17 聖剣
17話を投稿します よろしくお願いします
悲鳴や恐怖から一転、静寂に包まれる礼拝堂。
ユウヤの手元から輝きだした聖剣の鍔は浮き上がった。
礼拝堂の像はその光を受け、黄金に輝いている。
まるで初代勇者にして神と化したレディウスが再び現世に舞い降りたかのようだった。
ユウヤとセバスはもちろんシスターや病人たちもみな一様にその輝きを見ていた。
ふと、一人の病人がつぶやいた。
「奇跡だ……」
他の男はこういった。
「そうだ、あの子は一年前に選ばれてた勇者じゃないか!!」
その声に反響するように期待があふれていく。
「勇者様……ゲホッ、私たちをお救いください……」
「頼む」「頼む!!」「頼む!!」
それに呼応するかのように、聖剣はさらに輝きを増し、その光を伸ばしていく。
鍔からゆっくりと柄が形成され、そして刀身が伸びる。
そして、一つの両刃の剣の形となり、持ち主の手に吸い込まる。
ユウヤは驚きのあまり一瞬我を忘れていた。
その瞬間、
パリィン!!という音とともに悲鳴が上がる。
「ああ!!」「勇者様!!」
その一瞬の油断の隙を縫うように、黒い怪物の一匹が飛来した。
狙うはまたしてもユウヤの心臓。それは明らかな殺意を持っていた。
(ぐっ……!!)
ユウヤは一歩出遅れるように光の剣を構えた。
黒と光がぶつかる。
黒い円錐状の殺意の先端が光にぶつかり、割れる。
そこから、
スススッ
その割れがさらに大きくなる。
光の剣が右から左に流れきったとき、
それは両断されていた。
「……っ」
ユウヤは少しつんのめった。怪物の威力に抵抗するために構えた踏ん張りが意味をなさなかったからだ。
あの鋼鉄が、風を切っているかのように静かに両断される。
魔物は跡形もなく煙のように崩壊していった。
(これが、お前の真の力だというのか)
ユウヤは聖剣を見つめる。
前世では一度も見ることの出来なかった姿だった。
あまりにもそれは長かった。
これに再会するために一生を費やした。
母と妹と仲間は死に、王都は崩壊し、そして、すべてを失った。
(次こそ、倒す、必ず倒す)
ユウヤは無数の黒い影に向けて刃先を向けた。
そのまなざしは黒い影だけではなく、その裏にいる強大な敵を見据えていた。
「頑張れ!!」
そのとき一人の子供が叫んだ。
民衆の期待にさらに呼応するかのようにその光は増していくのだった。




