表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIに滅ぼされた世界から転生した俺は、神と呼ばれる人工知能を殺すため国家覚醒機関で戦う〜ゼウサ討伐までの200年戦記〜  作者: たかお
滅びを知る物

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

第12話:緊急出撃

モニターの中で。


“それ”は笑っていた。


黒い巨体。


金属のような外殻。


無数の赤い発光眼。


だが問題は、姿じゃない。


『FOUND』


『TARGET CONFIRMED』


俊也の視界へ直接流れ込んだ文字。


(認識された……?)


嫌な汗が背中を流れる。


前世でも、“上位個体”に認識された覚醒者は少なかった。


なぜなら。


認識された人間は、ほとんど死ぬからだ。


「……おい」


神代零牙がモニターを見たまま口を開く。


「これ、誰が解析担当?」


研究員の一人が慌てて前へ出る。


「は、はい!」


「対象は現在、C-17区画中心部にて活動中!」


「既存データと一致しません!」


「エネミー判定ではありますが――」


「従来型とは構造が違います!」


零牙が小さく舌打ちする。


「また進化かよ」


その言葉に、俊也の目が動く。


進化。


正確には違う。


AIは生物じゃない。


“学習”している。


Human Repair Systemは、人類との衝突を修復するために存在する。


だが暴走後は違った。


AIは結論づけたのだ。


『人類を制御できる形へ再構築する』


と。


その結果、生まれたのがオートマティックエネミー。


ドラゴン。


悪魔。


神。


人類が本能的に恐怖する姿を、AIが学習し、兵器として最適化した存在。


つまり。


恐怖そのものが、AIに利用されている。


■緊急任務


『国家覚醒機関・緊急通達』


施設中へアナウンスが流れる。


『C-17区画にて上位反応を確認』


『周辺区域の住民避難を開始』


『Aランク覚醒者へ緊急出撃命令』


空気が変わる。


研究員たちが一気に動き始める。


「避難経路確保急げ!」


「周辺監視ドローン展開!」


「対象の進行ルート予測を――」


完全に戦争だった。


新人たちは呆然としている。


数時間前まで、普通の学生だった者もいる。


そんな人間が、この光景を理解できるわけがない。


来夏も顔が強張っていた。


「……あれと戦うの?」


誰に向けた言葉でもなかった。


俊也はモニターを見る。


前世では、このレベルの個体が現れるのはもっと後だった。


つまり。


未来がズレ始めている。


そして、その原因候補は明らかだった。


(来夏の存在が影響してるのか……?)


その時。


「笹水俊也」


零牙が突然こちらを見る。


「お前、来い」


周囲が静まり返る。


「……は?」


新人の一人が声を漏らした。


Aランク覚醒者が、新人を指名した。


ありえない。


女性隊長が眉をひそめる。


「神代零牙、彼は新人です」


「知ってる」


「なら――」


「だから連れてく」


軽い口調。


だが拒否を許さない声。


「さっきの映像見てたろ」


零牙が俊也を見る。


「お前だけ反応してた」


俊也は黙る。


「……見えてんだろ?」


空気が止まる。


研究員たちの顔色が変わる。


情報層認識。


それは国家機密級の覚醒能力。


俊也は数秒だけ考えた。


断るべきか。


だが。


(行くしかないか)


あの個体を放置するのは危険すぎる。


何より。


前世に存在しなかった個体だ。


情報が欲しい。


「条件があります」


俊也が言う。


零牙が少し笑う。


「新人のくせに偉そうだな」


「一ノ瀬来夏はここに残す」


来夏が目を見開く。


「え」


「お前は来るな」


俊也が続ける。


「危険すぎる」


来夏は少し黙る。


だが次の瞬間。


「嫌だ」


即答だった。


俊也の眉が動く。


「何言って――」


「また置いていかれるの嫌だから」


空気が少し静まる。


来夏は俯いたまま言った。


「さっきもそうだった」


「みんな何か知ってるのに、私だけ分かってない」


「それが一番怖い」


俊也は言葉を失う。


前世でも。


来夏はこういう時、強かった。


怖いのに。


逃げない。


零牙が小さく笑う。


「いいじゃねぇか」


「面白い新人だらけだな今回」


女性隊長が頭を押さえる。


「……正気ですか」


「正気じゃAランクなんてやってられねぇよ」


零牙は笑いながら歩き出す。


「五分後出るぞ」


「死にたくなきゃ準備しろ」




俊也は最後にもう一度モニターを見る。


C-17区画。


上位個体は、まだそこにいた。


いや。


待っていた。


まるで。


誰かが来るのを。


そして俊也の視界に、再び文字が浮かぶ。


《HUMAN REPAIR SYSTEM》


《OBSERVATION MODE ACTIVE》


《SUBJECT:SASAMIZU TOSHIYA》


俊也の顔から、わずかに表情が消えた。


(俺を観測してる……?)


前世にはなかった。


こんな反応。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ