33/290
いい夜
階段前で眠っていた二人をベッドで寝かせ、ヒユリさんに診てもらう。
「魔法の使い過ぎですね。魔法を使うと疲れがたまりますから」
「お父さんやお母さん、お兄さんにもこう時期はあったのかなあ」
私は家族を思い出す。家は代々魔法使いをしている。いうなれば名家になる。
「おやすみなさい、ヒユリさん」
「おやすみなさい、お嬢様」
普通の子として扱ってほしい私はむずかゆくなり、部屋に戻る。
夜空に降る星がひとつ流れた。エリーちゃんとアニーちゃんが思い浮かぶ。
私を姉と呼ぶ二人が試験に受かるよう、星に願いを籠めた。
目を開くと、庭の花壇が月に照らされていた。ふいに言葉がでてきた。
養花雨を継いだ幾月、星々が 二輪の花を見わたしていく
いまいちな気がする。コホンと咳払いして、もう一度夜空を見る。
「いい夜だね」




