ランスロット再び
…早く、渡さなければ。
…このままでは大変なことになる。
晴れた空の下で一人の男が後ろを気にしながら懸命に足を進めていた。
男の名前は山代太郎と言い最近マンションの建築を良く請け負っている中塚工務店の経理課の人間であった。
彼の手の中にはあるマンションの耐震検査の書類が入っている。
それも二通もである。
一通は最初に受け取ったもの。
もう一通はその後に受け取ったもの。
検査結果は…違っていた。
太郎は小学校の前に差し掛かり一人の少年とぶつかった。
「お、と」
すまない
少年はそれに
「大丈夫、おっさん、気をつけなよ」
とにっこり笑った。
太郎はサッと周囲を見て少年に
「これを預かってくれ」
もし私が取りに来たら返してくれ
「誰かが取りに来ても渡さないでくれ」
と立ち去った。
少年は「は?」と驚いたもの、太郎が立ち去ると首を傾げて再び早足で立ち去った太郎の背中を見送った。
そこに同じように小学校の門から出てきた少年が声を掛けた。
「武人!」
お待たせ
有栖川武人は預かったものを手にしたまま
「あー、優」
というとそれを見せて
「これさ、おっさんから預かった」
と告げた。
優はそれを見ると
「これ、USBメモリだよ」
何て言って渡されたの?
と聞いた。
武人は「んーとー」と言い
「自分が来たら返してくれ」
他の人には渡すなって感じだった
と答えた。
優はUSBを見て
「ってことは、それを渡して欲しいって人には不利益なモノでその人には大切なモノってことだよね」
と言い
「しかもそんな大切なモノを自分の手から放すってことは」
と言い武人を見た。
武人は固唾を飲み込み
「ってことは…」
と優を見た。
優は腕を組み
「狙っている人がいて、その人には不利益なもの!」
と告げた。
武人は「俺、どうしたらいい?」とUSBを見た。
優は考えながら
「取り敢えず誰にも分からないように持ってて」
その渡したおじさんが来るのを待つしかないと思うけど
と答えた。
武人はじっと優を見つめ
「ほら、よくあるじゃん」
それで狙われるっていうやつ
「ヤバイんじゃねぇ?」
と呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




