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俺の妻が猫になった  作者: 穏世青藍


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22/22

後継者

 時は現在から遡ること380年前。

 月の世界のお話です。

 道長 と 倫子(ともこ) は二人の思い出の場所へと向かっておりました。

 道中、道長 は考えておりました。

 道長 は王位を取り巻く災いから 倫子(ともこ) を守りたい気持ちで一心でした。

 かなり厳しい世界のようです。

 どのようなものなのでしょうか・・・。

 はじまりはじまり~!!!

 

 道長 と 倫子(ともこ) は二人の次の思い出の場所へと向かっておりました。

 道長 と 倫子(ともこ) は鷹の背中に乗って空を飛んでおりました。

 近衛兵たちは シマエナガの背中に乗って空を飛んでおりました。

 眼下には 月の光の粉 を纏った美しい美濃国(みののくに)が見えました。

 次の思い出の場所へは少し時間がかかるようです。

 倫子(ともこ) が寒くならないように、 道長 は 道長 の上着を渡しました。

 倫子(ともこ) は上着を有難く受け取り、羽織りました。

 温かいです。

 それに、 道長 の上着だと思うと、心が ときめき ました。

 心も温かくなりました。

 何となく、 道長 に守られているような感じです。

 これからの未来に勇気が持てました。

 

 しばらく飛んでいると、ふと、 道長 は前々から気になっていたことを話し出しました。

 

 道長:王室に巻き込んでしまって、申し訳なかっ

    た・・・。

    特に、私は、後継者争いをして王様になった

    から・・・。

    多くのものに恨まれている。

    そなたにはなるべく迷惑を掛けないように目

    を光らせておこう。

    でも、何かあったのなら、すぐに教えて欲し

    い。

    いいか?


 倫子(ともこ):はい。

    分かりました。

    すぐにお知らせ致します。

    謝らないで下さい。

    王様に輿入れするのかどうか、私にも選択肢

    はございました。

    でも、私は、王様に輿入れすることを望みま

    した。

    ですので、ご安心下さい。

    私は後悔しておりません。


 道長 は心が少し ほっ としました。

 ずっと 気掛かりでした。

 倫子(ともこ) は 大丈夫です と言いながら、 道長 の腰に回す手を強めました。

 道長 が後継者争いをして王様になったことは始めから知っていました。

 道三 に何度も何度も 王様に嫁ぐことを辞退するように と言われました。

 沢山の恨みの上に立つ王様だ と。

 勿論、支持をしてくれる温かい妖精たちもいるが と。

 倫子(ともこ) には のびのび と暮らして欲しい と。

 倫子(ともこ) は 道三 の気持ちが痛いほど分かりました。

 でも、 道長 への思いは何故か、消えられそうにない深い情熱を持っていました。

 初めて(本当はやっと再会した)会ったときに、とても懐かしい思いがしました。

 目が離せませんでした。

 何故か、 もう、離れたくはない と思いました。

 フィーリング が綺麗に重なったように感じました。

 そして、浅黒く日焼けした精悍(せいかん)な顔つき。

 たくましい体格。

 権力を笠に着ていない慎ましやかな物腰。

 ウィットに富んだお話。

 倫子(ともこ) だけではなく、月の世界中の女性の妖精たちの憧れの的でした。

 そして、何故か始めから(本当はやっと再会した) 倫子(ともこ) を心から優しく受け入れているかのように見えた笑顔。

 一目惚れでした。

 離れられません。

 倫子(ともこ) は この方と共にどんな苦難でも乗り越えて見せよう と思いました。

 そうやって決まったお妃様候補でした。

 もう、後戻りは出来ません。

 覚悟しました。

 ですので、 倫子(ともこ) は後悔はしていませんでした。

 むしろ、やりがいを感じていました。

 

 少しでも国民のためになる妖精になろう・・・ 。


 その為に、 お師匠様 の元で魔法のいろはをきちんと学ぼう・・・。

 

 そして、いつも、この方の心の孤独を察してお支えしよう・・・。


 そう思いました。

 

 次の思い出の場所へはまだまだです。

 

 その頃、宮殿では 生前退位された元国王陛下 が昔のことを思い出していらっしゃいました。

 子供たちのことが心配でなりませんでした。

 王様が 道長 に決まった後も、不穏な動きがあちらこちらで蠢(うごめ)いておりました。

 いつもいつも 王様 を 道長 に決めたことを迷っておりました。

 でも、 道長 にしか選択肢はなかったのです。

 すがるような思いで 道長 に 月の世界 の未来を託しました。

 この 元国王陛下 には三人の王子と二人の王女がおられました。

 元国王陛下のお名前は 兼家(かねいえ) と申しました。

 そして元女王陛下のお名前は 時姫(ときひめ) と申しました。

 三人の王子は第一王子が 道隆 ・第二王子が 道兼 ・ 第三王子が 道長 と申しました。

 二人の王女は第一王女が 詮子 ・第二王女が 超子 と申しました。

 

 兼家(かねいえ):こうするしかなかったの

    だ・・・。

    許せ、 道隆・・・。

    許せ、 道兼・・・。

    耐えておくれ・・・。

    そして、いつの日か、 道長 を支えておく

    れ・・・。


 時姫(ときひめ):あの子たちならきっと乗り越えら

    れますとも。

    そして、きっと 道長 を支えてくれます

    わ。

    何かあったら、その時、お呼びして窘(たしな)め

    られればいいのです。

    必ず、前国王 のお言葉を受け止めますわ。

    大丈夫です。

    貴方の王子たちですもの。

   

 時姫(ときひめ) は長男 道隆 が生まれてから 兼家(かねいえ) がずっと悩み続けて苦しんできたことを受け止め続けてきました。

 時姫(ときひめ) は 兼家(かねいえ) の良き理解者でした。

 兼家(かねいえ) は 時姫(ときひめ) の言葉に支えられて何とか理性的に次期王を決めました。

 月の世界は通常ならば、第一子が王位第一継承権を持つのですが、第一王子 道隆 の時は、事情が変わりました。

 王位を継ぐ王子・王女は神様に祝福されると言われております。

 光る竹の節の中から生まれてくるときに、一緒に 剣(つるぎ) が入っているのです。

 神様からの贈り物です。

 その 剣(つるぎ) を持って、いざという時に戦うと必ず勝利して、月の世界の妖精たちに安寧をもたらすという伝説がありました。

 言い伝えです。

 伝説です。

 しかし、月の世界の妖精たちは神様を崇拝しておりました。

 勿論、月の世界の妖精たちは、王室も崇拝しておりました。

 でも、神様が絶対的な権力を持っておりました。

 ですので、王室は神様のご意志を受け止めるべきだという風潮がございました。

 国民の中では神様が一番、王様が二番としての暗黙の了解がございました。

 王室も宮内庁もそれで納得しておりました。

 王室も宮内庁もその方が心が何となく ほっ としておりました。

 権力をお持ちの方特有のお考えなのでしょう。

 これで良いのかと先が読めなく迷い沈んだ時に、神様のお導きだと思うと、どこからともなく勇気が沸いてくるのでした。

 ぎりぎりの選択をしなければならないときに、どなたでも良いから道を明るく照らしてくれるのならば、縋(すが)りたい気持ちが生まれるのが、誰もの心というものだと知っておりました。

 神様ならば、その迷いは、生まれないだろう。

 何故なら、全知全能が神様なのですから。

 計り知れない慈愛と理性で必ずや間違えのない正しい答えでお導きくだされる・・・ そう、信じておりました。

 ですので、神様が一番、王様が二番というのは、揺るがしたくはないのです。

 そして、大体の事は、 神様のお導き と国民に告げれば、反旗を翻すものはほとんどおりませんでした。

 ・・・ほとんどおりませんでした・・・。

 ・・・ほとんどおりません・・・ほとんどです・・・。

 しかし、いつの時代も王室に 剣(つるぎ) と共に生まれてこない第一子が生まれると、妖精たちの心に不穏な波紋が少しずつ広がりました。

 そして、必ず、争いが起こりました。

 第一子を王様に据えるべきだという派閥。

 神様のご意志に沿うべきだという派閥。  

 有能な王子・王女を次期王様と崇める派閥。

 そして、王様の王子・王女以外の一般の妖精で 剣(つるぎ) を持って生まれた者を次の王様にするべきだという派閥。

 王様などいらないという派閥。

 ・・・混乱を極めました。

 戦にまで発展したことがありました。

 月の世界の妖精たちは怯えておりました。

 穏やかな暮らしが出来れば、それでいいのです。

 頑張ったら、その分、幸せになれれば良いのです。

 何かあって頑張れなくても、普通の水準の生活が保証されていれば、それでいいのです。

 他に何もいりません。

 毎回毎回、このような争いが起こるのならば、王室などいらない・・・ と思う月の世界の妖精たちが増えていきました。

 王室も宮内庁も焦りました。

 王室の尊厳維持に努めました。

 その度に、色々と法改正をしてきました。

 しかし、結局、月の世界の妖精たちはいつもいつの時代も後継者問題に振り回されてきては涙をのんできました。

 ですので、ほとほと愛想が尽きておりました。

 そして、いつの間にかに無関心になりました。

 王室は月の世界の妖精たちからあってないものとしての存在になっておりました。

 期待しない方が心が楽でした。

 王室の権威が地に落ちておりました。

 苦しい世界でした。

 そのような時代が続きました。

 そして、元国王陛下の時にも同じ事が起こりました。

 元国王陛下は第三王子でした。

 第一子・第二子の王子が 剣(つるぎ) と共に生まれてこなかったのです。

 そして、第三子の王子 兼家(かねいえ) が 剣(つるぎ) と共に生まれてきました。

 必然的に第三子の 兼家(かえにえ) が王位継承権第一位になりました。

 当然、王位継承権争いになりました。

 第一子と第二子の王子たちは 兼家(かねいえ) に王位を譲るつもりはありませんでした。

 いつも声高に権利や権力を主張されておられました。

 そして、権利や権力に魅了された者達が周りを取り囲むようになりました。

 第一子と第二子の王子たちは、得体の知れない権利や権力に群がる者達の餌食になり出しました。

 息が出来なくなっていきました。

 恐ろしいことが起きていました。

 その一方で、 兼家(かねいえ) は権利や権力を振るいませんでした。

 そして、次期国王となろうとならないと、月の世界の妖精のたちの為に何が出来るのだろうか と日々、お勉強をしては少しずつ実践をされておりました。

 そして、成人される頃には類い希な政治腕力をお持ちになられました。

 常日頃から月の世界の妖精たちの為に、粉骨砕身している第三王子様。

 その様子を月の妖精たちは じっ と見守り続けていました。

 次期国王としての器として、誰もが認めだしたのでした。

 無言での圧倒的な勝利でした。

 王位への欲はあったのでしょうか・・・?

 欲がなかったのでしょうか・・・?

 どちらにしても、月の世界の妖精のためを思って頑張ってきた、第三王子が国民に愛されたのでした。

 それを面白く思わない第一子と第二子王子たちの取り巻きたちが情報を操作し出しました。

 第三王子の悪い風評を流し出しました。

 でも、月の世界の妖精たちはそんな悪い風評に流されるほど愚かではありませんでした。

 第三王子の悪い風評に触れる度に、嫌悪感が募っていきました。

 第一子と第二子王子たちに対する月の世界の妖精たちの対応がお粗末になり出しました。

 もう、月の世界の妖精たちにとって次期王様は 第三王子の 兼家(かねいえ) 以外に考えられなくなりました。

 そして、権利や権力に群がる取り巻きによって身動きがとれなくなっておられた第一子と第二子王子たちは、恐怖を感じ、心を病んでしまいました。

 療養をすることになりました。

 そう、表向きは。

 本当は、第一子と第二子王子たちは、 平穏な日々を送りたい と第三王子の 兼家(かねいえ) に泣きつきました。

 王位に未練が無いと、王室から退くと、誓約書をしたためて 兼家(かねいえ) に手渡しました。

 兼家(かねいえ) はそんな二人を温かく励ましました。

 そして、真面目な顔をされてこう言いました。

 王位は 兼家(かねいえ) が継ぐ と。

 しかし、第一子と第二子王子には、これからは王族として、月の世界の妖精たちの為になることを一緒にして欲しい と。

 助けて欲しい と。

 今までのことは水に流そう と。

 しばらくは、疲れているだろうから、療養をすることにすればいい と。

 その間に、何が月の世界の妖精たちの為になるのかをお勉強して欲しい と。

 お勉強してすることが明確に決まって機が熟したら、実践して欲しいと。

 月の世界を一緒に支えよう と。

 第一子と第二子王子たちは無言で はらはら と涙を流しました。

 決別していた王子たちが仲直りした瞬間でした。

 王室も宮内庁も ほっ としました。

 何だか、これからの王室は、月の世界の妖精たちに愛されるようになるのかもしれない。

 権威とは離れてしまったけれども、月の世界の王室はこれでいいのかもしれない。

 存在意義を見いだした王室なのでした。


 平和な日々が続きました。

 ・・・少しの間ですが・・・。


 ある日、兼家(かねいえ) に 時姫(ときひめ) が懐妊されたと連絡が入りました。 

 王室も月のも祝賀ムードになりました。

 宮内庁が いそいそ と支度にかかりました。

 兼家(かねいえ) は急いで武力での後継者争いを禁じる法改正をしました。

 武力を持って王位を得ようとした時点で、王位継承権を失うこととしました。

 そして、王位は直系の男子であろうと、女子であろうと、第何子であろうと、月の世界の妖精のため尽力する手腕がある者 が継承するとしました。

 これには、一部の月の妖精が反発しました。

 神様のお導きを蔑ろにされている と。

 でも、月の世界の妖精たちは、これまでの月の世界の歴史を鑑(かんが)みて、この声を受け流しました。

 もう、月の世界では、王位継承権争いは縮小されるでしょう。

 兼家(かねいえ) を王様として良かったと思う月の世界の妖精たちなのでした。

 

 月の妖精たちの答えは自ずと出ておりました。

 もう、王位継承権争いはこりごりだと。

 そのはずでした・・・。 

 

 時姫(ときひめ) が臨月を迎え、ついに、王宮のお庭に生えている竹が光り出しました。

 お生まれになるようです。

 兼家(かねいえ) と 時姫(ときひめ) が光る竹の節を、慎重に切り出しました。

 いらっしゃいました。

 王子様です。

 なんと可愛らしいことでしょう・・・。

 兼家(かねいえ) と 時姫(ときひめ) はとてつもない喜びを感じました。

 しかし、兼家(かねいえ) と 時姫(ときひめ) は顔が一瞬にして曇りました。

 第一子王子 のお生まれになった竹の節の中に、一緒に 剣(つるぎ) が入っていなかったのです。

 王宮は騒然としました。

 

 何かの間違えかもしれない・・・。


 現王様の兄上様方々と同じだ・・・。


 また争いが起きるぞ・・・。


 宮内庁の職員たち は総出で、第一子王子がお生まれになった竹を一節ごとに慎重に切り分けて全て確認しました。

 ・・・何も入っておりませんでした・・・。

 つまり、神様から 次期王様 として認められてないということでした。 

 国民が惑わされるかもしれません。

 勿論、王室も、宮内庁も。

 大変なことになりました。

 兼家(かねいえ) は動じましたが、心を堅くしました。

 時姫(ときひめ) は 私のせいだ とご自分を責められました。

 そんな 時姫(ときひめ) を 兼家(かねいえ) も 周囲の妖精たちも、しっかりと 時姫(ときひめ) のせいではない と否定して、慰めました。

 またいずれ、王位継承権争いが巻き起こることになりました。

 兼家(かねいえ) は 次の国王は しっかり と見極めようと覚悟を決まられたのでした。


 きっと、 兼家(かねいえ) の選ばれる次期王様 は月の世界の妖精のために尽力されるでしょう。

 気持ち半ば不安定ですが、 兼家(かねいえ) を信じている月の世界の妖精たちなのでした。


     ep.22 後継者 終わり


 最後までお読み頂き、ありがとうございました!!!

 とっても嬉しいです(#^.^#)

 次回エピソードは、第一王子 道隆 と、 第二王子 道兼、 と第三王子 道長 のお話になります。

 剣(つるぎ) と共に生まれたか生まれなかったかの騒動と、陰陽師 晴明 による発言に大きく揺れ動く王室を描きます。

 描ききれるかどうか分かりませんが、なるべく丁寧に描いていけるところまで頑張ります。

 お付き合いして頂けると嬉しいです。

 あれっ? ある見習い魔女の恋 と ある見習い魔女と僕 はどこででてきたの? と思われる方々もいらっしゃるかもしれません・・・。

 本当ならば、このまま、二人の思い出のお話を書く予定でした。

 でも、先に、今回のエピソードを描かないとお話の流れがおかしくなりそうでしたので、急遽、こちらを描かせて頂くことになりました。

 申し訳ございませんでした(._.)オジギ

 いつか二人の思い出を描いたら、その時は、もう一度、アナウンスさせて頂きます。

 重ね重ね申し訳ございませんでした。

 

 ポイント、ブックマーク、リアクションマーク、を頂きました~!!!

 ありがとうございます!!!

 あなた様に幸あれ~!!!(時姫より)

 お読み下さった方々にも幸あれ~!!!(倫子より)

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