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俺の妻が猫になった  作者: 穏世青藍


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12/22

妖精と月の光の粉

 時は 妻 式部 が猫になってから2日目の朝の平安村が大騒ぎになる数時間前(●´ϖ`●)

 何やら森で動きがあつたようです\(◎o◎)/!

 何が起こっているのでしょうか…?(^○^)

 はじまりはじまり〜(⌒▽⌒)

 

 今から数時間前・・・。

 お外はまだ薄暗いです。

 薄水色に青色が混ざったようです。

 太陽が少しだけ昇っていました。

 朝が近づいてきました。

 風はとても冷たく、雨でも降りそうです。

 土手の草花たちは すやすや。

 雀たちはまだ すやすや。

 森の中も竹林の中も し~ん・・・。


 し~ん・・・。


 し~ん・・・?


 あれっ・・・?


 いつもと違う・・・。

 


 ごそごそ ごそごそ・・・。

 

 かちゃかちゃ かちゃかちゃ・・・。

 

 どどどど どどどど・・・。

 

 ぴゅんぴゅん ぴゅんぴゅん・・・。

 

 何の音?


 森の中の妖精1:早く竹林へ行くんだ!!!


 森の中の妖精2:もう皆集まっているぞ!!!


 森の中の妖精3:長信様 を怒らせたら、大変なこ

        とになるぞ!!!


 森の中の妖精4:急げ!!!


 森の中の妖精5:急げ!!!


 森の中の妖精6:待ってぇ~!!!


 森の中の妖精7:あんまり乗り気じゃないな

        ぁ・・・。


 森の中の妖精8:とりあえず行こっか?


 森の中の妖精9:お前ら、大目玉食うぞ!!!

 

 森の中の妖精10:皆一致団結して乗り切らなければ

         ならない!!!


 森の中の妖精11:本当にやるのかなぁ・・・?


 森の中の妖精12:長信様 がそういったらやるの

         だ!!!


 森の中の妖精13:とりあえず様子でも見に行ってみ

         ようか?


 森の中の妖精14:人間に戦を仕掛けるなんて、無謀

         だと思うんだけれども・・・。


 森の中の妖精15:長信様 なら、きっとやってのけ

         る!!!


 森の中の妖精16:本当にやる意味あるのか

         ぁ・・・?


 森の中の妖精17:まぁ~、まぁ~・・・。


 森の中の妖精18:もう、竹林の方で、鬨(とき)の

         声が上がってるぞ!!!


 森の中の妖精19:俺やりたくないよぉ~・・・。


 森の中の妖精20:俺まだ眠い・・・。


 森の中の妖精21:俺お腹痛い・・・。


 森の中の妖精22:俺お袋が具合悪い・・・。


 森の中の妖精23:俺お手洗いに行きたい・・・。


 森の中の妖精24:俺これからデート。


 森の中の妖精25:俺これからプロポーズ。


 森の中の妖精26:どうでもいいから、早く行

         け!!!


 森の中の妖精27:皆、行きたくないんじゃぁぁぁぁ

         ぁぁぁ・・・。


 森の中の妖精28:お前、 長信様 に逆らって生き

         ていけると思ってるのか?


 森の中の妖精29:人間にかないっこないっ

         て・・・。


 森の中の妖精30:てめぇら、長信様 に喧嘩売って

         んのか?


 森の中の妖精たち:いやぁ~・・・。


 仕方なしに、 とぼとぼ とぼとぼ 竹林の方へ飛んでいきました。

 森の中は太陽の光が所々差し込むくらいで、とても暗いです。

 森はとても深く、木々が生い茂っています。

 妖精たち は怖いので、固まって行動しました。

 甲冑を着た物、着物姿の物、洋服を着た物、様々です。

 やる気に満ちている妖精たち。

 やる気が全然無い妖精たち。

 お祭り気分の妖精たち。

 帰る口実を考えている妖精たち。

 怯えている妖精たち。

 隠れる妖精たち。

 皆それぞれ思惑があります。

 

 竹林の中。

 笹のこすれ合う音が、涼やかです。

 でも、妖精たちの熱気で暑くなっていました。

 陣が張られています。

 その周りには 永楽通宝(えいらくつうほう) の旗印。

 立派な ほととぎす の側には金の唐傘 の馬印。

 皆、目は ぎらぎら。

 空中をせわしなく飛び回っていました。

 

 すると・・・。

 急に、ある空間だけ、 妖精たち が外へと道を空けました。

 長信 です。

 長信 が織田木瓜に染められた白幕(陣幕)から現れました。

 軍議が終わったようです。

 そして、 ぞろぞろ と他の 妖精たち も現れました。

 その周りを取り囲む屈強そうな 妖精たち。

 長信 が遠くまで通るような太い声を張り上げました。

 

 長信:今こそ人間に妖精の力をみせつけるのじゃぁ

    ~!!!

  

 竹林の妖精たち:おう~!!!


 長信:竹林を守るのじゃぁ~!!!


 竹林の妖精たち:おう~!!!



 長信:我らの生活をまもるのじゃぁ~!!!


 竹林の妖精たち:おう~!!!


 長信:えいえい!!!


 竹林の妖精たち:おう~!!!


 長信:えいえい!!!


 ・・・。


 鬨(とき)の声を上げました。

 志気が高まったようです。

 皆 きびきび と支度を始めました。

 とうとう、人間と妖精との戦争が始まってしまいました。

 

 長信 の重臣たちがお家来衆に指示を出していました。

 

 家勝:我らが先に戦場へと向かうぞ!!!

    みなのもの~!!!

    用意は良いか?


 家勝のお家来衆:お~!!!


 吉秀:我らは、情報収集をしに駆け回るぞぉ

    ~!!!

    みなのもの~!!!

    雀の背中に乗って飛び回るのだぁ~!!!


 吉秀のお家来衆:お~!!!


 秀長:我らが 妖精たち の訓練をするぞ!!!

    みなのもの~!!!

    しっかりやるのだぞぉ~!!!


 秀長のお家来衆:お~!!!


 益一:我らは武器調達をするぞぉ~!!!

    みなのもの~!!!

    人間どもの切り倒した竹を奪って竹鉄砲を作

    のじゃぁ~!!!


 益一のお家来衆:お~!!!


 ・・・。


 あっちからこっちから、の太い声がします。

 その様子を見た 信長。

 何とか、戦が始まったのを実感しました。

 本当は、誰よりも、震えています。

 でも、それを見せられません。

 後には引けないのです。

 妖精たちの世界を守るためなのです。

 それに・・・。

 長信 にとっては何よりも大事なことを守るため。

 織田木瓜に染められた白幕(陣幕)の中へと入っていきました。


 長信:濃姫、もうすぐじゃ。

    待っておれ・・・。


 ぽつりとつぶやきました。

 辺りは、誰も声を出しません。

 皆、 長信 の気持ちが分かっているのです。

 長信 の為にも 濃姫 の為にも頑張るつもりです。

 笑って欲しいのです。

 

 朝が近づいてきました。 

 天高くそびえる竹林の笹の隙間から、太陽の光が段々と濃くなってきました。

 長信は、深呼吸しました。

 そっと、耳を澄ませて思いを巡らします。

 

 聞こえる・・・。

 

 聞こえる・・・。


 人間どもの叫ぶ声が聞こえる・・・。


 あぁ、聞こえる・・・。


 聞こえる・・・。


 人間どもが騒ぐ声が聞こえる・・・。


 妖精たち、よくやってるぞ・・・。

 

 その調子だ・・・。

 

 何とか、やりきってくれ・・・。


 あぁ・・・。


 濃姫、聞こえるか・・・?


 俺は、戦うぞ・・・。


 お前のために戦うぞ・・・。


 そして、必ず、お前をこの地で迎えるぞ・・・。


 だから、安心して待っておれ・・・。


 早くお前に会いたい・・・。





 それはそれは、遡ること380年前。

 この平安村が誕生する前のお話です。

 その頃の日本は、戦国時代でした。

 森は荒れ、竹林も荒れ、 妖精たち は困っていました。

 せっせ せっせ と植樹しては頑張っておりました。

 でも、人間たちに切り倒されてしまいました。

 生活や戦に使うためです。

 とりわけ、戦では沢山の木々が使われました。

 折角育てても森や竹林は豊かになりません。

 妖精たち は毎晩毎晩泣いていました。

 そして・・・。

 ある日、竹の花が咲いたかと思ったら、全て竹が枯れてしまいました。

 真竹(まだけ) という品種です。

 妖精たち の心は折れてしまいました。


 人間たちのせいだ・・・。


 こんなに頑張っているのに・・・。 


 何でこんなことするの・・・。


 悲しいよぉ~・・・。


 妖精たち は、沢山泣きました。

 月の光が優しく森や枯れた竹林を包み込み、 妖精たち の心を慰めてくれました。

 遠くの遠くのお月様。

 涙で ゆらゆら 揺れて見えます。

 

 どうか、私たちを助けて下さい・・・。


 どうか・・・。


 どうか・・・。


 どうか、お助け下さい・・・。

 

 涙を手で拭って、夜空に手を伸ばしました。


 月の光が  きらきら きらきら・・・。


 どんどん どんどん・・・。


 ん・・・?

 何かいつもと違います。


 大きな塊が月から降りてきました・・・。


 何だろう・・・。


 何かの雅な音楽が聴こえる・・・。

 

 ぴ~ひゃらら~ ぴ~ひゃらら~・・・。

 

 とん とん とん とん・・・。

 

 びょん びょん・・・。

 

 段々と近づいてきました。

 ゆらゆら ゆらゆら。

 ふわふわ ふわふわ。


 ん・・・?


 小さな小さな唐車(からくるま) が見えました。

 その後ろには小さな小さな檳榔毛車(びろうげのくるま) です。

 更にその後ろには小さな小さな網代車(あじろぐるま) が。


 何事でしょうか・・・?


 どなたかおいでになったようです・・・。


 どちら様・・・?


 枯れた竹林の方に向かっています。

 皆、興味津々です。

 一斉に飛んでいきました。

 森に入り、 ぴゅ~ ぴゅ~ と飛んでいきます。

 森の入り口が段々と小さくなっていきました。

 月の光だけが頼りの飛行です。

 奥の方は深い青色で先が見えません。

 いつもなら、怖くて夜には森の奥には入りません。

 森の出口にさしかかりました。

 

 何だろう・・・。

 

 段々と見えてきました。

 やはり、枯れた竹林に降り立ったようです。

 そこだけ辺りが月に照らされて明るくなっています。

 急いで飛んでいきました。

 もっと近くで見たいです。


 ・・・?


 何か喧嘩をしているようです。

 怒鳴り散らしています。


 一体どなたなんでしょう・・・?

 

 もっと近く・・・。


 もっと近く・・・。


 様子が見える森の出口で降りました。

 森の木々に隠れます。

 すると・・・。

 長信たち が月から降りてこられた方々に食ってかかっていました。

 月から来られた方々は困った顔。

 

 あぁ・・・。


 長信さん・・・。


 そんなに喧嘩しないで・・・。


 とりあえずお話だけでも聞いたら・・・?


 森の妖精の長老・義昭:あの おおうつけ 

            が!!!


 森の妖精の長老の側近・光秀:長老!!!

               あまり怒ると血圧が

               高くなります

               よ!!!


 森の妖精の光秀の側近・利三:私が間に入って事を

               丸めて参ります。


 森の妖精の長老・義昭:ふむ。

            いってまいれ。


 森の妖精の光秀の側近・利三 は、 ふわふわ と枯れた竹林に降り立った方々の元へと飛んでいきました。

 心配なので、 森の妖精の長老の側近・光秀 も後から追いました。

 そして、更に 森の妖精の長老の側近・光秀 が心配になった 森の妖精の光秀の側近・秀満 と 行政 と 庄兵衛 と 光忠 と 伝五 と 国継 と 吉永・・・が ぴゅ~ と後を追いました。

 

 まだ喧嘩しています。

 月から来た方々も妖精のようです。

 300匹は超えるでしょうか・・・?

 沢山見えます。

 かたや 長信 の方は、お家来衆を含めて 30匹ほどです。

 よく戦えるなぁ・・・ 森の妖精の長老の側近・光秀 は顔がこわばりました。

 やれやれ・・・ 森の妖精の光秀の側近・利三 は呆れました。

 困ったことになった・・・ 森の妖精の光秀の側近たち はから笑い。

 

 長信:ここは我らの土地ぞ!!!

    勝手に入るな!!!

    今すぐ出て行け!!!


 道三:この土地には我らの 月の光の粉 が必要な

    んじゃ。

    この 月の光の粉 を枯れた竹林に蒔くだけ

    じゃ。

    そうしたら月へと帰って行くから、そこをど

    いておくれ。

    

 家勝:この者たちの言うことなど聞いてはなりませ

    ぬ!!!

    きっと、我らの土地を奪いに来たので

    す!!!

    戦いましょう!!!


 義龍(よしたつ):それなら本当にこの土地を奪って

    やろうか?

    それでもいいんだぞ!!!

    売られた喧嘩は受けて立つ!!!

 

 吉秀:やっぱり、この者たちは怪しいです!!!

    それに、月から降りてきたのも、おかしいで

    す!!!

    きっと、なにかのまやかしです!!!


 帰蝶:嫌がっているのなら、また今度に致しましょ

    う・・・。

    もう、帰りましょう。

    そもそも、竹の花が咲く前に来なければなら

    なかったのです。

    竹の花を見るのを楽しみにしていたの

    に・・・。

    お父様がマムシに餌をおやりになっていたか

    らです。

    遅くなってしまって間に合わなかったではあ

    りませんか。

    そもそも、このお仕事は、日本の民や妖精に

    知られずに密かにやるものです

    帰ってから、対策を練りましょう。


 長秀:なにっ!!!

    また来るのか?

    もう二度と来てくれるな!!!


 道三:そうは言わずに、枯れた竹林の土地にこの 

    月の光の粉 を蒔かせてください。

    お願い致します。

    あなた方にとって、悪い話ではない。

    また竹林を再生するためのお薬のような物で

    す。

    だから、少しの間、この土地にいさせてくだ

    さい。

    

 長信:なにっ!!!  

    竹林が再生するお薬だと!!!

    そんな物は聞いたことがないぞ!!!

    南蛮の物か?

    どれっ!!!

    見せてみよ!!!


 義龍(よしたつ):お前!!!

    その生意気な口、慎め!!!

    この貴重な 月の光の粉 をこの土地のため

    に使ってやるんだ!!!

    ありがたがいと思え!!!


 益一:ありがとうございます。

    私どもには目新しいものでして・・・。

    さすがに知らない物を、おいそれと、この土

    地に蒔くわけには参りません。

    是非とも、お見せいただけませんでしょう

    か・・・?

    

 帰蝶:えぇ、是非とも。

    さぁ、ご覧になって。

    そうよね。

    知らない物を大事な土地に蒔かれるのは困る

    わよね。

    無理を言ってごめんなさいね。

    でも、これは、何千年もしてきていることな

    の。

    だから、大丈夫よ。

    今回も、この 月の光の粉 を蒔いて、竹林

    を再生するわ。

    そして、いつも、少し残るから、それは、近

    くの森などに蒔くの。

    すると、森も再生するわ。

    

 丸蘭:では、少し拝見致します。

    その 月の光の粉 というものをお貸し下さ

    い。

 

 道三:おぉ~い!!!

    この方々に 月の光の粉 をお見せなさ

    い!!!

    

 すると、 道三 の家来が、 長信 に一つ包みを渡しました。

 皆、 長信 の元へ集まってきました。

 包みの中は、細かい粒子で光り輝いていました。

 皆、光る粉に驚いています。

 こそこそ 会議中。

 皆、初めて見る 月の光の粉 に興奮しています。

 



 ・・・金 なのか?

 

 いや、もっと値打ちがありそうだ。

 

 それに、とても軽いぞぉ。

 

 ふわふわ だぞぉ。


 美味しいのかなぁ・・・。

  

 もし、もし、これを枯れた竹林に蒔けば、竹林は復

 活するのか?

 

 なんて凄いんだ。

 

 きっと南蛮の物に違いない。

 

 こんな貴重な 月の光の粉 を沢山所有しているこ

 の妖精は、ただ者じゃない。


 どこの国の人なんだろう。

 

 甲斐国(かいのくに) か?

 

 越後国 か?


 近江国 か?


 播磨国(はりまのくに) か?


 安芸国(あきのくに) か?


 薩摩国 か?


 駿河国 か?


 三河国 か?


 ・・・?


 どこなんだろう・・・?


 もし、本当に、枯れた竹林を再生できるのならば、

 凄いことだ。


 是非、取引したい・・・。


 どれ。


 蒔いてみるか・・・。




 長信たち は、手に少し取りました。

 そして、枯れた竹林に蒔いてみました。

 様子を見ています。

 

 ・・・。

 

 ・・・。

 

 ・・・。

 

 ・・・。

 

 ・・・。

 

 ・・・。

 

 全然、竹林が再生しません。

 道三 の顔を ちらちら と見ました。

 道三 は涼しい顔。

 

 もうちょっと待つのかなぁ・・・?


 ・・・。

 

 ・・・。

 

 ・・・。


 ・・・。


 ・・・。


 ・・・やっぱり何も生えてきません。

 

 あぁ・・・。


 騙されたんだ。


 悔しい。

 

 ただではおけん。


 成敗してくれる。


 長信たち は、刀を取り出しました。

 道三たち に向けています。

 道三たち も刀を構えました。

 緊迫した空気です。

 困りました。

 帰蝶 は、後ろへと下がりました。

 

 これはまずい・・・。


 森の妖精の長老の側近・光秀 が急いで飛んできました。

 更に、森の妖精の光秀の側近たち も我先にと後を追いました。


 森の妖精の長老の側近・光秀:お待ち下され

               ~!!!

               お待ち下され

               ~!!!


 森の妖精の光秀の側近たち は、刀を構えて 森の妖精の長老の側近・光秀 の周りを固めました。

 

 以後 森の妖精 と書くと長くなるので、名前だけにします。

 ちなみに、 森の妖精の長老の側近・光秀 は、後の平安村役場の 清明たちの側にいる 光秀 です。

 森の妖精の光秀の側近・利三たち も平安村役場の 清明たちの側にいる 利三 です。

 昔は、森に住んでおりました。

 長信たち とも顔見知りです。

 

 長信:なんだ、光秀。

    こんな夜中にどうした。

    長老と一緒じゃなくていいのか?

    老人は大切にした方が良いぞ。

    

 半ば本気で、半ば茶化して言いました。

 長信たち は、笑っています。

 それが 光秀たち には悔しくてたまらないです。

 でも、事は荒立てたくないのです。

 ぐっ とこらえました。


 光秀:物騒なまねはよしてくだされ!!!

    何で貴方はいつもそうなんですか!!!

    もう少し客人のお話を聞いて差し上げては如

    何か?

    すぐに結果が出るとはおっしゃってはいなか

    ったはず。

    短気は身を滅ぼしまするぞ!!!

    それに、多勢に無勢です!!!!

    戦ったら、負けますぞ!!!

    おやめください!!!

    私がお話をまとめてみせます。


 益一:なら、私もお供致します。


 盛信:私もお供致します。


 光秀 ・ 益一 ・ 盛信 の三匹が間に入ることになりました。

 お互いに刀は鞘に収めました。

 道三たち は、交渉に入れそうだと一安心しました。

 帰蝶 が前へ出てきました。 


 道三:再生するといっても、すぐにとはいかん。

    竹が枯れ果てて、 月の光の粉 を蒔いて10

    年はかかる。

    でも、 月の光の粉 を蒔かないと、10年経

    っても竹は生えてこん。

    気長に待つんじゃ。

    日本の竹林をずっと見守ってきた。

    これが我ら 美濃国(みののくに) の役割

    じゃ。

 

 光秀:美濃国(みののくに) ですか・・・?

    どちらにございますでしょうか・・・?

    とんときいたことがございません。

    もしや、南蛮の方ですか?


 義龍(よしたつ):いいや。

    地球のものではない。

    月から来たのだ。

    月にある 美濃国(みののくに)は 斎藤家 

    がお支えしている。

    そこで採れる 月の光の粉 は最高品質だ。

    我らは何千年もの間、日本の各地の竹林の再

    生を担ってきた。

    そして、今日は、この土地の再生のために参

    った。

    この土地の竹は真竹(まだけ)といって、

    120年に一度、一斉に枯れる。

    その時に、 月の光の粉 を枯れた土地に蒔く

    のだ。

    そうすると、10年後にはまた竹が再生する。

    

 益一:そうでしたか・・・。

    120年に一度枯れるのは、そのためでした

    か・・・。

    月の光の粉 を蒔かないと本当に、再生しな

    いのですか?

    今まで一度もお会いしたことがございません

    が・・・。

    本当にこの土地の竹のことですか?


 帰蝶:はい。

    そうです。

    120年に一度この土地に参っております。

    本来ならば、竹の花が咲いているときに月か

    ら来ます。

    太陽の光が私たちの姿を隠してくれるので

    す。

    ひっそり と行動します。

    そして、竹の花を見て、その後の竹の最後を

    見届けます。

    竹が枯れた後、夜まで待ちます。

    夜に紛れて 月の光の粉 を蒔きます。

    終わったら、また、朝の太陽の光に隠れて

    月へと戻っていきます。


 盛信:でも、信じて良いのか分かりません。

    何か・・・。

    保険のような物はいただけませんでしょう

    か・・・?


 道三たち は顔を見合わせました。

 とても困っています。

 手強いです。

 それに、早く 月の光の粉 を蒔かなければ太陽の光に隠れて帰れなくなってしまいます。 

 月の妖精 には門限があります。

 門限までに帰らないと、月の王様が従者に命じて調査します。

 お仕事が難航していると判明してしまうと、軍隊を派遣してきます。

 そうなったら、大変です。

 大騒ぎになります。

 そんなことになって欲しくありません。

 それに、その軍事費は帰れなかった国が負担します。

 つまり、今回は美濃国(みののくに)になります。

 ですので、焦っていました。

 

 道三:保険のような物・・・。

    う~ん・・・。

    何も持ち合わせてはいないが・・・。


 義龍(よしたつ) は 帰蝶 を じっ と見ました。

 そして、 道三 に耳打ちをしました。

 道三 は激しく怒りました。

 でも、 義龍(よしたつ) は、一歩も引きません。

 帰蝶 は理解しました。

 

 あぁ・・・。


 きっとそうだ・・・。


 私が人質になれば良いのね・・・。


 

 帰蝶:お父様。

    帰蝶 は人質になります。

    しばしのお別れです。

    お役目が終わったら、すぐに戻ります。

    どうかお達者で・・・。

    

 そう言うと、 道三 が止める間もなく 光秀たち の側へ寄りました。

 光秀たち は、しっかりガードしました。

 

 道三:あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・。

    そんな・・・・・・・・・・・・。

    帰蝶 ・・・。

    そんな・・・・・・・・・・・・。

    すまない・・・。

    必ずや迎えに来る。

    その時まで待っておれ。

    

 光秀:大切に私がお預かり致します。  

    帰蝶様。

    何かご不便なことがございましたら、この 

    光秀 に何なりとお申し付け下さい。

    それから・・・。


 すると、 長信 が鋭く口を挟みました。

 とても怒っています。

 大きな野太い声を出しました。


 長信:その女は、俺の側の置くことにする。

    光秀、連れてこい。

    もし、10年経っても竹の一本も生えてこなか

    ったら・・・。

    月にまで攻め入って美濃国(みののくに)を

    滅ぼすまでよ。

    

 吉秀 は 長信 の心を察しました。

 長信 は本当は優しいのです。

 物騒なまねはしたくないのです。

 それに・・・。

 美しい女性です。

 吉秀 も見とれました。

 きっと、 他の妖精たち もそうでしょう。

 月から来た妖精。

 とっても洗練された艶姿(あですがた)。

 心がときめきます。

 何か、楽しくなってきました。


 道三:あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・。

    どうか、どうか、娘には指一本も触れないで

    くれ!!! 

    頼む!!!

    頼む!!!

    必ずや、この土地の竹林を再生してみせ

    る!!!

    帰蝶、待っておれ!!!


 帰蝶:はい、お父様。

    私はいつまでもいつまでもお待ちしておりま

    す。

    さぁ!!!

    時間がございません。

    急いで 月の光の粉 を蒔いて下さい。

  

 道三:帰蝶、すまない~!!!

    

 そう言って、 帰蝶の顔 を じっ と見ました。

 そして・・・。

 お家来衆に急いで 月の光の粉 を蒔くように命じました。

 月の光の下、沢山の月の妖精たちが 月の光の粉 を空から蒔き始めました。

 きらきら きらきら 雪のように静かに静かに舞い降ります。

 まるでこの土地が祝福されているかのようです。

 枯れた竹林の土地にはうっすらと 月の光の粉 が積もりました。

 月の光の海のようです。

 とっても美しい光景に、皆、 うっとり しました。

 辺りが薄明かりになってきました。

 後もう少しで終わりそうです。

 そして・・・。

 沢山の月の妖精たちが1カ所に集まり出しました。

 月に帰る支度をしています。

 太陽の光に隠れて帰ります。

 皆、疲れているので朝ご飯を食べることにしました。

 月から持ってきたお弁当を広げていました。

 見たこともない美味しそうなご飯です。

 香りも素敵。

 

 長信:これは何というのか?


 帰蝶:アップルパイと言います。

    甘くて栄養があってとても美味しいですよ。  

    いかがですか?


 長信 は少し頂いて食べようとしました。

 

 長秀:御屋形様!!!

    まずは、毒味を!!!


 長信:なに、構わん!!!


 そう言うと、 ぱくっ ・・・ 食べてしまいました。

 

 あぁぁぁぁぁぁぁ・・・ とお家来衆。

 

 ごくっ・・・ 飲み込んでしましました。


 帰蝶:いかがですか?

    美味しいでしょう~!!!


 長信:ふむ。

    これは美味じゃ。

    

 それならば・・・ と 道三たち が沢山分けてくれました。

 目の前に出されたアップルパイ。

 ここにいた日本の妖精たち は恐る恐る食べてみました。

 皆、 ぱくっ。

 

 じ~ん・・・。

 

 お、お、お、お、美味しい・・・。


 この世の物とは思えない美味しさです。

 一気に虜になりました。

 きっと月の妖精たちは ただ者ではありません。

 

 凄い文明を持っている・・・。

 

 見習わなければならないかもしれない。


 敵対している暇など無い。


 この方々から学ぼう。


 でも恥ずかしい・・・。


 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ。


 この尾張国(おわりのくに)を良くするためだ。


 頭を下げよう。


 長信:人質としてではなくて、客人としてお招きし

    たい。

    そして、我らに知恵をお授け下さい。

 

 道三:是非とも、宜しくお願い致します!!!

    あぁ!!!

    帰蝶!!!

    良かった!!!

    良かった!!!

    お前はこれから客人として我らの文明をお教

    えするのだ。

    共存共栄の道を探しておくれ。


 帰蝶 の側に駆け寄り、頭を なでなで しました。

 帰蝶 はとっても嬉しそうです。

 お父さんに懐いています。    


 義龍(よしたつ):お前の選んだ朝食がお前を救う

    とはな。

    まぁ、せいぜい、頑張るんだな。

    そして・・・。

    必ず帰ってくるのだぞ。


 素直じゃありません。

 顔を背けました。

 泣きそうです。


 光秀:良かったですね。

    是非、我らにご指南下さりませ。

    

 帰蝶:ありがとうございます。

    微力ながら10年間しっかりと励みます。

    宜しくお願い致します。

    お父様。

    たまには、こちらに遊びに来て下さいね。

   

 あぁ・・・ と涙ぐむ 道三。

 その様子を見て、更に あぁ・・・ ともらい泣きの 義龍(よしたつ)。

 盛信 は仕方の無かったこととはいえ、申し訳なくなりました。

 もじもじ しています。

 帰蝶 が気づきました。

 盛信 に近づきました。

 

 帰蝶:素敵な経験をさせて頂けるようで感謝してお

    ります。

    ありがとうございます。

    私の方こそ、この土地で学ばせて頂きます。

    どうかご指南下さりますようお願い申し上げ

    ます。


 深々と頭を下げました。

 そして、 にっこり と微笑みました。

 周りの妖精たちは ぱぁぁぁ~ と気持ちが明るくなりました。

    

 盛信:あぁ・・・。

    いえ・・・。

    その・・・。

    本当に申し訳ありません・・・。 

    何かご不便なことがございましたら、何なり

    とお申し付け下さい・・・。

 

 帰蝶:ありがとうございます。

    宜しくお願い申し上げます。


 仲直り成功です。

 ほっ としました。

 

 太陽が登り出しました。 

 道三たち が月に帰ります。

 あたふた と月の妖精たちが準備を始めました。

 道三 は 小さな小さな唐車(からくるま) に乗りました。

 義龍(よしたつ) は 小さな小さな網代車(あじろくるま) に乗りました。 

 帰蝶 の乗ってきた 小さな小さな檳榔毛車(びろうげのくるま) は置いて帰ることになりました。

 

 道三:それでは、皆様、ここでお別れじゃ。

    帰蝶・・・ かぐや姫、達者でな。

    また、すぐに遊びに来るから。


 帰蝶:えぇ・・・。

    お父様もお兄様もどうかお達者でお過ごし下

    さい。

    必ず遊びに来てね。

    ごきげんよう。

   

 ふわっ と唐車(からくるま) が宙に浮きました。

 そして、網代車(あじろくるま) も ふわっ と宙に浮かびました。

 雅楽が流れ出しました。

 お別れです。

 帰蝶 は はらはら と涙をこぼしました。

 でも、顔は微笑んでいます。

 いつも 道三 が、 お前の笑顔が好きだ と言ってくれているからです。

 一生懸命に笑顔で見送りました。

 こちらに背を向けて月の方角へと帰って行きました。

 段々と小さくなっていきます。

 太陽の光に隠れて見えなくなってしまいました。

 帰蝶 はたまらず わんわん わんわん 泣いてしまいました。

 周りの妖精たちは、優しく見守りました。

 

 これから、尾張国(おわりのくに)での生活が始まります。

 どのようになっていくのでしょうか・・・?

 期待と不安でいっぱいの 帰蝶でした。


    ep.12  妖精と月の光の粉 終わり


 ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

 次回作もお読みいただけると嬉しいです。

 次回作は未定です。

 不定期に更新しております。

 投稿しましたら、活動報告でご連絡致します。

 次回は、 帰蝶 の美濃国(みののくに)のことを書こうかと思っております。

 お待ちしております(帰蝶より)。  

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― 新着の感想 ―
380年前からの因縁があったのか! ということは、現代での長信と帰蝶の間にも、何かがあったりするのでしょうか? だから妖精たちが蜂起している……? うーん、謎が深まってきていますね(´∀`) …
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