10日目の解消
1月分 5つ目
「大弱点の解消は他の手もあるしな」
戦闘が急に始まった場合『祝福』が間に合わずに大弱点が自然環境から攻撃されてしまう。
一方『感謝』による幸運上昇は持続時間が1日だ。
これらを組み合わせて、属性への耐性を1段階押し上げる効果を1日持たせるだけの持続時間に変更すればいい。
光属性と火属性、土属性は解消済みだから残りの闇と水と風あとは氷と雷に耐性を付ければ大弱点に関しては1日中『祝福』をかけているのと同じことになる。
こんな組み合わせで恩恵があるのはおれくらいのもの、おれ専用魔法だ。
名前は『耐性補助』とかかな。
宿屋に帰って部屋で落ち着いた所で『耐性補助』の魔法を組み上げる。
数値をいじるだけなので簡単に片付き、明日からは『感謝』とともに朝一で自分にかけてその日に何が起きてもいいようにしよう。
「さてと、今日は大変だったな」
おれが声をかけると、小声でおしゃべりをしていたニアとキアがピッと姿勢を正して空気がピリッと緊張する。
「もちろん怒ってないよ」
「謝罪カ、謝罪するカ?」
キアがジリジリと寄ってくるが手のひらを向けて押しとどめる。
「戦力強化したいのはわかるよな?
スキルポイントを一番効果的なスキルにつぎ込むのがいいと思うんだけどどうだろう?」
「よろしいと思います」
「何上げるんダ?}
よし言質は取ったな。
「まずはニアの『無尾の狐』そのあとキアの『2刀4爪1牙流』だな」
自分の事とは思っていなかったらしくニアがぽかんとしてキアと顔を見合わせる。
「恐れ多いです!」
その場で立ち上がって大声を出すニア、直後に大声を出したことを悔やむように口をおさえる。
「今日だって実際はギリギリの戦いだった、キアのマヒが治らなければ人数的にも厳しかったし相手側にもう2,3人いたら戦ってる間にも不意打ちを食らったかもしれない」
ギリギリどころか圧倒的に不利だった。
「はい」
「わかるゾ」
「おれのスキルは急いで上げないといけないものはなくなったし、戦力を上げやすいのは2人の方なんだ」
『耐性補助』を作ることはさっき話したし、おれが話しかけたということはそれが完成したことも察しているだろう。
将来的には属性の大弱点は減らしていきたいが少なくても急ぎではなくなった。
同時に魔法使いへの転職も必要性が減ってしまったので保留にしてある。
「それはわかります」
「ニアはもうちょっとだけど、ボクの方は結構あるゾ」
ニアはあと11スキルポイントで『無尾の狐』を習得できる。
キアの方はおれが勝手にマヒ耐性に突っ込んだせいで、いま4ポイントしかないから『2刀4爪1牙流』を習得するまでに46ポイントも稼がなくてはいけない。
高レベルになればなるほど1レベル上げるための経験値は稼ぎにくくなる。
50レベルを過ぎてしまうと効率的に倒せて、数も結構いるオークがレベル差によって経験値を落とさなくなってしまい、たいていの冒険者はそこまでレベルを上げたらあとは引退までそのままなことが多い。
安全に冒険をするパーティーだったら1年かけて1レベルとか全然あり得る話だ。
つまりニアはあと11年、キアは46年かけてスキルを上げなければならないはずだった。
そのうち9年分をおれが無駄にしたことは帰り道ですでに謝っている。
キアは快くハグとおんぶで許してくれた。
だがレベル上げに関してはおれたちは神経質になることはない。
「今夜の経験値はニアが8割持っていってスキルをとってもらう。
明日からはキアが8割だ」
「ひっ」
ひきつったようなニアのそばに行き膝の上の手におれの手を重ねてお願いする。




