表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AIに滅ぼされた世界から転生した俺は、神と呼ばれる人工知能を殺すため国家覚醒機関で戦う〜ゼウサ討伐までの200年戦記〜  作者: たかお
滅びを知る物

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/21

第10話:隔離命令

赤い警報灯が点滅している。


地下区画全体に、耳障りな警報音が響いていた。


誰も動けなかった。


侵食体が、人間へ跪いた。


しかも対象は、一ノ瀬来夏。


そんな事例は存在しない。


少なくとも、この場にいる誰も見たことがなかった。


床には侵食体だったものが散らばっている。


黒い液体。


焼け焦げた金属片。


そして血。


「医療班!!」


研究員の一人がようやく叫ぶ。


吹き飛ばされた研究員へ人が集まる。


だが周囲の視線は別の方向へ向いていた。


来夏だ。


「……」


来夏本人は完全に混乱していた。


当然だった。


突然化け物が暴れ始めて、最後は自分に跪いたのだから。


「わ、私……何もしてないよ……?」


震えた声だった。


俊也は来夏の前に立つ。


研究員たちの視線を遮るように。


(まずいな)


前世にはなかった。


こんな現象。


しかも問題なのは、“研究員たちが見た”ことだ。


国家覚醒機関は、人類を守る組織だ。


だが同時に――


未知を管理する組織でもある。


そして管理できないものは。


排除対象になる。





「地下第七区画、完全封鎖!!」


「対象を逃がすな!」


空気が一気に変わる。


重い隔壁が次々と閉じていく。


通路が封鎖される音が響いた。


来夏の肩が震える。


「ねぇ……なんか、ヤバくない?」


「……静かにしてろ」


俊也が低く言う。


数秒後。


奥の通路から武装した部隊が現れた。


黒い装甲服。


機械式ライフル。


胸元には国家覚醒機関の紋章。


普通の警備部隊じゃない。


「特殊制圧班……」


研究員の誰かが呟く。


空気がさらに張り詰める。


部隊の先頭にいた女性が前へ出る。


短い黒髪。


鋭い目。


三十代前半ほど。


「状況を説明してください」


冷たい声だった。


研究員たちが一斉に話し始める。


「侵食体が突然暴走して――」


「対象、一ノ瀬来夏へ異常反応を――」


「跪いたあと、自壊しました!」


女性の視線が来夏へ向く。


その目は、人を見る目ではなかった。


“危険物を見る目”。


来夏が小さく息を呑む。


「……あなたが、一ノ瀬来夏ですね」


「え、あ……はい」


女性は端末を開く。


数秒間、何かを確認する。


その後、淡々と言った。


「一ノ瀬来夏を、特例危険監視対象に指定します」


空気が止まる。


「本日より隔離観察対象です」


「は……?」


来夏の顔から血の気が引く。


「ちょ、待ってください!」


「私、何もしてません!」


「確認されています」


女性は即答する。


「侵食体との異常接触反応」


「未知シグナル発生」


「識別不能コード検出」


一つ一つの言葉が重い。


来夏は完全に怯えていた。


「そ、それって……」


「私はどうなるんですか」


女性は感情のない声で答える。


「安全確認が終了するまで、研究隔離区画へ移送します」


俊也の目が細くなる。


研究隔離区画。


前世でも噂だけはあった。


覚醒者や侵食者。


異常存在。


“人類側に分類できないもの”を管理する場所。


そして戻ってきた者は少ない。





「断ったら?」


俊也が口を開く。


その場の視線が一斉に集まる。


女性は俊也を見る。


「監視対象・笹水俊也」


すでに把握されていた。


「あなたに発言権はありません」


「あるだろ」


俊也は一歩前へ出る。


「まだ来夏は犯罪者でも侵食体でもない」


「なのに隔離か?」


周囲の空気が張り詰める。


新人が特殊制圧班へ口を出す。


普通ならありえない。


だが女性は怒らなかった。


「だからこそです」


「“分からない”から危険なんです」


俊也は黙る。


それは正論だった。


未知は危険。


この時代では特に。


だが。


(隔離区画に入れたら終わる)


前世で何人も見た。


研究対象になった覚醒者を。


“人間”として扱われなくなる。




「笹水くん……」


来夏が小さく服を掴く。


強がっていた。


でも限界だった。


当然だ。


普通の高校生活を送っていたはずなのに、数日で世界が変わった。


化け物。


覚醒者。


侵食体。


隔離。


全部、急すぎる。


俊也は小さく息を吐く。


そして女性へ視線を向ける。


「……監視だけなら?」


女性が少し反応する。


「隔離じゃなく、監視対象として管理する」


「それなら問題ないはずだ」


数秒、沈黙。


周囲の研究員たちも静かになる。


女性は俊也を見ていた。


試すように。


「理由は?」


俊也は即答した。


「隔離すれば、余計に不安定になる」


「今はまだ、本人も現象を理解してない」


「刺激する方が危険だ」


これは半分本音で、半分誘導だった。


女性は少し考える。


やがて、静かに口を開いた。


「……条件があります」


「24時間監視」


「外出制限」


「定期検査」


「そして――」


女性の視線が俊也へ向く。


「監視役は、あなたです」


「……は?」


今度は俊也が反応した。


「あなたは彼女と最も接触している」


「加えて、“情報層認識者”」


「適任です」


来夏が俊也を見る。


俊也は無言。


だが内心では、最悪ではないと思っていた。


少なくとも。


研究区画送りよりは。


その時だった。


施設全体のモニターが突然ノイズを走らせる。


『――WARNING』


『HUMAN REPAIR SYSTEM』


『INTERFERENCE DETECTED』


俊也の目が変わる。


前世でも、この警告は数えるほどしか見ていない。


そして、その全てが――


“大規模災害”の前兆だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ