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異世界魔女と名刑事  作者: 如月いさみ


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50/72

それぞれの覚悟

ケット・シーが女子トイレに入っていくのを見送ると二人は西條葵菜と菜絵と合流してピアノコンサートへと向かった。


秀美は視覚に隠れてケット・シーの映像が映る水球を手に

「まあ、ただの猫なら悪くない」

と呟いた。


そこに張っていた的井修吾が姿を見せた。

「おい、どうだった?」

橋渡咲江と榊理沙は見つかったか?

「ここで金の受け渡しをするというタレコミがあったんだが」


秀美は修吾を連れて女子トイレの入口が見える死角に隠れ

「実は橋渡の方を優がみた」

と言い

「優が言うにはバッグを持っていて入る時はパンパンで出る時は萎んでいたらしい」

とチラリと見た。


修吾は笑むと

「なるほどな」

女子を呼んで調べさせるか?

と聞いた。


秀美は水球を見ると

「いや、大丈夫だ」

と言いケット・シーがトイレの個室に置かれた鞄を見つけたのに息を飲み込んだ。


修吾はそれを見ると

「なんだ?それは」

と呟いた。


その時、一人の女性が少し大きな鞄を手にトイレへと入ってきた。

榊理沙である。


秀美と修吾は同時にそろりとトイレの入口を見た。

ケット・シーの目に榊理沙がトイレの個室に入りバッグの中に札が入っているのを確認し鞄に入れるのが映っていた。


修吾は小さくヒューと口笛を鳴らした。

「文明の利器か?下手すると盗撮容疑で逮捕されるぞ」

秀美は嫌そうに

「ちげーよ」

と答えた。


女性がトイレから出てくると修吾と秀美は女性の前に立ち警察手帳を見せた。

「「榊理沙さんですね、鞄の中を見せてもらえますか?」」


榊理沙は慌てて踵を返したが手を掴み、ホテルの各所に張っていたメンバーに連絡を入れた。

彼女は連行されて中から札束が出てくると全てを自供した。


秀美はトイレから出てきたケット・シーを見ると

「よくやった」

と猫に笑みを見せた。


ただあやすだけの声掛けであった。


修吾は「黒猫…お前猫を飼ったのか?秀美」と聞いた。

秀美は笑顔で

「あ、まあ」

と頷きかけた。


正にその時であった。


ケット・シーが

『ケケケ…変ワッタ世界デスナー王様…』

『オ役ニタテテ光栄デサァ』

とケケケと笑って告げた。


…。

…。


秀美の心の中でチーンと鐘が響いた。

魔法の猫はやはり魔法の猫だったのだ。


修吾は目を見開くとギギギと凍り付いたように首を動かし

「おい、秀美」

お前いつから喋る猫を飼ったんだ?

と呟いた。


秀美は大きく息を吐き出すと

「…いつかお前に話すと言っていたな」

と言い

「実は」

と言葉を続けた。


「リリアは…突然やってきた魔法使いで俺の恋人じゃない」


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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