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第7話 焼き払われた村を全自動(不眠不休)で復興!? 最弱LV1、神剣の一閃でAランク魔物を一撃瞬殺する

「……よし。それじゃあ、我が社の新規採用ネクロ・ライズを再開しようか」


 神剣『天之尾羽張アメノオハバリ』――もとい、尾羽張様を腰に帯びた俺は、焼き払われた故郷の凄惨な景色を見つめて震えていたフェイの肩(骨だけど)をそっと叩き、右手を掲げた。


 勇者に焼き払われ、無残に命を奪われた村人たちの遺骨。本来なら悲劇でしかないその遺物へ、俺の中の『死霊術師UR』の魔力が濁流となって流れ込む。


 ドクン、と大地が脈打つ。


 カタカタカタカタカタカタカタ――ッ!!


 黒い霧が晴れたそこには、五十人以上の『村人スケルトン』が一斉に立ち上がっていた。


 フェイが眼窩の青い炎を大きく揺らし、驚愕の声を漏らす。


「あ、あのおばちゃんも、村長ジジイも……みんな骨になってる……っ!?」


「フェイ、悲しむ必要はないぞ。こいつらは飯も食わないし、寝もしない。何より、お前をハメたクソ勇者に復讐するための、我が社の頼もしい『社員(戦力)』として第二の人生を歩み始めたんだからな」


「……マスター、本当にブレないね。ちょっと元気出たよ」

 フェイが呆れたように、でも嬉しそうにクスリと笑った。


 さて、戦力はゴブリンと村人を合わせて、一気に百体近くまで膨れ上がった。これだけいれば、レベル1固定で何一つできない俺でも、この『魔女の森』で安全なニートライフの基盤を作れる。


「よし、お前たち! 突貫工事だ! 俺が寝るための、最高に快適で頑丈な家を今すぐここに建てろ! ゴブリンどもは木を切り倒して素材を集めろ、村人どもは生前の知識を総動員して組み立てろ! 24時間年中無休、不眠不休で働けぇぇぇッ!」


 俺のブラック全開な命令に対し、三大欲求ゼロのスケルトンたちは文句一つ言わず、カタカタと機敏な動きで一斉に作業を開始した。


「流石はアルト様、一切の容赦がないブラック企業の社長トップの器ですな」

 セバスが完璧な一礼で称賛(?)してくれる。


「ふはは! これで寝床の自動化は完了だな! ――あ、でも、その前に……っ」


 ぐうううううううううううううううっ!!!


 本日最大、もはや魔物の咆哮レベルの腹虫の音が、静まり返った廃墟に響き渡った。


 視界が急激にブラックアウトしかける。そうだ、俺はレベル1の貧弱一般人未満。動かなくても魔力消費だけで餓死しかけているのだ。


「ダメだ、マジで飢え死にする……! ロッド、セバス、お前たちはここで建築の現場監督マネジメントをしてくれ。フェイ、ボア、俺を乗せて今すぐ森へ飯(魔物)を狩りに行くぞ!」


「了解、マスター。美味しい魔物の肉、調達しにいこう!」


 フェイが機敏にボアスケルトンの先導に立ち、俺を背に乗せたボアが森へと駆け出す。


 腰に帯びた尾羽張様が、鞘の中でカタカタと愉しげに鳴った。


『ククク、神殺しの我を帯びながら、最初の仕事が「腹を満たすための狩り」とはな。面白い小僧だ。だが、主が飢え死にしては我が顕現も解ける。どれ、我が刃のサビにもならん雑魚どもを間引きにいくか』


「ありがとうございます、尾羽張様! マジで安全運転、かつ俺は一歩も動かない方向でお願いします!」


 森の奥へと進むと、フェイがすぐにその鋭い隠密センスで獲物を見つけた。


「マスター、静かに! ――あそこにいるの、この森の固有種『ブラック・グリズリー(黒魔熊)』だよ。毛皮は硬くて肉は極上、でも、まともに戦ったらAランク冒険者パーティでも全滅しかねない凶悪な魔獣だけど……」


 茂みの奥にいたのは、フォレストボアの倍はあろうかという、漆黒の巨大な熊だった。ただそこにいるだけで周囲の空気が威圧感で歪んでいる。


 生前の俺なら、見た瞬間に腰を抜かして逃げ出しているレベルの化け物だ。


(だが、今の俺には……世界最強の『社畜アイテム』がある……!)


 俺はボアの背の上から、ゆっくりと天之尾羽張を抜いた。


 キィィィィン、と空間を切り裂くような美しい金属音が響き、青白い神聖な雷光が、薄暗い森を一瞬で白昼のように照らし出す。


 ブラック・グリズリーがその圧倒的な神気に気づき、恐怖に顔を歪めてガタガタと震え出した。逃げようとするが、腰が抜けて動けないようだ。


「尾羽張様、あのデカい熊を……美味しく、一撃でお願いします!」


『応。――神殺しの片手間だ、消し飛べ』

 俺はただ、刀を構えて静かに一振り、横に薙いだだけだった。


 俺自身には何の力もない。だが、天之尾羽張から放たれた一筋の【青い雷光の斬撃】が、凄まじい轟音と共にブラック・グリズリーへと炸裂した。


 ドガァァァァァンッッ!!!


「グガッ……!?」

 悲鳴すら上げる間もなかった。


 Aランク冒険者を蹂躙するはずの広大な森の暴君が、一瞬にしてその首を綺麗に撥ね飛ばされ、どさりと地面に倒れ伏した。それどころか、斬撃の余波だけで、背後にあった数十本の巨木が綺麗に一刀両断されている。


「な……なになに!? 今の、何が起きたのさ……っ!?」

 フェイの眼窩の炎が、完全に点になって硬直している。


「ふはははは! 素晴らしい! これぞ究極の他力本願! 俺はただボアに乗ってただけだ!」


 レベル1固定? 成長不可? だからどうした!


 家は不死者(村人・ゴブリン)が勝手に建ててくれる。飯は神剣(尾羽張様)が指一本で狩ってくれる。移動はボアが勝手に運んでくれる。


「よし、フェイ、ボア! あの肉を回収して、急いで村に戻るぞ! 最高のニート拠点を完成させて、絶品の熊肉パーティーだ!」


 俺は神剣を鞘に収め、他力本願無双の快感に酔いしれながら、煙の上がる森の奥で高らかに笑声を響かせた。あの裏切り者の騎士団長やクソ勇者たちが、この異次元の『不働の軍勢』に蹂躙される日は、そう遠くない。

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