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第11話 一蓮托生

「バグスライムとか、運営公認かよ……」


ああいや、このゲーム世界には運営などいないんだった。

増殖バグで飛んでこないしな。


「しっかし……バグスライムって種族名なぐらいだから、普通のスライムとは違うんだよな?それともいない筈のスライムだから、バグスライムって事か?」


取り敢えずステータスを確認してみる。


「ん?HP・MP・SPが横線?」


パッと目についたのが、その三つの項目が『――』この状態になっていた事だ。

バグだろうか?


それ以外のステータスはキチンと表示されていた。

まあ全て1だが。

能力が低いのは、最低ランクのモンスターだから仕方ない。


「スキルがあるな。【一蓮托生】?」


見た事のないスキルだ。

スキル説明を確認してみると『主人と生命が繋がる事で、HP・MP・SPが共用になる。HPが0になると死亡し、主人もろとも消滅する』となっていた。


「……」


『主人と生命が繋がる事で、HP・MP・SPが共用になる。HPが0になると死亡し、主人もろとも消滅する』


『主人と生命が繋がる事で、HP・MP・SPが共用になる。HPが0になると死亡し、主人もろとも消滅する』


『主人と生命が繋がる事で、HP・MP・SPが共用になる。《《HPが0になると死亡し、主人もろとも消滅する》》』


「ふぁっ!?」


ちょっと待て!

ちょっと待てちょっと待てちょっと待て!!


HPが共用!?

死んだら一緒に消滅!?


「いやいやいや!おかしいだろ!!こいつのステータス全部1のくっそ雑魚キャラだぞ!!こいつが死んだら俺も死ぬとかありえねぇ!!」


しかも死亡後消滅するとまで明言されてしまっている。

つまり、この世界での死にリスポーンはないと言う事だ。

少なくともスライムと一緒に死んだ場合は。


「こんなバカな!死亡以外でテイムは解除できないんだぞ!!俺に死ねってのか!!!」


やらかした……


やらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかしたやらかした。


「やらかしちまった!!!!!!」


糞が!

こんな事になると分かってたら絶対テイムしなかった!

なんで俺はさっさと諦めなかったんだ!

こんなもん、地雷を抱え込んだ様なもんじぇねぇか!!


「くそがあああああああああああああああああ!!!!」


頭を抱え、その場でゴロゴロと転がり回る。

漫画などで稀に見る事はあっても、現実では早々お目にかかれない動き。

それをまさかリアルで自分がする事になろうとは。


「くそっ!くそくそくそ!!」


好奇心は猫を殺す。

身から出たさび。

後悔先に立たず。

欲をかくとろくな事にならない。


転がりながら、そんな言葉が俺の頭の中で木霊する。


「はぁ……はぁ……結構冗談抜きで一生の不覚だ。必要な要素ならともかく、趣向でしかない物を欲張って自分の首を絞める事になるなんて……」


ああ、キャラクターを作り直してやり直したい。

まあそんな事できる訳ないんだが……


「あー、もうしゃあねぇ!こうなったら、細心の注意を払って守っていくしかない」


俺は体を起こし、その場で胡坐をかく。


やらかしてしまった物はしょうがない。

叫んだり転がった所で解決する訳も無い以上、もはや受け入れるしかないのだ。


もちろん受け入れたくはないんだが……


現実とは残酷である。


「まあ無限増殖ありだからな。これ位のハンデがあるくらいが丁度いいってもんだ」


そうでも思わなければやっていけん。


「ん?」


スライムがピョンピョン飛び跳ね、胡坐をかいている股間の部分にすっぽりと収まる。


そして――


「あのね……僕ね……」


――喋った。


スライムは丸い球体状につぶらな目が二つ付いているだけだが、喋る時は口っぽいくぼみが出来る様だ。

その声は、小さな子供が扇風機に向かって声を出している様な感じの物だった。


あ、言っとくと、テイムしたモンスターはAIが生成され、独自の思考で話す様になる仕様だ。

なので、スライムが喋った事に俺は驚きはしない。


「なんだ?」


「お腹空いたの」


ああ、うんまあそうですか。

お腹がすきましたか。

のん気で羨ましいよ。


いやまあ、急に深刻な悩みを打ち明けられても困るけども。


「ほらよ」


俺は事前に買っておいたペットフード(袋)をインベントリから取り出して、革袋に入った餌を手を突っ込んで取り出してやる。


「こっち。こっちがいい」


スライムが首を振るかのように、体を左右に振る。

そしてその一部が細長い形に変形し、俺の腰のにかかっている短剣を指した。


「え……」


何コイツ。

武器を喰いたいってのか?


「これが食いたいのか?」


短剣を手に取り確認してみると――


「うん。それ。食べたい。食べたい」


――嬉しそうにスライムが俺の膝の上で跳ねた。


どうやら本当に武器が食べたい様だ。

酷い偏食もあった物である。

まあ魔物だし、何でも在りか。


そういや、此処はミスリルダンジョンだったな。

ここで生きて来たんなら、ひょっとしたらミスリルを食べて生活をしてきたのかもしない。

だからミスリル製のダガーを喰いたいって言ってるのだろう。


「ふむ。まあいいけど……本当に大丈夫か?」


これ渡すと武器が無くなってしまう。

まあ此処は率先して攻撃を仕掛けてはこないノンアクティブしかいないし、今日はもう狩りをする気分でもないので、この武器をくれてやっても別に構わないとは思うけど……


「ちょーだい。ちょーだい」


スライムがピョンピョンと跳ねた。

その無駄に可愛らしい姿に若干イラっとする。


ああ、別に可愛らしい物を見てイラっとする思考の持ち主って訳じゃないぞ。

一蓮托生とか言う糞スキルを押し付けた相手が、呑気に可愛らしく振る舞うのに不快感を感じただけだ。


まあこいつが悪い訳じゃないんだろうけど、どうしてもなぁ……


「まあいいや。ほれ」


「わーい」


短剣を差し出すと、スライムがそれを丸呑みする。

そしてどんどん解けて形が崩れていく短剣。


いや冷静に考えて、ミスリル金属高速で溶かすとかどんな強酸だよ。

ランク1のモンスターが備えてていい機能じゃねーだろうに。


「おいしい、おいしい」


バグスライムが御機嫌と言わんばかりに跳ねる。


「ん?なんだ?」


体内にあった短剣が全て消えてしまう。

その瞬間、バグスライムの体が青く光った。


「強くなった。僕、強くなった」


「強くなった?ひょっとしてレベルが上がったのか?」


バグスライムのステータスを確認すると、本人の申告通りレベルが上がっていた。


「本当にレベルが上がってるな。お前、飯食うだけでレベルアップするのか」


通常のテイムモンスターは、飼い主の取得経験値を分ける形でレベルアップして行く。

その比率はランクが上がる程高くなっていき――最大50%持ってかれる。

更にレベルアップに必要な経験値も、高ランクであればあるほど大量に必要になる仕様だ。


「他とは違う方法でレベルアップ出来るとか、流石バグモンスターなだけあるな」


レベル上げ自体は楽そうだ。

何せ、こっちは金が使い放題な訳だからな。

武器ならいくらでも食わせられる。


「ねぇあるじ……僕……お名前欲しい」


「ああ、名前か」


テイムには名前を付けられる様になっている。

ま、だいたいどのゲームでもそうだよな。

愛着を付けさせるために。


「ふむ、名前ねぇ。バグ……グリッチ……いや、流石に名前にそれを入れるのはどうなんだ?まあでも、種族はまんまだから別にいいか。よし、お前の名前はバグリンだ」


「バグリン……わーい、バグリンバグリン」


バグリンが嬉しそうに跳ね回る。


バグが跳ねる。

うん、そう考えるとなんか不吉だな。



拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


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クソモンス……
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