24 目的地
24話を投稿します よろしくお願いします
あれから結局王様に壊れた聖剣のことを切り出すことは出来なかった。
セバスも壊れた教会を直す、復興作業に取りかかるので忙しいようだ。あれから中央広場で二人は解散した。
ユウヤは一日走り回った疲れから、家で休むことに決めた。
「はぁ……」
しばらく仮眠をとった後、ユウヤは外を眺める。もう太陽も真上を指していた。
グラン通りには相も変わらず大勢の人が行き交っている。
「よいしょ」
どさっ、と手持ちの荷物を下ろす。
袋にはたくさんの贈り物が入っていて、すっかり重くなっている。
花束から焼きたてのパンなど多種多様な贈り物が詰まっていた。
その中から、ユウヤは聖剣の鍔を取り出す。
自室にて、ユウヤは手持ちの袋にある聖剣の鍔を眺めている。
「どうしよ……」
相変わらず黒ずんでいて、真ん中に割れている。
もう一度宮殿へ向かおうか。いや、それは衛兵が通さないか。手に入れた場所……教会はあんな感じだし、地下街……?
ようやく見つけた道しるべだというのに、魔王を倒す唯一の手がかりだというのに、
なのにそれが無くなってしまったら、
一体俺は何を次は探せばいいんだ……?
「くそっ!!」
バン!!と机に拳をたたきつけた。
(本当にどうすればいいんだ……?)
横からはどさ、どさ、という音が聞こえてきた。
「え……」
その横を見ると、揺れた袋から少しずつ、中身が漏れ出てしまっていた。
「うわわわわわ!!!!」
急いで持ち上げようとするも、時すでに遅し。
贈り物は床に散らばってしまった。
「まじか……」
踏んだり蹴ったりな状況にユウヤはため息をついた。
散らかっている部屋はまるでユウヤの心の中を表しているようであった。
その時、
ダダダダダダダ!!という足音がして、
「なになに!?どうしたの?」
隣の部屋から妹リリアが駆け寄ってくる。
「あー、いや何でも無い」
ユウヤは慌てて床に散らばったものを拾い始める。
「……お兄ちゃん」
「ん?」
「また一人で悩んでるんでしょ」
「い、いや……」
しまった。とユウヤは思った。
リリアは手際よくひょいひょいと散らばった荷物を片付けていく。
「うちからも見えたよ?怪物倒したんでしょ?」
「ま、まあね」
リリアは嬉しそうに笑う。
「みんな、お兄ちゃんのこと褒めてたよ。私も鼻が高かったなあ」
「それはよかった」
ユウヤは笑顔でそう答える。
けれど、顔とは裏腹に、自分の胸の奥には重たいものが残っていた。
本当なら喜んでもいいはずだ。
王様も、お前たちは国の英雄だと褒めてくれた。
(だけど……)
リリアの手が止まった。
「でもさ」
彼女は拾い上げた荷物を置くと、ゆっくりユウヤを見る。
「何でそんな顔してるの?」
ユウヤの手がピタリと止まった。
(俺は……)
そうだ、自分は止まれない。
魔王を倒して安心を手に入れるまで止まることは出来ない。
王様に褒められても、聖剣を手に入れても、ユウヤは本当の意味では喜べなかった。
「……まあ、私には何もしてあげられないけど」
「いや、そんなことはないよ」
反射的に出た言葉だった。でも、口にしてからユウヤは気づいた。
リリアがいることで俺には帰る場所がある。
かつて一度目の人生にて言われた魔王の言葉を思い出す。
『お前は何のために戦っている?』
(あの時は言い返せなかったけど……)
ユウヤはぐっと、拳を握りしめた。
「はい、これで全部だよ」
リリアの声がして、ふと我に返った。
床に散らばっていたものはいつしかきれいに片付いていた。
「ああ、ごめん。リリアにばっかりやらせてしまったな」
「いいのよ。疲れてるだろうからね」
そういってリリアは最後にあるものを手渡してきた。
「お兄ちゃん宛て、だよね?」
リリアが何か手に持っている。
それは一枚の高級そうな羊皮紙だった。
ユウヤはそれを受け取り開き見る。
そして次の瞬間、
「嘘だろ……」
ユウヤの瞳孔が開いた。
『勇者よ。魔導院を訪ねよ。そこにお前が求める答えがある』
続く




