表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された弱小将軍の俺、本能寺の変を「嘘」で上書きして天下を操る 〜光秀を救い、秀吉の嘘をさらに嘘で塗り潰したら、いつの間にか歴史最強の黒幕になっていた〜  作者: ガドウ@歴史改変チート


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/18

第五話:二条御所の亡霊

天正十年、六月下旬。

 かつて俺を追放した都、京の二条御所に、俺は数年ぶりに足を踏み入れた。


本来なら、追放された将軍が易々と戻れる場所ではない。だが、門を固める兵たちは、俺の姿を見るなり、魂を抜かれたように道を開けた。

 彼らの瞳の奥には、俺が書き込んだ 黄金の嘘 が、消えない火のように灯っている。


『足利義昭こそが、信長の志を継ぐ正当なる守護者なり』


この ことわり に抗える者は、もはやこの京にはいない。


「……はぁ、はぁ……」


御所の深奥、玉座に深く腰を下ろした瞬間、肺が焼けるような熱に襲われた。

 代償は加速している。右腕はもはや完全に感覚を失い、冷たい彫像のように膝の上に横たわっている。心臓を打つ鼓動は不規則で、ときおり周囲の音が薄れ、頭の奥で小さな裂け目がはじけたように響く。


俺は震える左手で、玉座の肘掛けに墨を垂らし、指で直接 文字 を刻みつけた。


『この場所は、あらゆる嘘が「真実」として確定する、歴史の特異点となる』


書いた瞬間、御所全体が激しく揺れた。

 地震ではない。空間そのものが、俺の意志に無理やり形を曲げられたことによる悲鳴だ。

 

 次の瞬間、俺の視界にある 情報の糸 が、激しく発火した。

これまで赤い揺らぎにすぎなかったものの中に、今度ははっきりと文字の形が浮いた。


『警告:領域ドメインの管理者権限に未承認のアクセスを検知』

『ステータス:歴史的因果の強制上書き中。……バグの発生を許容します』


「……まただ。またこの『声』か」


俺は血の混じった唾を吐き捨て、不敵に笑った。

 管理者? バグ? 訳の分からぬ言葉を並べるがいい。

 俺がこの筆で書き、この御所で宣言する限り、それがこの世界の唯一の正解だ。


「光秀、入れ。……お前の『英雄譚』の続きを書いてやる」


現れた明智光秀は、かつての迷いある表情を捨て、神を見るような狂信的な眼差しで俺に平伏した。

 

 俺は知っている。光秀を救ったのも、家康を屈服させたのも、すべては俺のついた 嘘 に過ぎないことを。

 だが、その嘘が世界を覆い尽くせば、それはもはや嘘ではない。 歴史 そのものだ。


 身体が崩れるのが先か、俺が神の如き記述者ライターになるのが先か。

 

 勝負はここからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ