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ぴぃちゃんのダンスは難解です

 アンディの家はマクギリス家の所有物。長くマイルス叔父が住んでいるが、マクギリス家の王都邸だ。

だから伯爵夫人が泊まってマイルス叔父との間に娘シンシアができてしまったわけ。



 アンディにお返事を書きたい一心でクリスティナは良いことを思いついた。

居間の隅でぴぃちゃんに、にじり寄る。


「ぴぃちゃん、ひょっとしてアンディのお家に行けるんじゃない? それでお家の様子とか探れるんじゃない?」


 ぴぃちゃんが小首を傾げる。なんですか、それ。と言いたいのかな。

可愛いけど、もどかしい。


「だって、アンディのお家はマクギリスのお家だもん。ってことは、ぴぃちゃんの行動範囲でしょ」


 決めつけると、ぴぃちゃんがまんまるお目々になる。いや、元々丸いですが。

ダンスは「そうです、そうでした。ぴぃ行けます」だ。



「お手紙もこっそり届けてくれる?」



 勢いで「はいです」かと思ったら「無理です無理無理」だった。

残念なことに、ぴぃちゃんは物は運べないのだ。急に成長して不可能を可能に変える……なんてことはないようだ。



「やっぱりダメか。気にしないで、ぴぃちゃん」


 まずはアンディとシャーメインの様子を見て来て教えてください。

クリスティナの依頼を快く引き受けてくれたぴぃちゃんは、瞬時に姿を消した。








 戻ってきたぴぃちゃんのダンスは難解の極みだった。


「アンディが両手を伸ばして……膝かっくん?」


 うん? 二度踊ってくれても……本当にごめん。ぴぃちゃんが悪いんじゃないよ。

翼で表現することに限界があるのは理解しているし、私の想像力不足。

アンディについては諦めよう。



「じゃ、シャーメインは? 一緒のお部屋にいたのね。お顔を隠して、チラッチラ? いないいないばあ?」 


 「いないいないばあ」をして楽しい歳は過ぎていると思うので、これも違いそうな気がする。


 なのに、ぴぃちゃんは「そうです、そうそう」と満足しきっている。

難しい言葉で言うなら「見解の相違」だろう。事実は違っても、ぴぃちゃんにはそう見えた。



 良いことを思いついたはずなのに、難しくなってしまったと唸るクリスティナと同じ部屋に、フレイヤもいた。

ダー君がいない時、ぴぃちゃんの姿はお姉さんには見えない。



「ダー君がいないと、ティナちゃんがすごく上手なひとり芝居をしているように見えるわね」


 レイは劇場の夜公演に行っていてお留守。戸締まりに気をつけるようしつこいほど言いおいて、出掛けて行った。


 あんなに口うるさくては、お姉さんに嫌われる日も近いと思う。



「中途半端に聞いたせいで、よけいに気になる」


 クリスティナのつぶやきにぴぃちゃんが「なんと! 失礼な。ぴぃはちゃんとお伝えしました」と足をタシタシし、フレイヤは可笑しそうにする。



「学校前で待ち伏せができないものね」

「夏休みなんて、いらないのに。ずっとお勉強すればいい」



 そう、アンディの学校はただ今夏季休暇中。前みたいに校門で待ち伏せするという手段が使えない。

クリスティナは身悶えた。



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