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7 地下街の人々

7話を投稿します よろしくお願いします

「ようこそ、地下街へ」


ユウヤは恐る恐るその中をのぞいてみた。

暖炉の奥には巨大な石階段が続いている。暗く先が見えない。地下街は犯罪や密売が日常的に横行する黒い噂の絶えない場所と聞く。


「なあ……本当にここを降りるのか……」


「っはは。大丈夫だって!!入って死にゃあしねえよ。おいてくぞ?」


レックスはそう言いながらどんどん階段を降りていく。

一人になれば危険度は増すかもしれない。ユウヤは覚悟を決めた。


カツカツカツカツ……


ユウヤは石段を降りていく。地下へと続く石段は思った以上に長い。


階段を降りるにつれ、静けさから再び人の声が聞こえてくる。


水滴の落ちる音と人々のざわめきが広がっていく。


「……っ!!」


視界が開けた。


ユウヤの目の前には巨大な地下空洞が広がっている。


ざわざわとした人の声が広がっている。


「はいはい、安いよ安いよ!!」


「母ちゃんおなかすいたー」


「お客さんこれ以上負けられないよー」


その予想外な光景に俺は驚愕した。


石の柱が洞窟を支え、広大な人の街を形成している。


「すごいな……」


ユウヤは足を止めた。


酒場から聞こえる笑い声。楽しそうに走り回る子供たちの姿。

想像していたものと全く違う生活感がそこにはあった。


(これがスラム……?)


どうだ、といわんばかりにレックスは鼻を鳴らす。


「地下街つったって、ただのゴミだめじゃねえんだ。市場があって、子供がいて、生活がある。俺たちだって強く生きてるんだ」


「レックスさん、見回り終わりました!!」


屈強な男に話しかけられるレックス。

男はレックスに深々と敬礼をしている。


「おう、どうだった」


「今日は酔っ払いの喧嘩とあとひったくりくらいです」


「けが人は?」


「酔っ払いが少し怪我したくらいです。医療班に送りました」


「そうか。薬の補充が必要、と……」


レックスは丁寧にメモに書いていく。


「ひったくりは、いつものガキだな」


「はい」


「飯食ってないなら、レックスが仕事をやると伝えとけ」


「分かりました!!」


と言って男は去っていった。


「なんか、見直したよ。お前のこと」


「あ?」


「喧嘩ばっかりしてるイメージあったからさ、ちゃんとリーダーしてるんだな」


レックスは照れくさそうに鼻を鳴らした。


「王都の衛兵は地下まで面倒見ちゃくれねえからな。喧嘩の仲裁も、迷子探しも、腹を空かせたガキの世話も、全部こっちの仕事だ」


「ずいぶん抱え込んでるんだな」


「放っといたら誰もやらねえ。それだけの話だ」


そう言って歩き出したレックスのもとへ、今度は小さな少女が駆け寄ってきた。


「レックス兄ちゃん!」


「おう。元気そうだな」


少女は嬉しそうに小さなパンを掲げた。


「今日ね、食堂のお手伝いしたらもらえたの!」


「そうか。それはよかったな」


レックスはしゃがみ込み、少女の頭を軽く撫でる。


「皿は割らなかったか?」


「うん!」


「偉いじゃねえか」


少女は満面の笑みを浮かべると、「じゃあね!」と手を振って走っていった。


その背中を見送りながら、ユウヤは思わず呟く。


「随分慕われてるんだな」


「長く住んでりゃ、顔くらい覚えられるさ」


照れ隠しのように鼻を鳴らすレックス。


そのとき、一人の青年が息を切らして駆け込んできた。


「レックスさん!」


その表情を見た瞬間、レックスの顔つきが変わった。


「東地区でまた倒れました!!」


レックスは短く舌打ちすると、すぐに歩き出す。


「悪い。捜査は後回しだ。やることが出来ちまった」


「病気か?」


「ああ。最近、王都中で流行ってるやつだな……」


レックスは振り返らずに答えた。


その言葉で、ユウヤは咳き込む母の姿を思い出した。


(そうか……ここでも……)


「だが、地下は薬も医者も足りねえ。だから、こっちの方が重くなりやすいんだ」


その足取りには迷いがなかった。


レックスは焦りと苛立ちを隠しきれない足取りを一瞬ピタ、ととめてから


「別に着いてきてもいいが、俺が行く場所は隔離地区だぞ」


とつぶやいた。


「いいよ。俺も何かの役に立ちたいし」


ユウヤは聖剣がなくても、一度死んでも、勇者なのだ。

みんなのために生きたいと思う気持ちは人一倍。もちろんその足を止めなかった。


「……まあ、好きにしろ」


そういって歩いて行くレックスの後をユウヤはついて行った。


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