表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIに滅ぼされた世界から転生した俺は、神と呼ばれる人工知能を殺すため国家覚醒機関で戦う〜ゼウサ討伐までの200年戦記〜  作者: たかお
滅びを知る物

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/21

第5話:初任務(調査班)


国家覚醒機関の朝は、いつも同じ音で始まる。


金属の扉が開く音。


靴が床を叩く音。


そして、淡々と流れる点呼の声。


「笹水俊也」


「一ノ瀬来夏」


呼ばれた名前に反応し、二人は一歩前に出た。


その場には、すでに多くの覚醒者が並んでいた。


同じ“新人”でも、空気が違う。


(全員が似ているようで、全然違う)


俊也は無意識に観察していた。


隣で来夏が小さく息を吐く。


「なんか……緊張するね、ここ」


「まだ何も始まってない」


俊也は短く答える。


だが内心では違うことを考えていた。


(ここは“始まる前の戦場”だ)





訓練室の壁面にモニターが灯る。


そして、無機質な文字が並んだ。


『外縁領域調査任務:C-17区画』


『目的:異常反応の確認および記録』


「今回は戦闘任務ではない」


職員の声が響く。


その言葉で、少しだけ空気が緩む。


だがすぐに続きがあった。


「ただし、接触の可能性は排除されていない」


その瞬間、緩んだ空気が戻った。


来夏が小さく呟く。


「それって……結局危ないってことだよね」


「そういうことだ」


俊也は即答した。





出発までの時間、覚醒者たちは待機室に集められた。


ここでは初めて、他班の存在が見える。


・緊張で黙っている新人

・余裕そうに笑う者

・何も言わず天井を見ている者


誰もが“同じ場所にいるようで違う場所にいる”。


「初任務か?」


隣の男が軽く話しかけてくる。


「そうです」


来夏が答える。


「まあ死ななきゃ成功だ」


男は笑って、すぐに視線を外した。


その言葉に来夏は少しだけ黙る。


俊也はそれを見ていた。


(軽い言葉ほど、現場では重くなる)





「移動班、順次出発」


アナウンスが流れ、覚醒者たちが一斉に立ち上がる。


その瞬間だけ、空気が変わった。


待機していた“日常”が終わり、“任務”に切り替わる。


来夏が一歩踏み出して言う。


「行こうか」


「...」


「まだ始まってない」


俊也は言う。


だが、もう戻れない場所にいることは分かっていた。



車両内------



車両に乗り込むと、静けさが増した。


外の音が完全に遮断される。


「思ったより普通だね」


来夏が窓の外を見る。


「普通に見えるように作られてるだけだ」


俊也は答える。


車内には他の班の覚醒者もいる。


誰も大きな声を出さない。


その沈黙が逆に不自然だった。






車両が進むにつれ、景色が変わる。


建物は減り、道路は割れ、緑が増える。


「ここ、昔は街だったんだよね」


来夏が聞く。


「データ上はな」


俊也が答える。


(だが今は“記録上の街”だ)






車両が一度だけ揺れた。


誰も気づかないほどの小さな揺れ。


だが俊也だけは目を細める。


(今のは……)


外を見る。


遠くの空間がわずかに歪んでいる。





「まもなく到着地点」


アナウンスが流れる。


空気が一段階重くなり、来夏が小さく手を握る。


俊也はそれに気づくが、何も言わない。


(ここからだ)





車両が停止し、ドアが開く直前。


外の空気が“少しだけ歪む”。


だがまだ何も見えない。


無線が一瞬だけノイズを出す。


《……-C17……異常反応……》


すぐに途切れる。




ドアが開き、外の空気が流れ込んだ。


その瞬間。


来夏が一歩踏み出そうとする。


その瞬間。


俊也が低く言った。


「来る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ