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第13話 一心同体

「いいかバグリン。お前が外で大声でしゃべってると、危険な事になる。だから、俺が許可したとき以外はしゃべるな。良いな?これは命令だぞ」


「えー、やだー」


人気のない街道脇で改めて命じるが、バグリンは当たり前のように拒否して来る。

ミュート機能が無いのが悔やまれてしょうがない。


「これなーんだ」


俺はインベントリから武器を取り出し、それをバグリンの目の前に突き出す。


「あー、おいしそー。ちょーだいちょーだい」


バグリンがその武器に飛びつこうとするが、それよりも早く俺はそれをインベントリにしまう。


「あれぇ?なくなっちゃったぁ」


「バグリン、さっきの武器欲しいか?」


「うん!欲しい!!」


「上げたいのはやまやまだけど、言う事を聞いてくれないなら上げられないなぁ」


「えー」


「バグリン。俺の言う事を聞いて喋るの我慢する?」


「やだー」


くそが……

そこは素直にうんって言えよ。


「でもそれだとご飯あげられないなー」


「ごはんほしい!」


バグリンがピョンピョンする。


「そんなに欲しい?」


「ほしいほしい!」


「じゃあいう事聞いてくれないとなぁ」


「えー、やだー」


無限ループという言葉が脳裏を横切る。

ゲームなんかだと、プレイヤーの拒否を無視する意味不明な選択肢のアレだ。

そんな不吉な予感を覚えつつ、俺は根気よくバグリンに命令を聞くよう促す。


「えー、やだー」


やり取り12巡目。

まったく進展なし。


うん……無限ループかどうかは置いといて、このままだと埒があかんな。

こういう時は妥協的な提案をするに限る。


「なあバグリン。それじゃさ、もっと小さな声で喋ってくれないか?小声なら他の人には聞こえないからさ。な、頼むよ」


「うーん……」


お、反応が変わった。

これならもう一押しで何とかなるんじゃないか?

ちょっと褒めてみよう。


「可愛いバグリンの声、俺だけで独占したいなー。他の人には聞かせたくないんだ」


「可愛い?えへへへ」


バグリンが照れてくねくねする。


「だからさ。他の人達に声を聞こえない様に小声で喋ってくれないか?」


「うん、わかったー」


よし!

上手くいった!

俺の勝ちだ!!


「これからはー」


『こうするねー』


「うぉっ!?なんだ!?」


急に脳内に声が響き、思わずびくっとなる。


「今の声ってひょっとして……」


『ぼくだよー』


再び脳内に声が響く。

どうやらバグリンの声で間違ない様だ。


「おー、こんな事が出来るのか。すごいぞー」


こんな事が出来るならさっさとやれや。

という心の声はしまっておく。

へそを曲げられては叶わんからな。


『えへへー』


「これからはそれで頼むよ」


鼓膜を介さず脳内に声が流れるのは少々違和感があるが、ま、そのうち慣れるだろう。


『ねーあるじー、ごはんー』


「わかったわかった」


インベントリから武器を取り出し、バグリンにくれてやる。

さて、一度にどれぐらい食べられるかな。


食べる量が多ければ多い程、レベルアップは早くなる。

なので、満腹にならず無限に食い続けられるのが理想だが……


「おいしー」


バグリンが武器を喰らう。

喰らう。

光ってレベルアップ。

喰らう。

喰らう。

光ってレベルアップ。


必要経験値はレベルが上がる毎に倍になる感じかな?

あと、武器のランクで経験値が変わるかも見ておこう。


更に食事とレベルアップが続く。

やはりと言うか、予想通りと言うか、ランクの高い武器程多くの経験値を得られる様だった。


「あー、スキルがかわったー」


18回程レベルアップした所で、バグリンがそう言って来る。


「ん?スキルが変わった?」


バグリンが持つスキルは、一蓮托生なる糞スキルだ。

あれに変化が起きたのだろうか?

共倒れ効果が無くなってると有難いのだが……


そう思いながら確認すると――


「あれっ!?」


バグリンのステータスを見て俺は驚きの声を上げる。

何故なら、ステータスが爆上がりしていたからだ。

謎の補正値によって――ステータスは左側が自身の物で、その右側にあるプラス付きの物が補正。


「なんだこの補正?スキルの影響か?器用に至っては、100も補正されてるじゃぇか。これじゃ、カンストまで上げた俺のステより……え?あれ?この数値って……」


ふと気づく。

バグリンのステータスの補正が、まんま俺のステータスの値である事に。


「どういう事だ?俺のステータスがバグリンの補正?この一心同体ってスキルの効果か?」


バグリンの覚えていた一蓮托生は消え、一心同体というスキルに変わっていた。

俺はスキルの概要を確認してみる。

基本は一蓮托生と同じだが、そこにプラスアルファの効果が追加されていた。


その内容は――


「お互いのステータスが補助しあう……補助しあう!?ちょっと待て!それって!!」


慌てて自分のステータスを確認する。

すると俺のステータスに、バグリンの基本ステータス――俺からの補正値抜きの数値――分の補正がかかっていた。


「マジか!!」


バグリンのステータスは1レベルで1上昇する。

それが丸々補正になると言う事は、俺のステータスが実質1,5倍近く上がるに等しい。

いやまあ、自分で振り分けられないから実際はそこまでの効果は見込めないけど。

だがそれを含めてもこの補正は偉大だ。


「俺の……俺の……勝ちだ!」


一蓮托生を見た時は完全敗北かと思えたが、正に大逆転勝利と言える。


まあ、こいつがやられたら俺が死ぬ事には変わりない訳だが。

それでもステータスが底上げされるなら、その分体力を上げるなりして死ににくくする事が出来たりするので、プラスマイナスで考えたら十分プラスと言えるだろう。


「でかしたぞバグリン!」


バグリンを抱き上げてぎゅっと抱きしめてやる。


『くるしゅうないー。ちこうよれー』


抱きしめているこの状態から、一体これ以上どう近く寄れとういうのか?

それは物理的に一心同体にならないと無理だぞ?



拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


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