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19日目の感謝

6月分 終わり

「剣は鉄板だけど槍もあり得るか」

 前衛でどっしり構えて防御にも使える剣か、中衛で間合いを取りながら戦える槍の2択になる。

 斧はダメだ、近すぎるし武器でガードもやり辛い。

 懐にもぐり込んだ重武装か防御を考えない超攻撃型でもないと選べない。


「槍カ、面白いナ」

 今まで剣を使ってキアと一緒に戦ったこともあった。

 敵の前後をとろうとして位置取りをするのだけど、横にスッと動かれるだけで前後の位置取りを外されてしまっていた。

 それをおれが槍を持つことで二人同時に相手をすることが難しくなる。

 中距離を嫌っておれを先に倒しに来るなら願ってもない。

 後ろからキアの7倍攻撃を当ててやればいい。

 おれを相手にしないなら後ろからチクチク嫌がらせをするだけでもキアは戦いやすくなるはずだ。


 槍を見繕って600エルの物を買う。

 金も貯まってきたから魔法の武器とか欲しいけど、店で見かける程度の品ではやたら高くて微妙な効果のものしかない。

 槍を使うのもお試しだから今はこれでいいかな。


 で、買ってみて気づいたが、長柄の武器は持ち運びが大変だ。

 武器屋の入り口で背負った槍が引っ掛かる所だったし、かなりきっちり固定しないと背中で回転した槍が人の頭を叩きかねない。

 おれは早々に槍を収納にしまった。

 槍が不人気な理由がまた一つ分かったよ。


 宿に戻って槍にスキルを振る。

 1ポイント振ってから9ポイント振ってスキルレベルを2にしたら盾にスキルポイントを振れるようになる。

 盾にもスキルポイントを振る、合計で20スキルポイントを使った。

『SP 259ー20=239

 槍術2

 盾術1      』


「今日は休みでいいか、おれは槍がうまく使えるように練習してくるよ」

「ボクも行くゾ」

「うちは待っています」

 練習相手はありがたいが今のおれとキアで練習になるのか?


 冒険者ギルドの裏手ではカンカンと木剣を打ち合わせる音が響いている。

 場所を決めたおれたちは練習用の武器で向かい合う。

「これは、思ったより・・・」

 キアと向き合うと以前と全く違う気迫に押される。


 両手両足が常に威嚇していてどこから攻撃されるかわからない。

 わざと盾に当ててきた一撃は盾を取り落としそうになるほど重い。

 実戦では盾をかいくぐるだろうし後ろに回り込んでも来るだろう。

 もうまともにキアの相手をすることができない、さびしいと同時に味方で良かったと心強い所もあった。


 休憩を入れながら半日ぐらいキアに練習に付き合ってもらった。

 手加減してもらいながら魔物のような動きをしてもらったり、複数を相手にする振りをしてもらって槍の間合いの取り方や間合いを詰められたときの立ち回りなどを学んだ。


 あとは実戦で経験を積むだけだ、武器や盾は使い続けることによってスキルを覚えることもある。

 盾スキルで比較的覚えやすいのが挑発スキルで、タンク役が覚えているとパーティー全体の安全度が増し戦闘が安定するらしい。


「終わったよ」

「はい、帰りましょうか」

 練習が終わってキアと引き上げているとニアがロビーで情報収集をしていたので一緒に帰った。

 おれたちは酒を飲まないから雑多な情報が足りてないかもしれないな。

 ほとんどは役に立たないよたばなしだろうがその中にも有用な情報があるかもしれない。


「何か面白い話はあった?」

「そうですね、うちたちをはめようとした2人組が冒険者ギルドから除名されて指名手配されることになったみたいです」

 タカオたちの事か、おれたちにとってはありがたいが随分と仕事が早いな。


「冒険者ギルド同士で連絡をとったら彼らと組んだパーティーメンバーの壊滅や周りの行方不明者も多かったようなんです」

 経験値を奪って弱体化したところを後ろから刺したのか。

 おれたちみたいな例外を除いて、魔物を倒して冒険者ギルドで報告するとき以外に経験値が増減することはないから、今までの犠牲者は裏切られるまで経験値を奪われたことにも気づかなかったのかもしれない。


「おれたちも気を付けないとな」

 もう共有パーティーは解消しているから経験値を奪われることはないが指名手配されたことを逆恨みしているかもしれない。

「とっとと捕まればいいのにナ」

 まったくだ

 今日は魔物と戦っていないことを物足りなく感じながら寝た


『遊佐 蕗 魔法使い

レベル 157+21=178

HP 217+21=238

MP 531+63=594

攻撃 187+21=208

防御 187+21=208

知性 344+42=386

精神 344+42=386

敏捷 187+21=208

SP 239+21=260

EXP 78069+10825=88894

NEXT 89000

スキル(+)』


『ニア 術師

レベル 117+8=125

HP 177+8=185

MP 411+24=435

攻撃 147+8=155

防御 147+8=155

知性 264+16=280

精神 264+16=280

敏捷 147+8=155

SP 42+8=50

EXP 58473+3608=62082

NEXT 62500

スキル(+)』


『キア 剣士

レベル 128+8=136

HP 444+24=468

MP 188+8=196

攻撃 286+16=302

防御 286+16=302

知性 158+8=166

精神 158+8=166

敏捷 158+8=166

SP 14+8=22

EXP 63929+3608=67538

NEXT 68000

スキル(+)』


 翌朝目覚めると手が動かない。

 目を開けると右手にキア左手にニアが縋り付いておれの手の甲を自分の額に擦り付けている。


「なにしてるの?」

「感謝してるゾ」

「主様を感じています」

 手を離して話を聞くとどうやら経験値が増加してレベルが復活したことでおれに対する忠義が深まったということらしい。


 あらためて見るとすごいことになっている。

 とうとう増加量が1万を超えて20レベル以上上昇するようになっていた。

 ニアとキアは昨日の減少分を取り返してさらに上乗せしている。


 しまった、このタイミングで3割のせておけばよかった。

 現状で二人が2割、おれが残りの6割をもらっている、

 このままで続けているとおれだけレベルが突出してしまうのだが。


「おれも感謝してるよ」

 二人の手を離して手の甲をポンポンと叩く。

 これだけの経験値を自由に使えるのも二人のおかげだ、『所有経験値増加』なんて言うチートスキルを持っていても元々の経験値が少なければ今のようにレベルアップすることもできなかっただろう。

 それに加えて二人の固有スキルは今のレベルでは考えられないくらいに戦力を増強している。


「なら今のままでもいいのかもな」

 戦力として劣っているのならレベルくらいは余分に上げておいた方がパーティーのバランスはとれるのだろうか?

 

 言ってみれば『所有経験値増加』がおれの固有スキルだから、それを使って自分を強くするのは別に悪いことではないだろう。

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