109/290
歌にひかれて
「歌が聞こえる」
声のするところへ向かうと、湖が見えた。その近くでボクと同じぐらいの子が、
小型のハーブ、リラを奏で歌っていた。薄紫色の髪をお日様が照らす。
その歌に惹かれたのか、近くにある遊歩道から水蒸気に似たものが出てきた。
「精霊かな」
「かなあ」
あの靄に似たものをどこかで見た覚えの中、エリーの質問にボクは答える。
「うさ」
「りゅく」
ロッサとミルクが声を立てる。
「演奏中だから静かにしようね」
エリーが人差し指を口元にあてシーっとロッサとミルクに伝える。
靄に似たものは、歌っている子にゆっくりと近づく。
「そうだ、雑貨屋さんだ。あそこでドギー君が瓶に入れたもやもやにそっくりだ」
もやもやに気づき、歌っていた子は恐怖におびえ、声を上げる。




