それぞれの覚悟
小学校の授業を終えると優は西條葵菜に呼び止められた。
クラスで一番可愛い女の子として男子の間では注目の的であった。
鞄に教科書を入れて帰る準備をしていた優は振り向くと
「え?」
と声を零した。
葵菜はにっこり笑うと
「あのね、お母さんが明後日の土曜日にリリアさんと優くんと4人でピアノコンサート行きませんか?って」
どうかなぁ
と告げた。
夏休み前に詐欺事件に巻き込まれそうだった彼女の母親を救ったことがあり、恐らくそのお礼なのだろう。
優は少し考えて
「うん、リリアに聞いてみる」
と告げた。
隣で聞いていた有栖川武人は唇を尖らせると
「良いなぁー、優」
俺もデート行きたい
とぼやいた。
葵菜は顔を真っ赤にすると
「…じゃあ、竜原口くん」
明日返事待ってるね
と慌てて踵を返すと走って教室を後にした。
優は「あー」と声を零したものの武人を見ると
「デートじゃないよ」
と答えた。
武人はそれに指を立ててチッチッチッとすると
「デートに決まってるだろ」
優は鈍いよなぁ
と言い
「けど、頑張れよ!」
と小突いた。
優は「本当にデートじゃないんだけどなぁ」と呟きながら帰宅の途につき、家に帰ると魔導宮に向かって両手を翳しているリリアを見ると
「リリア、ただいま」
と小さな声で呼びかけた。
リリアは顔を上げると
「あ、優」
お帰りなさい
と返した。
優はリリアの部屋に入り正面に座ると
「いま大丈夫?」
と聞いた。
リリアは手を置くと
「はい、何かございましたか?」
と返した。
優は頷いて
「あのね、西條さん…ほら、7月の終りに詐欺にあいそうになった」
その西條さんがね
「明後日の土曜日にピアノコンサートに行かないかって誘ってくれたんだ」
リリアと僕を
「リリアはどうかな?」
と聞いた。
リリアは目を見開き
「あ、ああ」
あの菜絵さんと葵菜さんですね
とにこっと笑った。
「ぴあのこんさーと…というのは何をしに行くところでしょうか?」
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




