ、もう一人の幼馴染の原たぬき。親は海外で仕事しているらしく物心ついたときから一人暮らしとのこと。本人も役者の仕事しているわけだから寂しくはないって言ってはいるけど、よくウチで飯を食っている。
「馬子にも衣裳ね」
「こんな所に居ていいのかよ。国民的女優様」
「いいのよ。同じ所に通うんだし、幼馴染だし」
「仕事は?」
「休みに決まっているでしょ。おばさんおかわり」
「朝からよく食うよ」
僕ら幼馴染三人は同じ高校に通うことになった。この辺じゃ有名な森越高校に受かった。僕は全く問題はなかったが、二人は相当苦労したらしい。簡単だと思っていたが普通の人からすると難しいらしい。驚きだよ。
雪菜さんには放課後に勉強を見て、タヌキには仕事がない日に勉強を教えた。まぁ三人とも希望校が全て同じだったのでもし受かっていなくても他の二校が受かっていればそっちに行ったのに。まぁなんでもいいのだがな。
「サキト、知っている? 私たちがこれから通う学校に」
「あの権力者の孫がいるんだろ」
「なぁんだ。知っているのね」
「知っているさ。ニュースでも息子さんが出ているだろ」
「まぁねぇ。あの人は私は苦手」
まぁ僕には関係が一切ない話だからソレについては気にすることはないんだが、あの男の名前があったのが心配だ。アイツ推薦入学って話らしいが問題を起こさないだろうな? アイツは雪菜さんをイジメていたから警戒しておかないとな。
よくない噂がある奴だしな。雪菜さんとタヌキを守れるように登下校は一緒に行けるようにしておかないアイツに何かされる可能性があるからな。中学の時にクラスメイトに聞いた話では彼氏持ちを寝取ったりしているって聞いているしな。
「サキ……本当に行くの?」
「母さん、僕は通うよ。話し合ったでしょ」
「三人のことが心配なのよ」
「それは嬉しいけど……今から行くのやめますは出来ないよ」
二人の母校ですごく厳しいって言うことは知っているけど、僕らが決めたことだ。母さんは猛反対したけど、最後には折れてくれた。母さんの心配は分かっているつもりだが行った方がいいって思う利点が大きすぎるんだよ。
そこは有名人とかも通っている学校だから色々と融通が利く。タヌキの仕事で休むことが多いから出席日数とかの問題がある。学校側で対策をしてくれているのはこの辺じゃあそこくらいなモノだった。雪菜さんの興味がある物だってある。
二人には僕の身勝手ではあるが、どうしてもあそこに通ってほしかった。だから自分の勉強をそっちのけで二人の苦手や自作の問題を作っていたんだから。今更やめるなんてことは絶対に出来ないししたくない。何があってもだ。
「ふぅ……ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「サキト、洗面台借りるわね。あと、ユキを迎えに行くわ」
「了解。僕も向かう」
「こっちに戻ってくるしいいわ。おばさん、私たちが守るから大丈夫」
「そうよね。息子のことお願いね」
タヌキは頷いてリビングを後にした。アイツ……雪菜さんのことが好きだからって化粧してから迎えに行くのかよ。スッピンを見られまくっているのにな。まぁあの空気を変えてくれたことには感謝しかないけどな。
僕は朝飯を摂った後はリビングでゆっくりしていた。タヌキが戻ってくるのが遅くなるのは予想していたから色々と準備を済ませておいたけど、アイツの荷物また増えてない? 洗面台にも化粧品とかも増えていたし。
「ただいまぁ~」
「お、お邪魔します」
「来たか。タヌキ、お前の荷物持って帰__」
「サキくん、おはよう。どうかな?」
「・・・」
「何か言ってほしんだけど」
「サキト、なに無視して__うっそ。私のユキに見惚れてんじゃないわよ!!」
タヌキに殴られた衝撃で意識が戻ってきたが、危なかった。あのままであれば天国に行っていただろう。雪菜さんを見た瞬間、家に女神が降臨したのかと思ったくらいには綺麗だった。コレでよく地味すぎるとか言えたな。あの節穴ども。
「あ~似合っているよ」
「ほ、本当に? ぶかぶかだし」
「ホント。女神かと思ったくらいだし」
「ソレは言い過ぎだよ。タヌちゃんの方が女神みたいだよ」
「コイツが? 絶対にありえ__なぐるなよ」
「節穴野郎が!!」
どんな罵倒の仕方だよ。僕は本当のことしか言っていないのに。流石に玄関で騒ぐのはよくないからリビングに移動した。僕は楽しそうにしている二人を見ながら……天才でもいいことがあるのもだなと思った。地獄を常に見ている訳ではないから。
100話、いけたのでIFを書いてみました。
あと、3、4話くらいはIFの予定です。




