12 庇護の間
12話を投稿します よろしくお願いします
「では行きましょうか」
セバスは教会の奥へと歩いていく。
廊下を進むにつれ、咳き込む声や苦しげなうめき声が遠くなり、子供たちの遊ぶ声が聞こえてくる。
『庇護の間』と書かれた、木の札が目につく扉が近づいてきた。
「ここで両親が病気の子供や身寄りの無い子たちを保護してるんです」
「へぇ……」
教会は昔良く来たが、こんな施設があったことは知らなかった。
「では、参りましょう」
ギィ……。
ゆっくりと扉が開いた。
ワアアアア……という子供たちの遊ぶ声。
部屋の中は外とはまるで別世界。床には木のおもちゃが転がり、小さな机では子供たちが絵を描いている。
庭では年長の子が年下の子の手を引き、楽しそうに追いかけっこをしていた。
「セバス先生!」
一人の少年が駆け寄ってくる。
「こんにちは。」
セバスは腰を落とし、少年の頭を優しく撫でた。
「今日は熱はありませんか?」
「うん! もう元気!」
「それは良かったです。」
子供たちは次々とセバスの周りへ集まってくる。
「先生! 見て見て!」
「お花摘んできた!」
「絵も描いたよ!」
一人ひとりの話に耳を傾けるセバス。その姿は僧侶というより、父親のようだ。
ユウヤは思わず笑みを浮かべる。
「相変わらず人気者だな」
「皆さん、良い子ばかりですから」
セバスは照れくさそうに笑った。
病室の奥で窓際のベッドに腰掛ける一人の少年が、小さな布袋を大事そうに握り締めている。
「あの子ですね」
セバスが窓際に座る少年へ歩み寄る。
「こんにちは。今日は元気そうですね」
「うん!ご飯おかわりもしたよ!!」
少年は嬉しそうにうなずいた。
セバスがユウヤの方を見る。
「この子が例のものを持っていた子です」
少年は、おかわりしたという割にはひどく痩せていた。その細い腕にはまだ病の名残が色濃く残っていた。
何か声をかけてあげようと思ったが気の利いた言葉が思い浮かばなかった。
「……お兄ちゃん?」
「ああ……、ちゃんと飯食ってんなら安心だな」
その言葉に子供はにっこりとした顔をしていた。
「お兄ちゃんもセバス先生のお友達?」
(友達、か……)
その言葉を聞いて、思い出す。
この教会で過ごした日々、レックスとセバスと三人でいつも遊んだ教会。
「まあ、そんなところだな」
「先生、優しいんだよ!!」
少年は嬉しそうにセバスを見上げる。セバスは照れくさそうに笑っている。
「……セバスは優しいよな」
セバスの笑顔を見ていると、あの日の光景が脳裏をよぎる。
(そうだ)
必ず、取り戻す。平和な王都を。
「そういや、セバス先生から聞いたぞ。すごいもの拾ったんだって?」
「うん!僕の宝物!!」
ユウヤは少しだけ言葉を選んでから、口を開いた。
「その宝物をお兄さんにも見せてくれるか?」
少年はニコニコと首を縦に振った。
続く




