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俺の妻が猫になった  作者: 穏世青藍


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21/22

馴れそめの思い出

 時は現在から遡ること380年前。

 月の世界の美濃国(みののくに)のお話です。

 今日は 倫子(ともこ) が 道長 からお妃様の証を受け取る良い日です。

 道長 が 倫子(ともこ) のお家までお出迎えに来てくれました。

 皆に見送られて出立する 倫子(ともこ)。

 これから、二人の思い出の場所へと向かいます。

 そこで2人はお互いに初恋の人だったことが分かります\(^o^)/

 2人は色々と思いを巡らします(⌒▽⌒)

 良いことばかりではないようです(´;ω;`)

 はじまり、はじまり~!!!

 倫子(ともこ) は 道長 と共に二人が初めて出会った公園を歩きました。

 二人とも手と手は繋いだままでした。

 時折笑って大声を出すこともありました。

 初恋の人との思い出の心が通じ合ったのです。

 倫子(ともこ) と 道長 は幸せでした。

 

 近衛兵たちはそんな二人を微笑ましく思っていました。

 でも、一方でなかにはそうではない近衛兵もいました。

 道長 の王位の座を狙っている 道長の兄の 道隆(みちたか)の元皇宮護衛官 です。

 道隆(みちたか) の王位継承権争いをずっと先鋒となってお仕事をされてきた側衛官です。

 道長 の近衛兵になるまでは、 道長 の行く手をことごとく阻んできました。

 道長 が王座に就くことになったときに、 道隆(みちたか) から頼まれました。

 優秀な側近だから、王様の近衛兵に登用してやってほしい と。

 王位に就かない私には勿体ない妖精だ と。

 道長 はとても困りました。

 道長を王位に推し上げてきた周りの重臣たちは、登用することをとても反対しました。

 でも、その時に登用しなければ、戦になっていたかもしれません。

 道隆(みちたか) を慕う妖精たちが沢山いることを知っていました。

 戦は沢山の妖精たちが苦しむことになります。

 身内の王位争いに沢山の妖精たちを巻き込んで戦になってほしくなかったのです。

 重臣たちは戦をするべきだと声を上げました。

 それを 道長 が 民のことを優先したい と懇願して、戦にはなりませんでした。

 いつか時が解決してくれるのを待ちました。

 私に力をいつか貸してくれるだろう・・・ と期待していました。


 確かに、優秀な近衛兵でした。

 冷静で迷いがなくそつがない。

 完璧でした。

 でも・・・、心を周りには見せない妖精でした。

 いつもいつも孤高な雰囲気を纏っていました。

 道長の周りの妖精 には打ち解けてくれないようです。

 でも、 道長 は知っているのです。

 本当は豪快に笑う妖精だということを。

 子供の頃から 道隆(みちたか) と元気いっぱいに楽しそうに遊ぶ妖精でした。

 周りの面倒見も良く、弱いものには手を差し伸べました。 

 だれからも慕われていました。

 道隆(みちたか) の一番の理解者でもあり、友達でした。

 道長 はそのような友達がいる 道隆 を羨ましく思っていました。

 どのような気持ちで 道隆 がその友達を手放したのか、本当の理由は分かりません。

 道長 の重臣たちはいつも目を光らせていました。

 近衛兵たちも距離を置いていました。

 そのような中では、開こうとしているかもしれない心を閉ざしてしまいます。

 悪循環でした。

 その妖精の名は、 仲惟(なかこれ) と言いました。。

 道長 の頭痛の種です。

 今のところ、不穏分子です。


 倫子(ともこ) の10年後の輿入れには何とかこの問題を解決しておきたいと思っておりました。

 道三 からも 仲惟(なかこれ) のことを何とかして欲しいと頼まれておりました。

 倫子(ともこ) の輿入れのために、少しずつ 仲惟(なかこれ) との間を詰めようかと思うようになりました。

 仲惟(なかこれ) は 道長の近衛兵 になってからは、道隆との接触を控えているようでした。

 そう、方々から連絡が入ってきていました。

 道長 は、 仲惟(なかこれ) が 道長 と共に国民のために働いてくれていると思うことにしました。

 でも、本当は、どこか、まだ、不安なのです。

 いつ手のひらを返されるのか、その時、何が起きるのか。

 戦は避けなければなりません。

 道長 が王位の座を譲ればすむ話ならば、喜んで譲るつもりでした。

 いつでも、退陣する覚悟は出来ていました。

 こんなに悩ましいも苦しい世界でした。

 道長 は 倫子(ともこ) をこの争いには巻き込みたくはありませんでした。

 誰も傷つけたくはありませんでした。

 毎日毎日、迷っていました。

 王位を継承してから、悩みがつきません。

 光が見えません。

 闇に覆われたままです。


 そんな苦しい心の底を優しく照らしてくれるのが、 倫子(ともこ) との逢瀬でした。

 この争いに巻き込みたくないのに、道長 の心の底が必要としていました。

 誰にも分かって貰えない心の底の苦しみが、 きらきら と ゆっくり ほどけていくようでした。

 ですから、 倫子(ともこ) が手放せなくなっていました。

 輿入れを10年後に延期することは、次期王位継承者がその間不在になる事でした。

 王様の気持ちは国民は痛いほど分かっていました。

 でも、月の世界は王室が絶対的な権力を持っていました。

 王室が揺らぐと国民の生活が揺らぐのです。

 いつ王位を巡って争いが起きるのか分からない状態を、不安に思っておりました。

 そして、とうとう、政権を掌握したい権力者たちが声高に蠢(うごめ)き出しました。

 倫子(ともこ) をお妃様にするのではなく、側室にしたら良い と。

 そして、新たなお妃様をお立てになるように と。

 道長 はこの声を封じたかったのです。

 ですから、今回、大々的に、 倫子(ともこ) にお妃様の証を渡すという決定を下しました。

 国民に知らしめたかったのです。

 反対声明を出す権力者たちに知らしめたかったのです。

 道長 の心が揺らがないことを。

 重臣たちは猛反対しました。

 現政権を維持できなくなるかもしれないという思惑が先行しました。

 道長 の幸せを考えている余裕などありませんでした。

 道長 の味方がほとんどいなくなりました。

 道長 は孤独の渦にいました。


 倫子(ともこ) は知っていました。

 ですので、 道長 から身を引こうかと悩んでおりました。

 お妃様の座は譲ろうかと悩んでおりました。

 そして、側室になる事にはためらいがありました。

 大好きな 道長 の一番にはなれないのが、とても苦しかったのです。

 どうするのか、心中穏やかではありませんでした。

 ですので、今日で、最後の逢瀬になるかもしれません。

 後悔しないようにありったけの愛情を 道長 へと向けることにしました。

 今のところは、 倫子(ともこ) がお妃様候補なのですから。


 今だけは・・・。


 今だけは・・・。


 お願い、今だけは・・・。


 そう願っていました。

 今は、良いのです。

 まだ、お妃様候補なのですから。

 誰にも文句は言えません。


 手を繋いで欲しいと思いました。

 本当は、 道長 から言って欲しかったのです。

 倫子(ともこ) は、女は受け身が美しいと思っておりました。

 倫子(ともこ) なりの女の美学でした。

 なかなかの古風な撫子(なでしこ)でした。

 でも、時間が無いと思うと、心が そわそわ しました。

 少しでも 道長 を感じていたかったのです。

 でも、 道長 は手を繋ぐことを言ってはくれませんでした。

 倫子(ともこ) はじれったさもあり、悔しさもありました。

 でも、心の底が、叫んでいました。

 今日で、終わりかもしれないのよ と。

 大好きな人からの熱い思いを一身に纏い、幸せな思いで、お別れをしたかったのです。

 そう思いながら、 道長 との公園デート をしていました。


 そのようなことは夢にも思っていない 道長 は、 倫子(ともこ) と一緒にいることの幸せを噛みしめておりました。

 この 安らぎ が永遠に続くものだと思っておりました。

 花壇の側の杉の木の側に行きました。

 その中でもとりわけ太い杉の木を見上げました。

 そして、 倫子(ともこ) の方を向きました。


 道長:そなたを初めて見たのはこの杉の木の上から

    だった。

    そなたはそこの花壇の手入れをしていたね。   

    歌を歌っていたね。


 倫子(ともこ):えぇ。

    覚えております。

    突然、この杉の木の上の方から泣き声が聞こ

    えました。

    とても驚きました。


 倫子(ともこ) は 太い杉の木の上にある枝を指さしました。

 道長 は懐かしそうにその枝を見ました。

 

 道長:あの頃は、兄上と王位継承権争いの最中で、

    兄上の友達から嫌がらせを受けて逃げ回って

    いたんだよ。

    この太い杉の木の枝まで登って隠れていたん

    だよ。

    疲れ切っていた私は眠ってしまっていたよ。

    

 倫子(ともこ):そのようなことをおっしゃっていま

    したね。

    でも、その時は、王位継承権争いの最中では

    なく、会社の後継者争いとおっしゃっていま

    した。

    ずいぶんと大変な世界におられる方だなと思

    ったのを覚えております。

    懐かしいですね。


 道長 は太い杉の木の周りを 倫子(ともこ) の手を繋いだまま一回りして、幹を ぽんぽん と叩いて、撫でました。

 倫子(ともこ) も太い杉の木の幹を ぽんぽん と叩いて、撫でました。

 そして、なんとなく、お辞儀をしました。

 道長 は、心が温かくなりました。

  

 倫子(ともこ):あの花壇はとても手入れがなされて

    いるようです。

    どなたがなされているのでしょうか・・・?

    とてもお上手です。

    是非、こつなどを教えて頂きたいわ。


 倫子(ともこ) は 道長 に世間話をするように言いました。

 すると、 道長 は嬉しそうに言いました。


 道長:この花壇はそなたが来なくなった後は、時間

    があるときに、私が時折参っては手入れをし

    ておる。

    そなたに教えてもらった方法に、色々と書物

    を読みあさり、育てておる。

    今では私の趣味の一つだ。

    お褒めにあずかり光栄至極にございます。


 そう言って、戯(おど)けて見せた。

 倫子(ともこ) はとても驚きました。

 嬉しさを隠しきれません。


 倫子(ともこ):そうでしたか!!!

    そうなのね!!!

    とっても嬉しいです(≧∀≦)

    お花のお手入れをされる男性って、とても素

    敵です。

    

 道長 は照れてしまいました。

 もじもじ しています。

 なんか、可愛いです。

 倫子(ともこ) は ふふふ・・・ と微笑みました。

 

 道長:ありがとう。

    これからは、そなたも一緒にどうか?

    お互いのお花の育て方を教え合わないか?


 道長 は 倫子(ともこ) の顔をのぞき込みました。

 勿論、即答で良い返事を貰えるものと思っておりました。

 でも、一瞬、道長 には 倫子(ともこ) の顔が悲しそうに映りました。

 道長 は見逃しませんでした。

 何かが不安になりました。

 そんな筈はない・・・ と思おうとしました。

 心がざわつくのを抑えきれなくなっていきました。

 何でも無い冷静な振りをしようと思いました。

 何か理由があるのかもしれない・・・ と。

 きっと、大丈夫だ と。

 心の弱いところが揺れ動き出しました。

 倫子(ともこ) の様子を見守ることにしました。

 何かあったら、その時、対応するつもりでした。

 

 一方、倫子(ともこ) は 道長 のことを思えば思うほど、大切にしたくなりました。

 今日、ここへ来て、はっきりと分かりました。

 これからの未来を 道長 と描いていくことに迷いを持ってはいけないのだと思いました。

 道長 は一国の王です。

 私ごときが一国の王の心を取り乱させてはならない・・・ と思いました。

 大切な 道長 の為。

 

 この方を守りたい。


 心が決まりました。

 

 王妃の座は譲ろう。

 

 側室になって、耐えられるだろうか・・・。

 

 王様の愛情が私より先に王妃様へと注がれる。


 嗚呼・・・。


 嗚呼・・・。


 嗚呼・・・。


 こんなことになるなんて・・・。


 今にも泣き出しそうでした。

 倫子(ともこ) の顔色が良くありません。

 道長 は益々心配になりました。


 かぐや姫という重責を背負ってまだ日が浅い。


 生真面目な 倫子(ともこ) のことだ。

 

 きっと疲れているだろう。


 私が急いだせいだ。

 

 私が浅はかだった。


 もっと、 倫子(ともこ) の気持ちに寄り添えば良かった。


 今度からは、第一に 倫子(ともこ) の気持ちを考えるようにしよう。

 

 道長 は 倫子(ともこ) に優しく声を掛けました。

 

 道長:疲れているだろう?

    いったん、お茶でもしないか?

    私が手作りのお茶菓子を持ってきたよ。

    そなたと出会って、ここへそなたに会いに来

    る度に持ってきたお菓子だよ。

    そなたに喜んで欲しくていつも手作りしてい

    たんだ。

    いつも、美味しい美味しいと言ってくれてい

    たものだよ。


 倫子(ともこ):まぁ♡

    是非♡

    懐かしいわ♡

    とっても嬉しいです♡

    

 道長 は近衛兵からお茶菓子の入ったランチボックスとレジャーシートを受け取りました。

 道長 が花壇の前でレジャーシートを広げました。

 結構、ゆったりめに座れそうです。

 二人はレジャーシートの上に座りました。

 横並びに座りました。

 二人の前にはランチボックスから取り出したお茶菓子が所狭しと並びました。

 アップルパイ・蒸しパン・シュークリーム・プリン・エクレア・・・。

 沢山ありました。

 道長 は 倫子(ともこ) に プリン を手渡しました。

 それは、倫子(ともこ) に初めて作ってあげたお菓子でした。

 倫子(ともこ) は嬉しそうです。

 道長 に促されるままに、一口 ぱくっ と食べました。


 倫子(ともこ):あぁ!!!

    この味です!!!

    懐かしいです!!!

    やっぱりとっても美味しいです!!!


 倫子(ともこ) は笑顔になりました。

 道長 は少し安心しました。

 倫子(ともこ) は ふふふ・・・ と笑い出しました。

 

 倫子(ともこ):こんなにお作りになって、どうされ

    るのですか?

    近衛兵さん方にもお分けになったら如何です

    か?

    

 道長:それもそうだな。

    でも、近衛兵は勤務中だから、勤務が終わっ

    てからしか食べられないんだよ。

    後で、包んで、あげるとしよう。

    そなたは、思いやりがあって優しいな。

    きっと、良いお妃様になるであろう。

     

 道長 そう言うと、 倫子(ともこ) に優しく微笑みました。

 倫子(ともこ) は心中複雑でした。

 でも、もし、側室となっても、 このままの私で良いのだ と 道長 が言ってくれたのだと思うことにしました。

 なるべく表情に見せないことにしました。

 心を堅くしました。

 心が ちくちく して苦しくなりました。

 でも、きっと、これは、もし、側室になったら、必要な立ち居振る舞いなのだと心得ました。

 側室でも一番に 道長 を愛する。

 それが、 倫子(ともこ) の役割だと認識しました。

 愛する方に心置きなく生きて欲しい・・・ という思いから、出した答えでした。

 道三 が知ったら、嘆くことでしょう。

 でも、 倫子(ともこ) はこの選択をしました。

 あっているのかどうか分かりませんでした。

 全てを見通す力など誰にも備わっていません。

 

 どんなことになろうとも、私が 王様 をお支えしよう・・・。


 腹を括(くく)りました。

 もう、動じません。

 こうなった 倫子(ともこ) は強いのです。

 頑固になったような感じです。

 道長 に優しく微笑みました。


 倫子(ともこ):ありがとうございます。

    どんな状況におかれても、背一杯務めさせて

    頂きます。

    それが、私の王様への忠義でございます。

    それが、私の愛し方なのでございます。


 倫子(ともこ) はそう言い切りました。

 道長 はその言葉に何か引っかかるものを感じました。

 でも、漠然としていて、はっきりとは分かりませんでした。

 

 あとで考えよう・・・。


 倫子(ともこ) との夢のような時間の前では、難しいことを考えることが嫌になります。

 一緒にいるときくらいは、リラックスしよう と思うのでした。

 楽しいお話をしたい・・・ と思いました。

 でも、気の利いた会話が見当たりません。

 結局、昔話を始めました。


 道長:そなたは、花壇のお手入れを 月の光の粉 

    と 魔法のステッキ を使ってしていたな。

    私は、その不思議な光景に見入ってしまった

    よ。

    

 倫子(ともこ):そうでしたね。

    色々と質問攻めに遭いました。

   

 道長:そなたが教えてくれなければ、花壇のお手入

    れに 月に光の粉 を使うことなど知らなか

    った。

    あの後、帰ってから、早速、王宮の私の花壇

    に 月の光の粉 を使ったよ。

    

 倫子(ともこ):たしか、このお花にはどうやって育

    てれば良いのか と凄い剣幕でお尋ねになら

    れました。

    お懐かしいです。


 道長:そうだったか。

    悪かった。

    子供のときの話だ。

    許せ。

    

 倫子(ともこ):私の魔法のステッキを使って、真似

    事もするし・・・。

    ずいぶんとその悪戯の後始末に振り回されま

    した。

    そのお陰で、魔法のお勉強に磨きがかかりま

    した。

    今となっては良かったと思っております。


 道長 はばつが悪そうです。

 下を向いて、 あ~ う~ と唸っていました。

 倫子(ともこ) はそんな 道長 が可愛いと思いました。


 道長 がブルーベリーティーを入れてくれました。

 倫子(ともこ) が大好きなのです。

 ブルーベリーの香りが立ちこめました。

 とっても美味しそうです。

 倫子(ともこ) は顔がほころびました。

 道長 が 倫子(ともこ) にティーカップを手渡しました。

 そっ と口にしました。

 美味しいです\(^o^)/


 しばらく ゆっくり とした時間が流れました。

 道長 が じっ と 倫子(ともこ) の顔を見つめました。

 そして、何か考えているようです。

 すっ と顔が真剣になりました。

 大事なことを言うようです。

 倫子(ともこ) はしっかりと聞こうと思いました。

 

 道長:最後にもらった ムーンフラワー は大事に

    育てているよ。

    いつも綺麗に色とりどり咲き乱れるよ。

    たまに、 ムーンドロップ が出来るよ。

    大切に取っておいているよ。

    それに、そなたからもらった 月の光の粉 

    は必要なことに使っているよ。

    素敵なことに使っているよ。

    早く見せてあげたいな。


 倫子(ともこ) は真面目なお話だと思ったので驚きました。

 でも、これが、 道長にとって、真面目なお話なのだと理解しました。

 

 倫子(ともこ):私も早く見たいです。

    首を長くしてお待ちしております。 

    

 道長 は嬉しそうに首を縦に振りました。

 そして、遠くを見て、何か思い出したように言いました。

 口元が緩んでいます。

 ふっ と笑いました。


 道長:そういえば、初めて会って自己紹介の時、私(わたくし)

    と言った際、そなたは、え~ と言ったな。 

    そして、 僕 じゃない? と言ったね。

    あれから、そなたの前だけでは 僕 と言う

    ようになったよ。

    王室の妖精としての 私(わたくし) から、

    普通の妖精としての 僕  になれる、心穏

    やかな時間だったよ。

    大切な時間をありがとう。

 

 倫子(ともこ) は あわわわ あわわわ となりました。

 とんでもないことをしてしまっていたようです。

 

 倫子(ともこ):その節は、知らなかったとはい

    え、不躾にもそのようなことを申し上げてし

    まい、申し訳ございませんでした。

    子供だったのです。

    どうか、お許しを・・・(>o<)


 すがるような目で 道長 を見ました。

 道長 はそんな 倫子(ともこ) の眼差しに きゅん きゅん としました。

 もぉ~ 可愛くって仕方ありません。

 頬が ゆるゆる しました。

 倫子(ともこ) の頭を ぽんぽん と叩きました。

 そして、 許す と言って、笑いました。

 倫子(ともこ) は どきどき しました。

 

 そろそろ次の思い出の場所へと行くようです。

 お茶会セットを片付けました。

 そして、二人とも、鷹の背中に乗り、空へと飛び立ちました。

 近衛兵も、シマエナガの背中に乗り、空へと飛び立ちました。

 道長 の腰に手を回して ときめく 倫子(ともこ) 。

 倫子(ともこ) の息づかいを感じて そわそわ する 道長。

 素敵な 素敵な 恋心が揺れる二人でした。

 月の光の粉 が空から舞い降りて、肩に降りかかるのを心地よく眺めました。

 今日も 月の世界の美濃国(みののくに) は美しい。

 いつまでも。

 いつまでも。

 ずっとこのままで・・・。


   ep.21 馴れそめの思い出 終わり 

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 次回エピソードもお読み頂けると嬉しいです。

 次回は今度こそ、倫子(ともこ) と 道長 が再会してからのお話を描きたいと思っております。

 今回は、次回へと続くお話の流れで、先に、最初の馴れそめを描くことにしました。

 少しのことなのですが、? と引っかからずに流れるようにお読み頂きたかったのです。

 申し訳ございません(._.)オジギ

 次回は王位継承権第一位になった 道長 のお妃様選びが描かれます。

 なるべくそこでふたりの恋心を描きたいと思っております。

 前回触れましたが、拙筆 ある見習い魔女の恋 という作品と ある見習い魔女と僕 という作品はこのお話に合っているので、取り入れました。

 勿論、お読み頂かなくても、お話の流れに支障が無いように致しますので、ご安心下さい。

 お時間を頂けて、二人の恋心に深く興味をお持ち頂けたのなら、お読み頂けると嬉しいです。

 どちらも、お待ちしております。


 作中の 道長 の近衛兵の 仲惟(なかこれ) は 平惟仲(たいらのこれなか) さんのお名前を逆さにさせて頂きました。

 これから再び登場する妖精になります。

 

 リアクションマーク と 感想 を頂きました~!!!

 ありがとうございます!!!

 とっても嬉しいです!!!(*⌒▽⌒*)

 創作の励みになります!!!

 あなた様に幸あれ~!!!(倫子より)

 皆様にも幸あれ~!!!(道長より)

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