88/290
苦手なもの
私は魔法の詠唱が苦手でいつも、先に唱えた人の真似ばかりしている。
(でも、アニーちゃんがいつも一緒に教えてくれた)
私に合わせ、詠唱は苦手と言ってくれる。それが嬉しくて、甘えてしまう。
「本当に苦手なのは、アニーちゃんの優しさに甘えている自分なのにね」
変わろうと思う。変わりたいとも思う。でも今のままで良いと思う自分もいる。
「りゅく」
ミルクが私の頭を撫でる。肉球の柔らかさに私の心は澄んでいく。
扉を開けるとき、アニーちゃんが選んだプリムラの花は私の心も開けたと思う。
本当にアニーちゃんはお姉ちゃんだなって感じた。
(ただ昨日からぼんやりしている気がする。どうしたんだろう…)
――秘めた想いがあるのなら、いつか話してくださいね。私の愛しいお姉ちゃん
魔法を唱えてみた。下手でもきっちりやる。そうすれば、変われると信じて。
ドレス姿がすごく似合っていたお姫様なお姉ちゃんのように。




