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11日目の8割

1月分 6つ目

「なあ、頼むよ11日くらいが前倒しになるだけだからさ」

「うちは、うちは」

 断りたいのだけど戦力強化が必要なことも理解できるため断れないニア。

 カチカチになったニアの肩を抱き寄せて耳元でささやく。


「ニアが強くなったら助かるよ、おれを守ってくれ」

 ニアの体から力が抜け、おれの体に回されたニアの腕が力を増す。

 よし、大丈夫だな。

 それにしてもハグって万能だな、相手の様子もわかるし自分の気持ちも伝わる。

 当面パーティーメンバーを増やすつもりはないけれど、もし男が入ったとしてもこのシステムは適用できるかもしれない。


「ニア、頑張るゾ」

「ふぁ、キアは明日からしばらく8割ですよ」

 ニアを励ましたキアにおれの腕の中にいるニアが現実を突きつける。

 その話はまた明日でいいじゃないか。


「わぁ、そうだっタ」

 キアがガクブルしそうだったのでニアから離れてキアの頭をなでる。


「1日1日積み重ねていこう、今考えるのは今の事だけでいいんだ。

 あと明日の分はおれが勝手に使った分の返却だと思えばいいよ」

 8割を経験させることで常に3割にすることを受け入れやすくする。

 スキルを取得できそうな今のタイミングは絶妙だったな。

 危機的状況にしてくれた盗賊たちにもちょっとだけ感謝しそうになった。


 了解も取れたことだし? 経験値の配分をニアに8割おれとキアを1割にしてとっととベッドにもぐり込む。

 その時はあとであんなことになるとは思わずに。


「ん?」

 布団が柔らかい、それにあったかくていいにおいがする。

 目を開けると至近距離に人の顔、暗い中でもニアだとわかる。


「ご奉仕にまいりました」

「どうして?」

 今までそんなことなかったじゃないか。


「嬉しいです」

「だからなんで?」

 話が通じない、どうかしちゃったみたいに目をらんらんと輝かせている。


「リーダーが悪いナ、今まで手を出さなかったから嫌われてると思ってたんだヨ」

 横からはキアの声、嫌ってるって何のこと?


「嬉しいです、リーダーの気持ちわかりました」

 わかったって何? 嫌ってないってこと? それが何で襲われるの?


「リーダーがうちらの事を思って手を出さなかったこと嬉しいですがさみしかったです」

 ニアの体がおれに体重をかけないように浮いていた状態から次第に重みを増していく。

 完全に体をゆだねきったニアは体温も上がり、上がった体温はニアの香りを余計に生み出していく。

 嗅覚が強化されたおれはむせてしまいそうだ。


「どうしてこうなった?」

 ニアに話が通じそうにないことを悟り、横のキアに尋ねる。


「ボクも嬉しかったナ、抱きしめられてリーダーの愛情が伝わってきて」

 昼間のハグか!?

 誤解が解けて気持ちが伝わるとは思っていたが、おれの下心まで伝わっていたのか?

 もちろん今までも可愛いしきれいだとは思っていたけど、あまり夜の事は考えないようにしてきた。

 求めれば受け入れてくれるだろうとは感じていたが、あくまでも主従関係の中のご奉仕というか、相手側に選択肢がないように思えたからだ。


「そう言うことなの? でも待って、待って。見られてるから」

 そんな露出趣味はないぞ。


「ご安心ください、キアは妹のようなものですから」

「それに明日はボクだゾ」

 安心できないことを言う2人。


 その後は抵抗にも力が入らず、口も口でふさがれて一線を越えてしまうのであった。


 翌朝になって気づく。

 この世界の行動はモニタリングされているのじゃないかと。

 少なくても女神的な立場の先生は見ることができるだろう。

 昨晩の「見られてるから」という言葉は2重の意味だったわけだ。


「恥ずかしい」

「素敵でしたよ」

 おれのつぶやきを隣のニアが補足する、評価は合格点だったようだ。


「ニア嬉しそうだった、ボクも人がいないときはあるじって呼びたいナ」

 昨夜のニアは途中からあるじ様呼びに変わっていた、いや、思い出すのはやめておこう。

 キアに曖昧に頷いておき、起き上がって服を着る。

 当面の生活費があるから、悪いことを覚えたら堕落しそうだ、気持ちを引き締めていこう。


「ニア、ステータスステータス。スキルが取れるはずだゾ」

 キアの催促に服を着ていたニアがピタッと止まる。


「主様のおかげです。幸せな気分のおかげで動揺せずに済みました」

 落ち着いた声でステータスを開くニア。

 おれも見るか。


『遊佐 蕗

レベル 62+2=64

HP 131+4=135

MP 131+4=135

攻撃 72+2=74

防御 72+2=74

知性 72+2=74

精神 72+2=74

敏捷 72+2=74

SP 4+2=6

EXP 30685+866=31551

NEXT 32000


スキル(ー)

水魔法 -3

風魔法 -3

氷魔法 -3

雷魔法 -3

光魔法 3

闇魔法 -3

所有経験値増加 2-1

嗅覚強化 2

鑑定

収納

索敵 2

隠密 2

剣術 4

未収得スキル(+)』


「順調だな」

 2レベルくらい上がるのがちょうどいいな。

「ボクも慣れてきたゾ」

 キアも2レベル上がったようだ。


『キア 剣士

レベル 68+2=70

HP 264+6=270

MP 128+2=130

攻撃 166+4=170

防御 166+4=170

知性 98+2=100

精神 98+2=100

敏捷 98+2=100

SP 4+2=6

EXP 33922+866=34788

NEXT 35000


スキル(ー)

剣術(2刀 無刀制限) 3

マヒ耐性 2

2刀4爪1牙流 0


未収得スキル(+)』


「ひゃあぁ!」

 絹を裂くような声を弱弱しくしたような叫びがニアから上がって、おれたちは腰が抜けてへたり込んでいるニアを見た。


「どうした?」

「話が違いますぅ」

 涙目でおれにしがみつくニア、落ち着きはどうした?


『ニア 術師

レベル 64+14=78

HP 124+14=138

MP 252+42=294

攻撃 94+14=108

防御 94+14=108

知性 158+28=186

精神 158+28=186

敏捷 94+14=108

SP 39+14=53

EXP 31664+6932=38596

NEXT 39000


スキル(ー)

水魔法(給水 治癒)2

風魔法(そよ風 風蛇)2

剣術1

無尾の狐0


未収得スキル(+)』


 ニアのステータスを見ると14レベルも上がっていた。

「あちゃあー」

「11レベルじゃなかったんですか!???」

 11レベルは必要だなとは言ったかな?

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