ユミルへの移住生活ー1 王国調査団とクーペと将の出会い
地図にはない、永延と続く荒野をいく一団がいた。
その一団の名は王国調査団。
反乱分子の内偵など、隠密任務や調査任務を遂行する為に作られた王国の特殊部隊である。
今回、最上位魔法発動についての調査の命を受けた調査団は今こうして魔法の発源地である場所にきている。
「クーペ魔導師長。ここですか?」
「ああ」
荒廃とした大地に一人、他の団員達と異種な雰囲気で佇んでいた男ークーペ・ファウンド・ヴァイスはそう短く返した。
彼の瞳に映るはただ荒野のみ。
それだけで何かを感じ取ったのかクーペは歩き出した。
「魔導師長どちらへ?」
「この先は廃れた村しかない。身を隠すには最高の場所だ」
「身を隠すって…私達の敵という事でありますか?」
「その可能性が高い」
クーペのその言葉に団員達の顔色が悪くなる。
まあ、無理もない。この森だった場所を一瞬にして荒野に変えた者が自分達の前に立ちはだかると言うのだ。恐怖を抱かない方が稀有だろう。
「私が偵察に行ってくる」
「魔導師長自らですか⁉︎」
クーペの言葉に団員は目を見開く。
クーペが普段、腰が重いとかそういうことではない。
人類魔導師の総大将が偵察という危険な任務に就くのはどうなのかということだ。
「大丈夫だ。サクッと終わらしてくる」
クーペはその言葉と共に白い閃光に包まれ姿を消した。
転移アウトしたのは村の外れだった。
クーペは警戒の為、辺りを見渡す。
敵の罠の類はどうやらないようだ。
だが、敵が潜伏しているとは思えない程長閑だ。
廃れた村といってもまだ村人は居るらしく、ちらほらと農作業をしている光景が見える。
取り敢えず情報を聞かねばと、クーペは近くにいた農作業をしている少年に声をかけた。
「ちょっと、君!話いいかな?」
クーペはその少年を一瞥する。
見た目は普通。だが、見たことがない異国の服を纏ったその姿は浮世離れしている。
「はい?なんです?」
その少年はクーペの調査団の制服に見ると明らかな敵意を一瞬、クーペに向けた。
怪しい。
クーペはそう感じたがこの者から魔力は感じれない。
先程のは気のせいかと気を取り直し先を続ける。
「この辺りに凄く強い人が居るって聞いたんだが、知らないか?」
「いえ…自分はそういう情報に疎くて…」
「そうか…君、名前は?」
「えっと…龍王谷 将です」
「私は王国魔導師長クーペ・ファウンド・ヴァイスだ。よろしく。それにしても変わった名前だね」
「そうですか?」
「ああ、ここではね。では私は暫くここに居るから、なにか情報が入ったらよろしく」
「はい」
「協力、感謝するよ」
クーペはそう礼を述べると踵を返した。
その少年が捜している最上位魔法発動者だと知らずに。




