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9 お前にしか出来ねえこと

9話を投稿します よろしくお願いします

地下街の市場は王都の歓楽街にも負けないほどの熱量で動いている。

二人はその喧噪の中、聖剣のありかを追う。


「聖剣?ああ、あの盗まれたって言う?いや、あ見たことねえな……。市場にも出回ってねえと思うぜ。そんなもん見つけたら目利きの俺が見逃さねえよ」


「そうか。ありがとよ。おっちゃん」


二人はとぼとぼと市場を後にする。


「これで5件目か……」


地下街の主要な市場を回って探索をしたが、めぼしい収穫はなし。

聖剣に関する目撃情報も一切見当たらなかった。


「さて、次はどこから探すかな……」


店を出ようとした、その時だった。


「レックス兄ちゃん!」


一人の小さな子供が駆け寄ってきた。


「どうした?」


「レックス兄ちゃんがくる少し前にさ、高そうな剣を持った人が向こうに歩いて行ったんだ!」


「高そうな剣?」


「そうそう!!すっごいド派手でさ!!あれは売ったらパン1年分は買えるぜ!!」


(世知辛いな……)


ユウヤは苦笑いをしながらその目を輝かせる子供の話を聞いていた。


高そうな剣……聖剣は確かにその部類に入るかもしれない。

ユウヤが儀式の日、そして魔王との対峙の時に見たあれを覚えている。


多少の記憶の誤差はあるものの、

派手な装飾と王家の紋章がかたどられた至高の一振りだ。


(確かにそう見えなくもない……か?)


「助かるよ……そいつはどっちに歩いてった?」


「あっち!!」


少年が指差した先を見て、ユウヤが驚く。


「……教会の近道じゃないか」


「患者を運ばせた場所だな。もし本当に剣を持ってたなら、まだ近くにいるかもしれねえ。」


「行くか」


ユウヤが走り出したそのとき、


「ははは……悪い。俺は行けねえわ」


パリィイン!!という皿の割れる音が聞こえた。


……!!周囲を見渡すと、あちこちで騒ぎが起こっていた。


酔っ払い同士の怒鳴り合い、殴り合い。地面には吐瀉物と酔い潰れ倒れる者も。


泣きながら親を探す子供たち。


「レックスさん!!火事だ!!西地区の炊き出し小屋が燃えてる!!」


「隊長!!地上の衛兵が取り調べに来やがった!!」


「井戸水を持ってこい!!西地区の人員を増やせ!!衛兵は俺に任せろ!!」


地下街はまるで地獄絵図だった。


「大変なんだな……」


「なに、いつものことだ。」


ユウヤはバンと背中を押された。


「行け。お前にしか出来ねえ仕事をしろ」


「ああ」


俺は決心を固め教会へ向かって走り出した。


「レックスさん!!火が!!」


「バケツ回せ!!けが人を運べ!!」


ユウヤが振り返ったとき、もうレックスはこちらを見てなかった。


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