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第66次インスレイター防衛戦と将の日常ー6 歌織と弥生の初戦とフィーメのフラグ

「結構高いな…弥生、行ける?」

「行けるよ!私、歌織に運動で負けるって言ってもちょっとだけだから!」


そう弥生は飛び出す。

それを見届けた歌織はやれやれとため息を吐いた。


「高い所嫌いなくせに…負けず嫌いなのは昔っから変わらないな…」


そしてそう呟くと弥生の後を追い飛び降りた。




「よっと」


歌織は綺麗に着地するとへたり込んでいる弥生の元へと駆け寄った。

そしてへたり込んでいる弥生の潤んだ瞳に歌織が映った瞬間、歌織は抱きつかれた。


「歌織〜怖かったよ〜」

「言わんこっちゃないな…ほら大丈夫よ」

「う…うん…」


弥生はもう大丈夫だろう。いつまでもくよくよしている子ではない。

自分の目の前に困っている人が居るのならば尚更だ。

彼女は優しい。

そして強い。


「立つよ」

「うん」


二人は立ち上がると戦場を見据えた。


荒れ果てた荒野に屍が累々としている。

血に(まみ)れ、罪という(かせ)を自分に括り付け自分の行動が正義であると信じているそんな二律背反な両軍兵士達の姿に少女達は何を思うのだろう。

だが、私の思いに反してその答えは簡単で尚且つ率直な物だった。


「「馬鹿みたい」」


息がピッタリとあい同じ事を言った二人は微笑み合う。


「自分達の正義を信じきって。争いによる連鎖を断ち切るのは自分達の正義を捨てる事なのにね」

「うーん。弥生、どういう事?あんまし難しい事は分からないんだけど?」

「この言葉は自分で考えてみて」


弥生はそう意地悪な笑顔を浮かべて魅せる。

だが、歌織は先程の言葉の意味が分からず頭から煙を出した。


「まあ、後で考えるわ。それよりも早く行こうか」

「うん、そうだね」


彼女達は戦場に駆け出した。







「なんなんだよ!あの使えない勇者は!」


フィーメはその苛立ちをもろに敵にぶつけていた。

因みにあの使えない勇者とはナルシ勇者の事で歌織や弥生の事ではない。


「フィーメ、そうぼやくな。こいつ結構使えるぞ、盾としてだけど」


多数のアンデットを一歩も動かずに対処しているシュトロームはそうささやかな反論をした。


因みにシュトロームがナルシ勇者をどの様に盾として使っているかというと、スケルトンの拳をナルシ勇者の腹で受け止めたりゾンビの牙をナルシ勇者の顔面で受け止めたりと普通に対処した方が楽であろう方法で使用している。よほど日頃の鬱憤が溜まっているのだろう。


「あ、隊長!後二人、いるんじゃなかったんですか?」

「あーそういえばーそうだっけ」

「何処だ?」


そうフィーメは辺りを見回す。

この二人、闘いながらこれだけの会話が出来るとはやはり相当の強者である。


「おっ…いたいた」


程なくして見つけた二人の少女は可憐に闘っていた。

一人は身のこなしはフィーメも下を巻くほどだがもう一人はまだ殺す事に抵抗があるのか殺す際に少々のタイムロスが見られる。

だが、そんな事よりも一番にフィーメが思ったこと、ーそれは。


「隊長!あの子可愛いっすねー」

「おい、お前、彼女が居たんじゃなかったけ?」

「大丈夫、まだ彼女っす」

「んで。どっちが可愛いって」

「両方可愛いすけど…やっぱりロングの方で」

「ああ、あっちな…俺はやっぱりショートの方で」


戦場で女子の品定めとは場違いにも程がある。

この方々にはもうちょっとピンチという物が訪れないものか。


「んじゃ口説きに行ってきまーす」

「早めにな」

「了解」


さあ、突然やってきた戦場での口説きに弥生はどう反応するのか。

フィーメもそうウキウキして近寄るものを斬り捨てながら弥生の元へと駆け寄る。


弥生までの間は長い。距離にして1.5キロはあるか。

その道中には小中雑多な魔物がうじょうじょと。

それを苛立ちながら斬り捨てているとフィーメの前に立ち塞がるものが居た。


敵、前線指揮官。魔王軍第一師団副長。ミノタウロス。

最近、ファンタジー物やカードゲーム物で安売りされて物凄く雑魚い的烙印を押されてきた普通に強い魔物だ。この世界では歴戦の猛者であり一対一ではミノタウロスには勝る物は居ないとまで言われている。


「そこを退くっすよ!俺はあの娘に用があるっす」


その言葉をミノタウロスは豪快に笑い飛ばすと持っていたその身長に比した巨大な鉄製の斧の頭を地面につけた。


「若い事は良いが…退けねぇな。大丈夫、すぐ終わらしてやるよ」

「なら、はああああ」


フィーメは持てる力、全てを投じて袈裟懸けに斬りかかった。

ミノタウロスの胸が引き裂かれ赤い鮮血が吹き出す。


「どうだ!」


フィーメはそう自身に満ち溢れた声で言ってみせる。

だが、ミノタウロスは何もなかった様にけろっとしていた。


「何⁉︎」

「お前、やるなぁー。良い腕だ。だが、ここでさようならだ」


そうミノタウロスは振り上げた斧をフィーメ目掛け振り下ろした。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現在のインスレイター所持数。

人類 39.9

魔族 40

将 0.1






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