14日目、15日目
3月分 1つ目
「朝だゾ」
深い眠りから気持ちいいくらいスパッと覚醒する。
覚醒というと秘めた力に目覚めたみたいだけど、ただ起きただけだ。
そのただ寝て起きるだけが明らかに質が上がっている。
「なにをした?」
原因を探るが添い寝しか思い当たらない、隣に人がいることの安心感で熟睡できたのか。
「何がダ?」
「いやなんでもない」
不思議そうなキアに首を振って何でもないと伝える。
「んんー、おはようございます」
横からは寝乱れたニアの声、お互いに目が覚めてしまうとぴったりとくっついていることが気恥ずかしい。
おれは布団の中で寝返りを打ってうつぶせになり2の階乗を思い浮かべる。
2、4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,4096
素数を数える手もあるが記憶しているわけではないのでその素数が正しいのかがわからない。
8192,163・・・84,32768,65536
知っている数字にたどり着いた、だがメモする紙もなしにこれ以上進めるのは難しい。
131072,262144,524288,1048576
一つ一つにそれなりに時間がかかっている、すでに間違っているのかもわからない。
ではあるが当初の目的は達成した。
「じゃあ行くか」
ベッドから起き上がり服を着る。
「どうしてうつぶせに?」
ニアからは見えていなかったようだ。
「今夜はボクだからナ」
キアには見られた、にやにや笑っているキアの頭をなでつつ首が鳴りそうなくらいに頭をぐりぐりと振り回した。
「いたいゾ」
「ステータス」
『キア 剣士
レベル 92+9=101
HP 336+27=363
MP 152+9=161
攻撃 214+18=232
防御 214+18=232
知性 122+9=131
精神 122+9=131
敏捷 122+9=131
SP 28+9=37
EXP 45531+4490=50021
NEXT 50500
スキル(+)』
そんなキアのステータスはついに100レベルを超えた。
「なんかおかしいゾ」
キアが体の違和感を訴えるのでステータスを見直すと職業欄の剣士がぼんやりと明滅している。
職業欄をタップするとポップアップが立ち上がり剣士が上級職にクラスアップが可能だとある。
「上級職なんかあるのか?」
「聞いたことないゾ」
キアが自分の職業欄をタップしても説明しか出てこないから転職のためにはまた神殿が必要なのだろうか。
「上級職の神殿なんて聞いたことがありません、100レベルの存在自体が少ないので噂になっていないだけかもしれませんが」
「あ、昔の物語で剣豪と名乗っていた奴がいたゾ」
「それは自称していただけ? いえ、本当に剣豪というクラスが存在するのかもしれませんね」
んー、クラスチェンジできるならしてもらいたいけど情報を集めるためにはこの辺りより100レベル越えがいるような高難度エリアに行った方がいいだろう。
『遊佐 蕗 魔法使い
レベル 76+9=85
HP 136+9=145
MP 288+27=315
攻撃 106+9=115
防御 106+9=115
知性 182+18=200
精神 182+18=200
敏捷 106+9=115
SP 178+9=187
EXP 37558+4490=42048
NEXT 42500
スキル(+)』
『ニア 術師
レベル 84+4=88
HP 144+4=148
MP 312+12=324
攻撃 114+4=118
防御 114+4=118
知性 198+8=206
精神 198+8=206
敏捷 114+4=118
SP 9+4=13
EXP 41613+2245=43858
NEXT 44000
スキル(+)』
日中のキアは挙動不審で目をぐるぐるさせたり、顔の前に指を持ってきてためらったりしていた。
本人も100レベルを超えたことは薄々気付いているのだが、数字として確認することで確定することを恐れているようにも見えた。
(レベルはおれが先行するか、足並みをそろえた方が良かったかもな)
通常の経験値のカスっぷりを見た上だと、現状のレベルの上がり方は精神への負担が重すぎるかもしれない。
「キア、大丈夫か?」
「大丈夫なわけないゾ」
キアが弱音を吐くのはよっぽどのことだ、緊急事態だと判断したおれは経験値の配分の調整を提案した。
ニアがビクッと体をこわばらせる、ニアも限界なんだよねわかるよ。
「固有スキルの習得は遅くなるだろうけど、キアの配分を減らしておれの分を増やす。
ニアはそのままでやってくれるか?」
「助かるゾ」
「ありがとうございます」
ニアにそのままでいることにお礼を言われたが、自分の負担が増えないことに加えてキアのことも心配していたようだ。
「ニアは2割のまま、キアも一旦2割にするからおれの分は6割か」
「一旦じゃなくてそのままでいいゾ」
2割つぎ込めば毎日4レベル以上上るから固有スキルの取得も三日あればとれるだろう。
そのころには新しい狩場につくだろう、固有スキルである『2刀4爪1牙流』はぶっつけ本番での初披露になるけれど心配はしていない。
ニアも自身の固有スキルである『九尾の狐』を使いこなしていたからな。
街を二つ越えたら冒険者ギルドにも寄らずに宿にチェックイン。
不安定だったキアをなでながら寝かせてそのまま添い寝した。
「朝だゾ、起きるゾ」
見違えるように元気になったキア。
反面おれは少し頭が重い、のそのそと起き出して身支度をする。
ステータスの確認はおれがキアとニアのステータスも確認できることから、すっかり俺に任せきりになることになった。
『遊佐 蕗魔法使い
レベル 85+14=99
SP 187+14=201』
『ニア 術師
レベル 88+5=93
SP 13+5=18』
『キア 剣士
レベル 101+4=105
SP 37+4=41』
「頭が重い原因これか?」
てっきり心理的な負担だけでキアたちが不安定になっているものと思っていたが、身体的にもそれなりに影響されているようだ。
キアたちにとってはそれに心理的な負担が加わるのだから不安定になるのも仕方ないことなのだろう。
「大丈夫カ?」
「ああ、重いだけで痛いわけじゃないから」
キアの時はそうならなかったのか?
「キアは昨日のレベルアップの後に頭が重くなったりしなかった?」
「なったかもしれなイ、でも痛くないなら気にしないゾ」
キアの場合、ニアもだけど心理的な負担が大きい分肉体的な不調は感じづらかったのだろう。
それだけ心理的にはきつかったということだ。
「ならいいんだ」
経験値の配分はこのままにしてじっくりとキアのスキルポイントを貯めていこう。




