表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/41

第14話 ホムンクルス肉体で美少女配下が完全復活! 最弱LV1、童貞脱却(娼館)を目指して外の世界へ進撃します

「……はぁ、極楽極楽。二度も死ぬまで働いた甲斐があったってもんだ」


 魔女の森の支配者となった俺――アルトは、瞬く間に完成した魔女の館内の極上プライベートルームでくつろいでいた。


 超古代文明の技術で再現された、雲のようにふかふかな最高級シルクの寝具。横たわっているだけで、レベル1固定の貧弱な俺の身体が癒されていくのが分かる。完全に極上のニートモードだ。


「マスター、お茶のお代わりをお持ちしました」


 お盆を運んできたのは、無表情で美しい『メイド姿のホムンクルス(人工生命体)』。


 魔女が遺した自動人形ガジェットなのだが、こいつらには一切の感情や意思がない。ただプログラム通りに動くだけの機械だ。給仕も完璧だが、どこか無機質で味気ない。


「あら、アルト様。超古代のベッドの寝心地はいかがかしら?」


 そこへ、艶やかな声を響かせて一人の美女が部屋に入ってきた。


 流れるような金髪、瑞々しい若さを湛えた爆乳の美女。……だが、俺はその美女を見てニヤリと笑った。


「すこぶる快適だよ、魔女ババァさん。ホムンクルスの肉体をガワにして骨に装着するなんて、よくそんな悪知恵が働いたな」


「ババァとは失礼ねぇ! これでも魔力を最適化して『全盛期の肉体』を再現したのよ?」


 そう、この美女の正体は、前話で俺が首を撥ねてアンデッド化した『魔女スケルトン』だ。


 彼女は自分の純白の骨格をベースに、意思のないホムンクルスの生体肉体を外殻として「装着」し、完璧な若返りと擬態を果たしていたのだ。


 俺はその魔女の姿をじっと見つめ、脳内にある『死霊術師UR』の知識と掛け合わせて、ある画期的なアイデアを思いついた。


(……待てよ? ホムンクルス単体には意思がない。だけど、すでに『強固な魂と意思を持つスケルトン』をベースにしてホムンクルスの肉体を被せれば……これ、完璧な生身の肉体として、部下たちを復活させられるんじゃないか?)


 さっそく試してみる価値はある。俺は魔女に命じて最高級の女性型ホムンクルスを二体用意させ、我が社の誇る女性社員たちを呼び出した。


「フェイ、シルフィ。お前たちに新しい『ガワ(制服)』を支給してやる。そこに入ってみろ」


「えっ、私たちが、生身の身体に……!?」


「面白そうじゃん、マスター!」


 二体の骨が、液体で満たされた培養カプセルへ入る。


 俺が『死霊術師UR』のパスを通じて、ホムンクルスの肉体と彼女たちの骨格を融合させると、カプセル内で劇的な変化が起きた。


 プハッ! と液体を割って出てきたのは、息を呑むような二人の絶世の美女だった。


「す、すごい……! 手が温かい……。本当に人間の身体に戻れたんだ……っ!」


 銀狐のフェイは、生前の面影を残す、しなやかで抜群のプロポーションを誇る銀髪のキャット系美女へ。


「すごーい! 骸骨顔じゃなくなったら、前よりずっと可愛いじゃん私! 羽もちゃんと隠せるし、これなら外に出ても化け物扱いされないね!」


 風の妖精王女シルフィは、愛らしいドールフェイスに、豊満な胸を揺らす金髪ギャル風の美少女へと、それぞれ『仮初めの肉体』を手に入れたのだ。


「フハハ、大成功だな。これで我が社の受付嬢(看板娘)もバッチリだ」


 完璧な拠点、完璧な自動防衛、そして美少女へと擬態した最強の配下たち。


 俺の不働ニート帝国は早くも完成されたかに見えた。だが、そこにカチカチと音を立ててロッドが報告にやってきた。


「アルト様、リッチ殿より念話です。現在、魔王軍の居城へと赴き、一方的な『離脱の挨拶』を済ませたとのこと」


「へぇ、魔王は文句言ってこなかったのか?」


「いえ、元々リッチ殿は何代も前の魔王の頃から食客として君臨していた『生きた伝説』ですからな。現代の若造魔王などリッチ殿の前では直立不動。元々冥界神様(アルト様)が見つかるまでの腰掛けの約束だったと説明され、魔王は涙目で引き止めるのが精一杯だったそうです」


「リッチのやつ、根回しも完璧かよ。最高だな」


 魔王軍の報復の心配すら消えた。これで本当に、懸念事項は何一つなくなった。


 超古代文明の最高に美味い飯を食い、ふかふかのベッドで寝るだけの、贅沢極まりない引きこもり生活。


 だが……数日そんな生活を続けた頃、俺の胸の中に、どうしても抑えきれない『男としての本能』が鎌首をもたげていた。


(美味い飯はある。最高のベッドもある。……だが、足りない。圧倒的に足りないものがある。それは――【性欲】だ!)


 前世は60歳まで童貞を拗らせて過労死した社畜。今世は25歳の健康な男の肉体。


 目の前にはフェイやシルフィ、若返った魔女という超絶美女たちがいる。だが、彼女たちは全員『自分の魔力で動いているアンデッド(部下)』だ。自分の会社の社員に手を出すのは、前世の社畜マインドが「社内不倫(コンプラ違反)」として強烈にストップをかけてしまう。


「……ダメだ。やっぱり、男の三大欲求を舐めちゃいけない」


 俺はガタッとベッドから立ち上がり、腰の天之尾羽張様をパチンと叩いた。


「ロッド、セバス、フェイ、シルフィ、全員集まれ! 今から『街』に出るぞ!」


「おや、マスター、急にどうしたのさ?」


「ついに裏切り者たちへの復讐ざまぁかい?」


 目を輝かせる美少女配下たちに向かって、俺は真顔で、大真面目に言い放った。


「違う。俺は……最高の『娼館(大人の店)』に行って、大人の階段を上りに行くんだ!!」


「「「…………は?」」」


 美少女たちと執事たちの、完全に凍りついた視線が俺に刺さる。


 だが、俺の決意は固い。


 レベル1の最弱ニート、アルト。


 その不純すぎる性欲を原動力に、ついに無敵のアンデッド軍団を引き連れて、人間の住む外の世界(街)へと進撃を開始するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ