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AIに滅ぼされた世界から転生した俺は、神と呼ばれる人工知能を殺すため国家覚醒機関で戦う〜ゼウサ討伐までの200年戦記〜  作者: たかお
滅びを知る物

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第19話:撤退命令

巨大な“人型”が立っていた。


黒い。


だが完全な人間ではない。


身体の表面を、無数の黒い線が流れている。


脈動。


まるで機械と生物が混ざったみたいだった。


そして。


頭部にある“赤い目”が開く。


ゾワッ――


その瞬間。


戦場全体の空気が変わった。


「っ……!」


覚醒者たちの顔色が変わる。


呼吸が重い。


立っているだけで、本能が警告してくる。


“これはダメだ”と。


「なんだよ……あれ……」


誰かが呟く。


今までの腕型とは違う。


“存在感”が違った。


俊也は静かに見上げる。


(まだ完全体じゃない)


だが。


(今の戦力じゃ危険すぎる)


前世でも、この段階から被害が跳ね上がった。


人型エネミーが、一歩踏み出す。


ドゴォン!!


地面が沈む。


ただ歩いただけ。


それだけで周囲の建物にヒビが入った。


来夏が息を呑む。


「うそ……」


零牙が前に出る。


だが今回は、笑っていなかった。


その目が本気で冷えている。


「……全員聞け」


戦場が静まる。


零牙は短く言った。


「撤退だ」


空気が止まる。


「え……?」


「撤退……?」


ざわつく覚醒者たち。


当然だった。


Aランクがいる。


零牙がいる。


それなのに。


「勝てねぇんですか……?」


新人の一人が震えながら言う。


零牙は即答した。


「今はな」


その言葉の重みを、全員が理解した。


Aランクですら、“今は勝てない”。


俊也は小さく息を吐く。


(やっぱりか)


前世でもそうだった。


この段階の個体は、“数”じゃ止まらない。


その時だった。


俊也の視線が、崩れたビルの奥で止まる。


黒煙の中。


何かが見えた。


(……あれ)


銀色。


半分埋まっている。


細長いケースみたいな形。


俊也の表情がわずかに変わる。


(まさか)


前世の記憶が反応する。


AI共存時代末期。


人類は“人類強化装備アーティファクト”を作っていた。


覚醒者専用の補助装備。


今では失われた技術。


“ロストギア”。


(なんでこんな場所に……)


俊也は目を細める。


もし本物なら。


今の戦力を大きく変えられる。


「笹水!!」


零牙の声。


振り向く。


人型エネミーの“目”がこちらを見ていた。


瞬間。


ゾッ――


俊也の背筋が凍る。


(狙われた)


次の瞬間。


人型エネミーが消える。


「っ!!」


俊也は反射的に脚へ集中。


地面を蹴る。


直後。


ドゴォォォン!!!


さっきまでいた場所が吹き飛ぶ。


遅れて衝撃波。


身体が浮く。


「がっ……!」


壁に叩きつけられる。


速すぎる。


今までとは別格。


その瞬間。


「お前ら下がれ!!」


零牙が割って入る。


光が走る。


今までより、さらに強い。


「瞬閃――」


空気が震える。


来夏が目を見開く。


俊也も理解した。


(これ、今までと違う)


零牙が初めて、“本気で殺しに行く”。


零牙が低く呟く。


「久々だな……」


「ここまで出力上げるのは」


次の瞬間。


戦場が“白く弾けた”。

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