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異世界魔女と名刑事  作者: 如月いさみ


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39/72

急転

8月初旬のバカンスも終わりお盆期間に突入しようとしていた。

優は夏休みのあいだ午前中に親友の有栖川武人の家へ行って宿題をし、昼ごはん前に帰ってきて昼からは家で勉強をするという毎日を送っていた。


当初こそ優は家事をしてから出掛けていたのだが、それをするとホンの1時間くらいで直ぐに帰って来ることになっていたのでリリアが

「洗濯と掃除は私がいたしますので優は勉強なさってください」

と申し出たので朝の9時前に優は家を出て11時半ごろに帰って来るようになったのである。


兄の秀美は相変わらず朝も昼も夜すらも関係のない刑事生活を送っているが夕方から夜にはほぼほぼ帰ってきて夕食を作りながら2人とその日にあったことを報告しあっていた。


それが秀美と優の日常だったのだとリリアはもう理解していたのである。


リリアは洗濯と掃除を終えると時計を見て

「そろそろ、お昼ご飯ですね」

と言い

「優が戻ってくる時間ですわ」

と呟いた。


その瞬間に扉が開き

「ただいまー」

と優が姿を見せた。


優はパタパタと家の中に入ると

「リリア」

今日のお昼は素麺にしようよ

「お湯沸かすね」

と鞄を部屋の机に置くと台所で鍋に水を入れて火にかけた。


リリアはその後ろに立ち

「そのコンロという魔道具にも慣れましたわ」

と誇らしげに言い

「しかし、優と秀美の世界には沢山の魔道具があるのに…魔法は無いのですね」

と呟いた。


優はそれに笑いながら

「だって、洗濯機もコンロもインターフォンも魔道具じゃないよ」

ちゃんと仕掛けがあってそうなっているんだよ

と告げた。


リリアは口元に指先を当てて少し悩みながら

「そうなのですね」

と呟き、窓の外を見て

「…私は魔法しか使えないので」

この先どうすれば良いか

「お二人のお役に立てているのか不安です」

と目を細めた。


且つて、フィマールにいたことは魔法を使って国を守ることが自らの役目であり、誇りであった。

それは生まれ落ちた時から天啓として導かれ迷いも考える必要もなかった。


王も。

代替わり前のノルド・マギも。

人々も…自分すらも。


それに疑問を持つことすらなかったのだ。

どう生きれば良いかなど考えたこともなかった。


しかし。

この世界ではどうやら魔法は騒動の元のようでそれほど必要とされていないことが分かってきたのだ。


だから。

この先、このままこの世界にいて…自分はどう生きていけば良いのか。


リリアは深く悩んでいたのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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